地元・花澤ジムの山上のタイトル奪取に観客の期待は集まっている。
　ゴングと同時に打って出る両者。二人ともパンチをぶんぶん振り回して打ち合う。
　そして山上のパンチが先にクリーンヒット。思わず下を向いた永田の後頭部に山上が右をうち下ろす。永田がダウン。
　ところが永田に対して、勢い余った山上がヒザを入れてしまう。
　これで永田は二重のダメージとなる。相殺でダウンが無効となるが、ポイントとは関係なく不利となる永田。
　その後、山上は強引に首相撲に捕らえてヒザの連打。さすがに倒れた後の攻撃に注意していたが、永田はほとんど抵抗できず。
　山上が立て続けに二度ダウンを奪い、大きなアドバンテージを得て１Ｒは終了。
　２Ｒになっても山上の勢いは止められず、ヒザで２度ダウンを奪った後、それでも立ち上がってくる永田に最後は右ストレートでとどめを刺した。

　地元でのタイトル獲得に大沸きの場内。
　１Ｒめの最初のダウンで試合は決まった、といえる。あのシーンでＫＯとなってもおかしくなかった。山上はダウン後の攻撃で反則を取られ、ポイント上では「おあいこ」となったが、その後永田の動きがまったく冴えなくなったことを思えば、裁定のバランスはとれていない。選手自身は故意でなく、勢いで攻撃を出してしまうことがある。それを制御するのがレフェリーであり、ジャッジの役割だ。
　残念ながらこの試合ではその制御はうまく働いていなかった。試合結果、選手の安全面にも大きな影響を与えるだけに、今後は厳密に対応してほしい。

　また、早い決着となったため、山上は実力のすべては出し切れなかった。
　ＭＡミドル級にはランキング１位の東金ルーク、そして港太郎という実力者が控えている。今後のランカーとの対戦でどれだけ存在感を見せつけることができるか注目したい。