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Report

修斗 2000.8.27 プロフェッショナル修斗
横浜文化体育館 (サステイン主催)

第6試合 ウェルター級 5分3R 
1位
佐藤ルミナ
(SHOOTO GYM K'z FACTORY)
判定3-0

30-27,30-27,30-27
3位
桑原卓也
(PUREBRED大宮)
×

※3R、佐藤のアクシデントによる負傷でそれまでの判定。佐藤は額に約7センチの傷を負い、10針縫う

 ミナが宇野にウェルター級王位を明け渡したのは昨年の横文大会だった。あれから一年と三ヶ月。ルミナは、ウェルター級1位として、3位の桑原の挑戦を受けることとなった。
 勝って当然・・・そういうプレッシャーがあるところにもってきて、相手の桑原は、ともかくしぶとい相手だ。150cm台という短躯ながら分厚い肉体は豆タンクのようである。その頑丈な身体で、どんな強敵の攻撃も吸収してしまう。そうして判定に持っていく。
 一本を狙うことを美学としているルミナとは、戦略も、もちろん見た目も、まるで正反対の選手。ルミナとしては、来るべき宇野との再戦に向けて、綺麗に勝っておきたいところだ。

 1R。両拳を自分の額の上に掲げ、下から覗き込むような構えを見せる桑原。隙あらばパンチで飛び込もうという勢いである。一方のルミナは、サイドキック気味の蹴りで間合いを図る。
 機を捉えてパンチで飛び込む桑原。それをいなしてバックを取るルミナ。そのままおんぶ状態で抱きつき、両足を絞めて桑原を倒す。バックマウント。1R時間、残り3分半。完全な勝機である。
 だが、ここからが桑原であった。
 ポジションをキープしながら殴り続けるルミナ。
 勿論、首を脅かすことも忘れてはいない。
 しかし、桑原が崩れない。そのまま首をすくめ、顔面を打たれないように手を上げて、頑張り続ける。何発殴られても、痛そうでも、苦しそうでもないところが桑原らしい。耐え抜いて、涼しい顔でコーナーに戻る。

 2R。牽制の打撃から、今度は、タックル狙いで突っ込む桑原。
 しかしルミナががっちりと受け止め、逆に組んだままコーナーに押し込む。かなり身長差があるところから、そのまま右膝を打ちにいくが、桑原が両手をルミナの腰にあてて突っ張って距離を取り、射程圏外に逃げる。
 コーナーを離れたところで、汗のせいか、ずるっと抜けてしまい、再びスタンドに。
 ミドルを取り、テイクダウンするルミナ。
 桑原がクローズド・ガードの体勢で、ルミナの腰に両手を回し、完全に密着する。ルミナ、桑原を抱え上げ、頭を押さえつけて、そのままマットに激突させる。
 しかし、桑原、崩れない。
 再び持ち上げて激突。
 それでも平気な顔をしている。
 結局、このラウンドも、優位な体勢を作りながら、桑原を攻めきれずに終わった。

 そして最終ラウンド。
 またもや打撃の出し合い。ルミナの右膝が桑原を襲う。
 それを抱えて右のパンチを出し、そのままぶちかましのような勢いで前に出る桑原。
 ルミナがロープを越えてまっさかさまにリング下に落ちる。
 「バッティングだよ!!」
 大きく声を上げたルミナの顔面、上半分は、瞬時のうちに真っ赤に染まっている。誇張ではなく、ペンキを被ったような流血。額が激突し、ぱっくりと裂けたのだ。

 結果は、アクシデントによる中断。それまでの判定により、ルミナの判定勝ちとなった。
 一本を取り損ねたルミナは、そのまま客席に土下座。
 ルミナは、3R後半に勝負かけて動き回ろうという作戦を立てていたという。2Rまでに相手の息は上がって来ていたし、得意の4つに持ち込めば、テイクダウンしてぼこぼこに殴って絶対に一本を取れると。「妙に賢く考えてたのが自分らしくなかったのかもしれませんね。それでこういう結果になっちゃったのかも」。
 二度目の横文は、勝ちこそ奪ったものの、消化不良の試合に終わってしまった。

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レポート:山名尚志  写真:菊地奈々子

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