98・11・20
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WORLD
MEGA-BATTLE TOUNAMENT'98
第1回FNRカップ Bブロック 1st ROUND
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大阪府立体育館
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第4試合 国別対抗戦Bブロック1回戦(10分1本勝負勝抜き戦)
×ジャパンB(先鋒/成瀬・中堅/田村・大将/高阪)
○ロシアB(先鋒/クレメンチェフ・中堅/コピィロフ・大将/ズーエフ)
(2−2)
*大将戦後判定。ポイントイーブンのため、審議委員判定でロシアB勝利
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ロシアBチーム、正確には「エカテリンブルグ軍団」と呼んだほうがいいのだろうか?。エカテリンブルグ出身のズーエフとコピィロフのサンボコンビに、モスクワ出身ながらも現在はエカテリンブルグに在住しその2人とともにトレーニングを積んでいる空手家クレメンチェフ。ロシアAチームがまさかの1回戦敗退をしてしまっただけに、ぜひとも勝ち上がりたいところだ。
しかし相手は前田も優勝候補に上げたジャパンBチーム。ロシアBの技とパワーをうまくかわしていける実力者が揃っている。今回大将には高阪が据えられた。これまで、そして今後のUFC大会出場での体力消耗を気づかっての対策なのだろうか?
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ジャパンB |
成瀬 昌由 |
[173cm / 98.3kg] |
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ロシアB |
バロージャ・クレメンチェフ |
[195cm / 119.5kg] |
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まずは先鋒戦。クレメンチェフは前回名古屋での田村戦でも見せたような力強い膝蹴りで先攻を狙うが、成瀬もうまく避け胴を捕まえて倒し、バックにまわるが、クレメンチェフは亀になり成瀬の攻めを避ける。
ブレイクになり試合再開すると、クレメンチェフは掌底と蹴りで攻める。しかし成瀬に捕まれもつれあった状態でロープに倒れた時、クレメンチェフは思わずロープを掴んでしまいエスケープを取られてしまう。2エスケープで負けとなるこのルールでは、この損失は大きい。
後のなくなったクレメンチェフはさらに打撃の勢いを強める。成瀬をコーナーに押し込み掌底と膝蹴りのラッシュ。成瀬も1ダウン。これでイーブン。しかし成瀬には余裕があった。スタンドの状態で首を捕まれながらも、うまく倒し、マウントに。嫌がったクレメンチェフが亀になる時の首にさっと腕をねじ込み、スリーパー。
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ジャパンB |
成瀬 昌由 |
[173cm / 98.3kg] |
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ロシアB |
アンドレイ・コピィロフ |
[187cm / 125kg] |
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コピィロフは持ち前のパワーで成瀬の胴をつかみマットに叩き付ける。しかし成瀬はうまく体勢を入れ換え上に。だがコピィロフも下になった状態から腕ひしぎ逆十字を極め、早速1エスケープを奪う。
スタンドに戻って相撲の状態になっても、コピィロフは投げ倒す。寝技でもコピィロフが腕を狙い、成瀬は何とか腕を切られまいと耐える。
この後、成瀬は開場時の練習で金原にずっと習っていた側転パスガードを披露。マウントポジションになる。だがその後が良くなかった。腕を取りに行こうとしたところをコピィロフは起き上がり、逆に腕ひしぎ逆十字を取り返し、見事決まる。成瀬は練習の成果を試合に活かせたが、勝ちには結び付けられなかった。
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ジャパンB |
田村 潔司 |
[180cm / 88kg] |
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ロシアB |
アンドレイ・コピィロフ |
[187cm / 125kg] |
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田村のローキックから始まるが、コピィロフは田村の腕をつかんでマットに叩き付け、素早く腕ひしぎへ。あわやこれで試合終了かと思うような決まり方だったが、田村は体を回転させエスケープ。
この後問題のシーンが。コピィロフがタックルに来たところに、田村の蹴りが入り、コピィロフが倒れこむ。単に体勢を崩しただけなのか、ダウンなのか?。コピィロフも否定し、観客も納得できない様子だったが、コピィロフにダウンが言い渡される。
両者のキックがぶつかり合い、そのまま組み合って倒れる。この後は田村が素早かった。コピィロフの巨体の周りを回転し、腕の取れる位置に回り込み、タイミングの余裕を持ちながら腕ひしぎ。判定に助けられながらも、技術的に上回っていたのは田村だった。
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ジャパンB |
田村 潔司 |
[180cm / 88kg] |
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ロシアB |
ニコライ・ズーエフ |
[185cm / 104kg] |
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インターバル中コピィロフに極められた右腕の具合を気にしていた田村。一方ロシアB側はズーエフ一人になった。ズーエフは田村を押し込み、倒し、足を狙い、逃げられてもアームロックや腕ひしぎに素早く移行する。逆に腕ひしぎを狙われても、すくっと起き上がり、左足首を固め、1エスケープを奪う。両者とも素早い攻撃で魅せてくれる。
今度は田村が腕ひしぎでエスケープを取り返す。残るは1ポイント、高阪に楽をさせたいところ。しかしズーエフも負けられない。田村を倒し、田村はこれまでと同じようにズーエフの周りを回るが、ズーエフは一瞬の隙を見て腕ひしぎを決める。これで大将どうしの戦いに持ち込まれた。
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ジャパンB |
高阪 剛 |
[181cm / 103.3kg] |
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ロシアB |
ニコライ・ズーエフ |
[185cm / 104kg] |
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「試合せんでいい勝ち方ができたほうが、次に温存できる」
「抜き試合なので、抜くところをうまく使わないとガス欠になる」
1月8日にルイジアナで開かれるUFC18に出場が予定されている高阪は、試合前にTV収録用のコメントでこう語っていた。はっきり言ってしまえば「やる気なし」に聞こえるし、多くの高阪ファンにとっても、今回のトーナメントよりもUFCに体力を温存してほしいというのが本心だろうから、同情できなくもない。でも、同時に高阪は「決勝でジャパンAチームと当たって優勝したい」とも語っており、微妙な心理状態をうかがわせてくれる。これから戦うズーエフは既に1試合戦っており、体力をいくらか消費しているので高阪には有利。果たして、抜き試合にしつつも勝ち抜くことができるか?
まず両者相撲の状態から倒れ、高阪は上になり右腕狙い。途中足に狙いを変えるが、ズーエフはさっと逃げ、再びスタンドの状態に。
ズーエフは高阪の腕をつかんで倒す。しかし高阪は下になりながらもスリーパー、ズーエフが逃げても足首と膝を攻める。腕ひしぎ、三角絞め。高阪は次々技を仕掛けるが、ズーエフはうまくポイントをずらしながら逃げる。
またスタンドに戻りキック合戦になるが、再びグラウンドに。今度こそ高阪の膝十字が決まったかと思ったが、ズーエフは決してエスケープをせず、耐えて逃げ切りブレイク。逆に少ないチャンスを物にしたのがズーエフだった。高阪の足をつかんでリング中央に持っていくと、そのまま足首固め。高阪はエスケープしてしまう。
抜き試合どころの状況ではなくなってきてしまった高阪。ズーエフのタフさ、粘り強さに手こずる。ようやく高阪は膝十字で1エスケープを奪うが、残り時間があと1分しかない。背後にまわりスリーパー、ズーエフは逃げ、ロープ際で足関節の取り合いをしているうちに試合は終了。
審議委員の判定に持ち込まれた結果、両チーム3選手ずつの総合的な戦いぶりと残った体力から判断され、ロシアBチームの勝利になった。客席には結果のみしか伝えられず、判定の理由の説明が無かったため、いまいち煮え切らないような雰囲気が漂った。このあたりの判定方法や説明については、リングスは改善すべきだろう。決勝戦で同じようなことが起これば、どれだけの人が納得できるだろうか?。
だが、ロシアBチームは、成瀬戦でのクレメンチェフがロープをつかんでしまったための自殺点と、田村戦でのコピィロフの疑惑のダウンがありながらも、大将戦を判定にまで持ち込めたのだから、その辺りを思い起こせば、観客もこの判定は納得できるかもしれない。高阪も決して手を抜いたのではなく、今日のところはズーエフのほうが一枚上手だったというだけである。ともかく、エカテリンブルグ軍団はロシアの火を守った。しかも前田が優勝候補に上げたチームに勝った。同日力で圧勝したグルジアチームにも、持ち前の粘り強さで勝ち上がりそうな勢いを感じる。
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文章:井原芳徳 カメラ:井田英登
HTML編集:井原芳徳
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