9月から単身渡米し、モーリススミスのもと総合格闘家としての技術に磨きをかけ ているリングス・ジャパンの高阪剛選手が、アルティメット大会に2度目の出場を果たした。対戦相手は、ライオンズ・デン所属でリングス、パンクラスにも参戦経験を持ち、日本でもおなじみのピート・ウィリアムス。ウィリアムスは昨年五月に元ヘビー級王者であるマーク・コールマンをハイキックでKOしており、ヘビー 級王座に最も近い位置にいる選手でもある。
得意のスタンドで決着を望むウィリアムスは、序盤から左右のワンツー、右ハイを 繰り出し試合のペースを握ろうとする。これに対して高阪は得意の柔道技、払い腰で
グラウンドに持ち込む。
ハーフガードで高阪の有利なポジショニングを阻もうとするウィリアムスだが、高 阪は手首を取ってアームロックを仕掛けていく。しかし、ウィリアムズはギブアップ
しない。
試合後高阪はこのシーンを振り返って、
「最初アメリカに行って一番世話になったのがピートだったんで、折るまでは行けま せんでした。試合が始まったらぶっ倒すつもり、折るつもりで自分も行ってるんですけど、折りたくてやっているわけではないんで、あそこはレフェリーに“止めてく れ”と思ってチェックを要請したんですけど・・・プロとしては甘かったかもしれないですね」
と振り返っている。
高阪が躊躇する間にアームロックを逃れたウィリアムスはスタンドに戻り、再び打 撃戦へ。よく伸びる左右のストレートが高阪を追いつめ、キックの試合のような激し
い打ち合いとなる。
ただ、ウィリアムスの方もU系出身の技術志向の選手であり、スパーリングを重ね た高阪を相手にグラウンドでの顔面パンチを打っていくことができない。
そのためこの試合はスキル(技術)の攻防はあっても、お互い「最後の一線」を越えることはなく、ブラジルの観客には冗長に感じられたかもしれない。
結局、本戦12分、延長3分を合わせて15分に渡った試合は、グラウンドで終始 主導権を握っていた高阪が3−0で判定勝ちを収めた。
さて、この大会にはファスの弟子であるペドロ・ヒーゾのセコンドとしてバス・ ルッテンも会場入りしていた。彼によれば、来年一月に予定されている次大会に出場
が決まっており、今日の高阪VSウイリアムス戦の勝者と対戦することが内定してい るとのこと。SEG側もこの一年間防衛戦を行っていない現王者ランディー・ク
トゥーアから王座を剥奪、ルッテン対高阪をもってヘビー級王座認定戦としたいとい う意向を持っているようだ。
これが実現すれば、元キングオブパンクラスのルッテンと、リングス上位ランカーで ある高阪の夢の対決が、アメリカメジャーのUFCの頂点争奪戦として行われること
になる。日本の格闘技ファンとしてこれ以上痛快な事態はない。実現を願わずにはい られないだろう。
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記事・写真 井田英登
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