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kick 99・10・8 全日本キックボクシング連盟 “WAVE-XIII” 後楽園ホール

第10試合(メインイベント:日本・ニュージーランド国際戦 67kg契約/5回戦) 
全日本ウェルター級王者
魔裟斗
(藤)
判定2-0
[50-48,50-48,50-50]
(*)
ニック・ミッチ
ニュージーランド・ハードヒッター
×
(*)…ニック・ミッチの保持タイトル:WAKO-PROノースイングランドSウェルター級王者、ISKAニュージーランドウェルター級王者、ニュージーランドコモンズウェルSウェルター級王者

 魔裟斗が8月にKO勝利を納めた、スティーブ・ミッチの双子の弟であるニック・ミッチ。そのため、魔裟斗を研究しているだろう、と予想される。今回、魔裟斗は慎重に試合を進めた。右パンチを使いながらミッチを押し、ローとのコンビネーション、しかしガードは緩まない。ミッチもパワーのあるパンチを返してくるが、連発までには至らない。一進一退のじっくりしたペースで進んだ。4Rあたりから、ミッチがやや下がりはじめる。魔裟斗はラッシュこそ見せないものの押しつづけ、優勢をキープした。爆発シーンはなかったが、ハードヒッター相手に魔裟斗の守りの堅さが際立った試合だった。

第9試合(セミファイナル ウェルター級ランキング戦/5回戦) 
×
全日本ウェルター級1位
千葉友浩
(富士魅)
3R2分03秒
KO
元全日本ライト級王者
内田康弘
(S.V.G)
 今回全日本キック復帰戦となった内田にとって、今回が自分の場所を得る重要なポイントとなる。千葉は3月魔裟斗とのウェルター級王座決定戦以来の試合。現在の魔裟斗の独走状態に食いこむのはどちらか、注目の一戦となった。
 千葉はローの連打で先に出る。内田はじっくり待ちながら、とつとつと自分のリズムをキープ。2Rから内田のテクニックが冴えはじめる。千葉の動きを読みつつ、踏み込んだところへアッパー、ミドルに合わせて左ストレート、軸足を刈ってバランスを崩させるなど、派手さはないが内田の色がじわじわと試合を染めていく。
 3R、コーナーに押し込んで内田の膝。ここで千葉が倒れて悶絶。ローブローかと思われたが、そのままダウンカウントが取られる。8で千葉は立ちあがるが、表情は苦痛を浮かべている。そのまま動きが止まった千葉に対して内田はさらに膝で追い詰める。更に2つのダウンとなり、KOとなった。
 S.V.G.の加盟によって、全日本各階級では混戦模様が現れつつある。内田が今日得た場所は王座挑戦まですぐ近くだ。
 最初のダウンについては、ローブローではないかという抗議はされたものの、裁定は変わらなかった。試合においてレフェリーは絶対だが、その判定の基準には疑問が残る。この点については選手の安全面も考慮した上での改善を望みたい。

第8試合(スペシャルマッチ 女子64kg契約/2分5回戦) 
WKA世界ムエタイバンタム&フライ級王者
UKF世界Sバンタム級王者
熊谷直子
(不動館)55.5kg
判定3-0
[50-46,50-45,50-44]
 
高橋洋子
(Jd')63.25kg
×
※体重差が8kgあるため、高橋のみ16オンスグローブ使用
 
 10ヶ月ぶり、ホームグラウンドの全日本キックにおいては実に1年3ヶ月ぶりの“女王”熊谷直子の試合。相手となった高橋洋子は、総合格闘技を主に活動しており、キックでは4戦のキャリアのみ。キックジムに籍を置いたことのない、“兼業キックボクサー”である。8kgのウェイト差は大きいが、それでも熊谷の相手としては、高橋は外れている。短時間で熊谷のKOシーンが見られるだろう、と予想された。

 1Rから熊谷の強いパンチ、キックが高橋を圧倒。高橋はそのパワーに押されながらもストレート、ローを返す。がすぐに熊谷に立ち切られてしまう。このままラッシュかと思われたが、熊谷はらしからぬ動きを見せる。今にも倒れそうな高橋に対して、熊谷のパワフルな攻撃展開は不発のまま。高橋は耐えに耐えて3Rまでが過ぎる。
 4R、熊谷がコーナーに追い込みパンチのラッシュ。高橋ダウン。8でファイティングポーズを取るが、既にダメージが溜まり、試合続行も難しいかと思われた。しかし試合続行。高橋は最後は気力だけで5Rまで闘いぬいた。ダメージはもちろん、最初から最後まで、熊谷の試合だったことは間違いない。

 判定は圧倒的差で熊谷の勝利。しかし、女子では群を抜いた存在である熊谷直子に対して気力を萎えさせなかった高橋に対して、試合終了後拍手が寄せられた。
 試合後熊谷は「自分を過信しすぎていた。一からやり直しです」と反省一色のコメント。ブランクはことのほか、影響が大きかった。試合が少ないという女子の現状が、このカードの背景にある。なんとか打開点を見出せないものか。

第7試合(ライト級ランキング戦/5回戦) 
全日本ライト級7位
横山潔昌
(谷山)
4R1分43秒
KO
元NJKFライト級3位
三上洋一郎
(S.V.G)
×
 横山がパンチ連打で1Rから主導権を握る。ハードパンチャーという評判をそのまま体現してみせる左右のストレート、フックに対し、三上は右のパンチとミドルで応酬するが単発、リードを奪うまではいかず。中盤、三上の左フックが入り逆襲かと思わせたが、直後の頭部へのパンチで三上の足が止まる。4R1分頃、横山のフックで三上ダウン。8で立ちあがるもその後横山のパンチラッシュでさらに2ダウンを喫し、3ダウンKOとなった。

第6試合(ライト級/3回戦) 
 
酒井秀信
(レックスジャパン)
1R2分27秒
KO
 
野尻和哉
(飛鳥塾)
×
 
第5試合(ミドル級/3回戦) 
×
 
森 修
(谷山)
1R1分46秒
KO
 
清水貴彦
(超越塾)
 
第4試合(バンタム級/3回戦) 
×
 
藤本勝彦
(谷山)
判定0-3
[28-30,27-30,27-30]
 
笠原大介
(飛鳥塾)
 
第3試合(ヘビー級/3回戦) 
×
 
加藤恵三
(レックスジャパン)
1R2分38秒
KO
 
マンモス西
(AJパブリック)
 
第2試合(フライ級/3回戦) 
×
 
柏木吾一
(S.V.G.)
判定0-3
[28-30,29-30,29-30]
 
加藤豊
(月心会)
 
第1試合(フェザー級/3回戦) 
 
大月晴朗
(レックスジャパン)
2R1分12秒
KO
 
森下知之
(月心会)
×
 
 
レポート:薮本直美