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Report

ufcUFC 32 "Showdown In The Meadowlands"
2001年6月29日(金)
米国・ニュージャージー州イーストルサーフォード/コンチネンタル・エアライン・アリーナ

「日本人に明暗。宇野UFC初勝利、近藤完封負け。ティト王座防衛」

レポート&写真:井田英登

メインイベント ライトヘビー級チャンピオンシップ・5分5ラウンド  
ティト・オーティス
(米国/チーム・パニッシュメント:王者)
1R 3'32"

TKO (レフェリーストップ)
エルヴィス・シノシック
(オーストラリア:挑戦者)
×

 ティトはスタンドでのパンチ、首を抱え込んでの膝でプレッシャーをかける。テイクダウンすると、下になったエルビスはすかさず得意の三角を狙うが、ティトはケージ隅に相手を頭から押し付けて首を折るという一番得意なポジションを作る。ティトは腰を浮かせてパンチ、肘を連打。エルビスが防戦一方となったタイミングをみて、レフェリーのビッグ・ジョン・マッカーシーが試合を止めた。グラウンドに横たわったままのエルビスの右の額はぱっくり割れており、攻撃のシビアさを物語っていた。1万人を越えるビッグアリーナでのメインイベントを完全な形で乗りきったティトを、友人のバスケット・ボール・プレイヤー、デニス・ロッドマンが祝福。メジャー感満載の雰囲気の中、大会は幕を閉じた。

 次回UFC33は9月28日(金)。UFCにとっての“約束の地”ラスベガスで開催される。この大会から待望のケーブルTVによるペイパービューも再開することが決定しており、いよいよ全米メジャースポーツを目指しての快進撃が始まる模様だ。また、主催者であるズッファのダナ・ホワイト社長が本誌に語ったところによれば、続く10月には日本上陸が内定しており、 UFC-Jなき今、ズッファの直轄による初のUFCが日本で見られる可能性が高くなってきた。ズッファではこの大会にふさわしい日本人選手の参戦を望んでおり、この大会を視察した佐藤ルミナや、かねてから参戦が噂される桜井“マッハ”速人らへのオファーが出される模様だ。

第7試合 ライト級 5分3ラウンド  
BJ・ペン
(米国/ルイス&ペデネイラス・バーリトゥード)
1R 2'42"

TKO (レフェリーストップ)
ディン・トーマス
(米国/インターナル・パワー)
×

 ペンはディンの大振りのフックをよけると、首を取って顔面にヒザをぶち込んでダウンを奪う。伸びたディンになおもフォローのパンチを見舞おうとしたところでレフェリーが試合をストップ。ペンは現ライト級王者パルヴァーを破ったことのあるディンに完勝。タイトル挑戦権者の筆頭に躍り出た。

第6試合 ヘビー級 5分3ラウンド  
× セーム・シュルト
(オランダ/ゴールデン・グローリー)
1R 4'21"

腕ひしぎ十字固め
ジョシュ・バーネット
(米国/AMCパンクレイション)

 ジャパニメーションオタクで日本のプロレス界への造詣も深いジョシュは、パンクラス王者・セームがグラウンドを苦手とすることを研究し尽くしていた。セームの様子見のローキックをタックルでつかまえテイクダウン。サイド、上四方、ニーインザベリーと巧みに移行し、マウントからヒジを落としカットに成功。セームは長身を利したブリッジでなんとか上下を入れ換えることに成功したが、ジョシュはすかさず下からの腕十字を極めて勝利。ジョシュも鼻血を出し近年のUFCには珍しい流血戦となったが、中身はニューウェーブオタクファイター・ジョシュの本領発揮で、見事なまでのテクニックバラエティとなった。

第5試合 ウェルター級 5分3ラウンド  
パット・ミレティッチ
(米国/ミレティッチ・ファイティング・システム)
2R 2'42

KO (ハイキック)
ショーニー・カーター
(米国/オール・アメリカン・アカデミー・オブ・マーシャルアーツ)
×

 前回王座を失った面目を取り戻すため、必死のニュートン追撃に出た闘将パット。ショーニーの伸びのある打撃を受け流しながら、得意のねちっこいグラウンドテクニックで1Rからマウント奪取し有利に試合を作っていく。2R、間合の計りあいから、タックル狙いで身体を沈めたショーニーにハイキック一閃。後頭部にスネを叩き込み、ノックアウト勝ちでカムバックをアピールした。

第4試合 ライト級 5分3ラウンド  
宇野薫
(日本/和術慧舟會)
1R 1'49"

TKO (レフェリーストップ)
ファビアノ・イハ
(米国)
×

 遮二無二パンチを振り回してくるファビアノは左フック一発を宇野の額に命中させ、膝を畳み込む。「ヤバイと感じた」という宇野はすばやく懐に潜り込んで抱え上げ、打撃をストップさせる。離れても再びパンチを振り回してくるファビアノに対し宇野は低いタックルで飛行機投げ気味にテイクダウン。ファビアノは下からの腕十字という得意のパターンに持ち込もうとするが、宇野は釣り上げて逃げる。立ち上がってまたもパンチを振ってくるファビアノに宇野は付きあわず、下がりながらの片足タックルでひねり倒して上につく。再び下から腕十字を狙ってくるファビアノ。だが宇野はその瞬間開いた顔面にパンチを連打。白目をむいたファビアノにレフェリーストップが掛かり、宇野はオクタゴン初勝利を決めた。

第3試合 ライトヘビー級 5分3ラウンド  
× 近藤有己
(日本/パンクラス東京)
3R 判定3-0

30-27,30-27,30-26
ウラジミール・マティシェンコ
(米国/rAwチーム)

 開始早々、rAwチームのマティシェンコの素早いタックルで近藤は倒され、そのままフェンスに首折り状態で押さえこまれる状態が続く。2Rも自ら放った得意の飛びヒザ蹴りを受け止められ、そのまま叩き付けられてグラウンドへ。無防備なオープンガードを越されてサイドポジションを許す。亀になるとボディにヒザを浴びピンチが続く。
 ついに最終ラウンド。反撃を狙い前に飛びだしていった近藤を、マティシェンコは強烈な前蹴りで吹き飛ばし、素早くおおいかぶさると近藤をフェンス際に運んで再び自分の形を作る。脱出を試みる近藤に対しマティシェンコは上四方からバックと巧みにコントロール。結局元の仰向けに戻された近藤は、何一つ攻めらしい攻めも展開できないまま試合終了を迎えてしまった。
 今やUFCの頂点を駆け抜けるティトを尻目に、列のさらに後ろ、崖っぷち状態に追い込まれた近藤。「完封されました。自分の弱点を突かれちゃって、今までやって来た自分のスタイルでは上に行くのは厳しいんじゃないかと思います」「UFC、パンクラスに限らず、これが多分限界に近いかなという感じがします。自分自身、闘い方を変えて行かないと、という気がしています。難しいっすね。」という意気消沈したコメントを残して会場を去った。

第2試合 ヘビー級 前座戦 5分3ラウンド  
× アンドレイ・オルロフスキー
(ベラルーシ)
3R 1'23"

TKO (レフェリーストップ)
リコ・ロドリゲス
(米国/高田道場)

 ついにオクタゴンデビューを果たしたリコだが、この日は兄貴分のマーク・ケァーに加えて、メインイベントを務めるティト・オーティスまでがセコンドに付いた。ハンティントン・ビーチでの練習の成果をいかし、最後はマウントパンチ連打でレフェリーストップ勝ちを奪った。

第1試合 ウェルター級 前座戦 5分3ラウンド  
× ポール・ロドリゲス
(米国/インターナル・パワー)
1R 1'13"

ギロチンチョーク
トニー・デ・ソウザ
(米国/ルイス&ペデネイラス・バーリトゥード)

勝負はあっけなくついた。突っ込んできたロドリゲスをフロントチョークに取ったソウザは、そのままヘッドロック気味にロドリゲスを持ち上げ、深くロックを決めるとそのまま締め上げてタップを奪った。これでソウザはUFC31のスティーブ・バーガー戦に続いて2連勝。



レポート&写真:井田英登

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