会議室を選択 フリートーク 打撃系格闘技 女子格闘技 ■団体別 ┣修斗 ┣リングス ┣パンクラス ┗K-１ ■チャット −−−−−− 会議室って？ 無料会員登録 有料会員登録 登録情報変更

99･9･12“PRIDE.7”横浜アリーナ

---

　

第7試合　10分2R

マ−ク・ケァ−（ハンマ−ハウス）

イゴ−ル・ボフチャンチン（ウクライナ）

2R 4'45 ノーコンテスト

　

---

　
　霊長類最強の男、と評されるマーク・クァー。ヒクソン・グレイシーがリングから遠ざかっている現在，バーリ・トゥードでは事実上世界最強の存在だ。これまでの試合も，シカティック，オタービオ，ウゴなどの実力者たちを相手に，ほとんど試合をさせず完封している。
　今回の対戦相手はウクライナのハードパンチャー，イゴール・ボブチャンチン。ゲイリー・グッドリッジに殴り勝ち，小路晃にも勝利している強豪だ。しかし，いくらボブチャンチンであっても，クァー相手に勝利を収める可能性はあまりに低いように思えた。だからこそ主催者のDSEも，この試合の結果が出る前に，次回大会「PRIDE8」のメインでマーク・クァーVSエンセン井上のカードが決定したことを発表したのであろう。クァーの勝利は磐石のものに思えたのだが…。

　1ラウンド。軽いステップから打撃で牽制するクァー。打撃のバランスも相変わらずよい。ボブチャンチンも自分の射程距離に入ると，強烈なパンチでクァーに応戦する。スーパーヘビー級同士の殴り合いに場内から歓声が上がる。しかし打撃ならばボブチャンチンが本職。打ち合いの中でクァーの蹴り足をキャッチ，豪快な右フックでクァーを吹っ飛ばす。
　打撃では不利と見たか、クァーはタックルで倒して上になるが、守りの堅いボブチャンチンに効果的な攻撃を与えられない。離れてスタンドになると，クァーのパンチに合わせてボブチャンチンは強烈な右ストレート。これがカウンター気味に入って，一瞬クァーの腰が落ちる。

　必死にタックルで倒すクァーだが、インサイドガードの状態になると、そこから打つ手がない。試合前に体調不良が噂されたクァーだが、確かにいつもの勢いが感じられない。

　2ラウンド。こんどは打撃に付き合わずタックルでボブチャンチンを倒すクァーだが、やはり上になるだけで試合の展開を作ることができない。逆にボブチャンチンは下からもコツコツと打撃を打ち続けて，クァーのスタミナを少しずつ奪っていく。クァーは足関節を狙う素振りもみせるが、極めるまでにはいたらず，逆にボブチャンチンを立たせてしまう。

　慌ててタックルにいくクァーだが、ボブチャンチンはこれをがぶって潰すと，クァーの頭部に強烈なひざを一撃。これで動きの止まったクァーに、さらにボブチャンチンは追い討ちの膝蹴りを2発打ち込む。
　これでクァーは一時的に失神。思わぬ出来事に一瞬静まる客席，そしてすぐに大歓声。
　勝ったボブチャンチンは回し蹴りのパフォーマンスで大喜びだ。
　意識を戻したクァーは何事かをしきりに抗議するが受け入れられず，ボブチャンチンのTKO勝ちが宣せられた。場内は大ボブチャンチンコールで勝者を称える。
　内容といい，衝撃度といい，この日のベストバウトであった。

　全試合終了後DSEから，この試合がノーコンテスト（無効試合）になったことが発表された。それによると，ボブチャンチンが最後に打った膝蹴りは，打撃が禁止されている4ポイント状態（四つん這い）にクァーがあるときに放たれたものであり，この結果はボブチャンチン，クァー両者とも了承済みだという。
　しかし，この試合ではからずもクァーが「霊長類最強」ではないことが証明されてしまった。このクァーの事実上の敗戦は，来るべき「PRIDE8」を考えると大きなマイナスイメージかもしれないが，クァーが次の「PRIDE8」のリングに立つとき，恐らく彼は今回の失地を挽回すべく，鬼となってエンセンに向かうだろう。「PRIDE8」後にはボブチャンチンとの再戦も予定されており，クァーが再び世界最強と評されるには，この2人を完膚なきまでに倒すことが必要となろう。これまでのプライドのリングは，クァーを頂点としたピラミッド状態にあったが，この試合によって一気に混沌とした様相を呈してきた。PRIDEのリングのパワーバランスをめぐって，クァー，ボブチャンチン，エンセン，三つ巴の争いがしばらく続きそうだ。

　

---

結果一覧に戻る
次の試合 :8. 高田×大塚