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Report
ufc99・11・14“Ultimate Fighting Championship Japan”東京ベイNKホール

セミファイナル(スーパーファイト) 
×
リングスジャパン
高阪 剛
3R 1'12"
KO
ファス・バーリトゥード
ペドロ・ヒーゾ

ルタに最後の希望の灯。T.K.母国に散る


 
  大会最大の目玉として実現した高阪剛−ペドロ・ヒーゾ戦。高阪はリングスの実績はもとより、本場アメリカのUFCにおいてもTKシザースをはじめとする卓越したグラウンド技術で勝ち星を重ね、破れはしたがバス・ルッテンとのヘビー級王座決定戦に出場(延長戦でKO負け)するなどその評価は高く、トップ・コンテンダーとしての地位を確立している。

 一方のヒーゾはルタ・リーブリの選手。NHBはもとより、かつてはオランダのドージョー・チャクリキで打撃修行をしており、ロブ・ファン・エスドンクにも勝利するほどの実力の持ち主。K−1に参戦(マイケル・トンプソンにTKO負け)の経験もある。UFCでもマーク・コールマンやタンク・アボットといった強豪を撃破、飛ぶ鳥を落とす勢いでこの位置まで駆け上がってきた。

  この試合はメインのヘビー級王座決定戦の勝者への次期挑戦者決定戦と銘打たれてはいるが、この試合が王者を決める一戦であったとしても異議を唱えるものはいないだろう。

 二人は顔見知りということも有り、互いの実力、戦略は知り尽くしている。試合前、高阪は「作戦的には、グランドに持っていき、そこで勝負を決めたい。今回より一部ルール改正で、グランドでの膠着も止めないので自分にとっては、有利になると思います。」とコメント。ヒーゾは「立ち技勝負」を宣言していた。

 両者のセコンドは豪華だった。ヒーゾにはあのマルコ・ファズがつき、高阪にはモーリス・スミス、リングスの金原、坂田、正道会館から独立したばかりの佐竹雅昭、そしてエンセン井上。


  1R、両者の立ち上がりは慎重。牽制程度にジャブ、ローを出しながら互いの周りをサークルして様子を伺っていく。高阪のセコンド、モーリス・スミスはしきりと「両手のガードをあげろ」と指示。佐竹はもっとローを出すように声を掛けていた。中盤、ヒーゾの出したローがスパーン!という音をたてて高阪の内腿にヒット。その音にどよめく場内。やはり、ヒーゾの打撃は侮れない。それ以外は意外と静かなまま終了。


  2R、ヒーゾの打撃が強力で高阪はなかなか中に入ることが出来ない。3分経過してようやく意を決した高坂がタックルにトライするが、ヒーゾはこれをあっさりと切る。得意のタックルが通用しないとなると、いかにも苦しい。ガードが下がった顔面にジャブが当たり始め、ローで再三バランスを崩す高阪。いつのまにか内腿は腫れ上がっている。終了間際、高阪は再びタックルに行くが、またしても切られる。

 3R。調子に乗ったヒーゾは鋭いワン・ツーを高阪の顔面にヒット。大きく後退した高坂が苦し紛れのタックルに来たところにヒーゾが止めのアッパー。へたり込んだ高坂を見て、レフェリーは試合をストップした。


 得意のグランドに入る前に勝負を付けられてしまっては、技術以前に戦略面で完敗だったといわざるを得ない。もちろん、両者のスタンド技術に大きな差があったことも事実である。

 ヒーゾはこれでメインで勝利したランデルマンと次戦でタイトルマッチを争うことになった。今回はグラウンド技術はほとんど見せることはなかったが、ランデルマンの武器がタックルしかないことを考えると、勝機は大きいように思われる。

 一方の高阪。タイトル戦線からは後退してしまったが、敗因がはっきりしているだけに、まだ再浮上の余地は残されていると思う。課題のスタンド技術に関しては、モーリス・スミスに加えて佐竹というスペシャリストの加入により以降改善されていくことだろう。TKのさらなるチューンナップを心から期待する。



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次の試合 :7. ケヴィン・ランデルマン vs ピート・ウィリアムス

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