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日本女子ボクシング協会 "LADY GO! 2000" 3月23日 北沢タウンホール
第9試合 日本ミニフライ級タイトルマッチ/2分10回戦 
日本ミニフライ級王者
中沢夏美
(FUDOHKAN)
判定3-0

100-97
99-98
99-98
日本ミニフライ級1位
高野由美
(山木)
×
※中沢が初防衛に成功。

昨年10月、トーナメント決勝で屈指の名勝負を見せた両者。当時はキックボクサー兼業であった中沢だが今年からはボクシングに重点を置いている。無尽蔵のスタミナは前回対戦で証明されている。加えてキック時代からパンチの強さに定評がある中沢相手に、今回高野はどういう作戦を取るのか。


序盤は静かだった。お互いジャブ、フックを細かく出しながら回る。高野はコンビネーションを見せるが深追いはしない。中沢も、最初から飛ばしていこうとはしない。一度対戦済みだけに、警戒している。



2Rから、高野がボディーへの攻撃を仕掛け始める。中沢のストレートをガードし直後、体を沈め、回転を効かせたフックを入れる。中沢は至近戦を脱した直後のストレートを決める。短い距離でも両者の攻撃は止まらない。高野は4R以降もボディ、顔面へパンチを繋ぎ、リズムを掴む。フットワークを使いながら懐に飛びこんでいく高野のリズムで中盤を迎えた。


6R、速い顔面への攻撃を両者が展開。回りながら、ラウンド間全て攻撃しつづける両者に会場は徐々にヒートアップ。客席からの声援が響きはじめる。7Rに少し落ち着いたものの、8R再び高野がボディへのパンチで攻込む。「効いてるぞ!」と高野陣営から声が飛ぶ。確かに足の動きが遅くなってきている。
しかし中沢は下がらない。距離を取り、ストレートのパンチで応酬していく王者はやはり底無しの体力と落ち着きを感じさせる。


逆に高野はこのラウンドでスタミナを使いきったようだ。9R、中沢の手数が高野を圧倒。これまではフットワークとダッキングでかわしてきた高野がついにロープ際でつかまる。ガードの上から、中沢の左右の攻撃が降り注いだ。
このラウンド終了時、勝利を確信したか中沢は高々と手を上げる。10R、必死で打ち合いに臨む高野だが、ここでも手数は中沢が優る。両者とも引かない試合終了のゴングと同時に、高野はキャンバスに倒れこんだ。


判定結果は3-0で中沢を指す。しかし、ポイントほどの差はこの試合には感じられなかった。あるとすれば、最後まで限界を見せなかった中沢の凄みだろう。
何ラウンドやればこのチャンピオンが疲れを覚えるのか。中盤のボディへのダメージはなかったかのようにラッシュをかけてみせた9R、手を挙げたこのラウンドで、中沢は勝ったのだ。

「勝てて嬉しいです。高野選手は前回以上の気迫とテクニックでした。これからは女子で”世界”に行きたいと思います!」

さらなる目標をチャンピオンは掲げた。
今回参加したロシアのほかにも、外国女子選手が今後参加する可能性は高い。逆に海外へ出て行くアプローチもありうるだろう。
キック界、アマチュアボクシングと少しずつ輪を広げつつある日本女子ボクシング協会。課題を含め、その姿が等身大に現れた2000年最初の大会となった。

次の大会は5月8日(月)北沢タウンホール。また新たな選手が登場するのは間違いない。



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レポート&写真:薮本直美


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