初参戦から６連敗を喫したダイクが、じわじわと評価をあげ、とうとうランキング戦までたどり着いた。対戦相手の渋谷には、９７年４月に勝ち、パンクラス初勝利をあげている。昨年６月には國奥をＴＫＯで下し、今回満を持してのランキング挑戦となった。

　開始直後、渋谷はタックルでテイクダウンを奪うと、ダイクのガードポジションをパスしてサイドに回りアームロック。ほぼ完全に決まったが、ダイクは左腕一本でこらえる。なおも力を込めるが、渋谷はここで腕十字に移行してしまったのが失敗だった。そのままアームロックを続けていたら、タップなりエスケープなりを奪えていたかもしれないのに、腕十字をかけた瞬間に抜けられてしまう。

　決定的なチャンスを逃した渋谷だが、序盤は完全にペースを握った。特に、この日はタックルが冴え渡っていた。ダイクの思い打撃をかいくぐると、両足を抱えて持ち上げ、リングにたたきつける。グラウンドでは常に上のポジションをとって、アームロックを狙っていく。

　しかし、ダイクも後半巻き返してきた。渋谷のタックルを切ることは出来なかったが、グラウンドでひっくり返して上を取り返した。技と言うよりも、力まかせである。１０分過ぎ、こうして強引にチャンスをつかんだダイクは、グラウンドでの掌打を多用してきた。マウントを奪い、垂直にたたき落とす形の非常に重い掌打である。グラウンドでの打撃を有効に使う点で、ダイクはパンクラスで最も優れている。しばらくしてブレイクがかかったが、この掌打で確実にダメージを与えた。

　スタンドの打撃ではダイク、レスリングでは渋谷、グラウンドのポジショニングでは五分と、両者譲らないままタイムアップ。判定でも差がつかず、ドローとなった。

　決着はつかなかったが、両者のいい面がでた好勝負だった。

（慈村弓太）

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取材：慈村弓太
HTML編集：井原芳徳