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Report

ニュージャパンキックボクシング連盟「MILLENIUM WARS 8」
2000年9月24日(日)東京・後楽園ホール

第10試合 ウェルター級/5回戦 
× 同級5位
中村篤史
(北流会君津)
4R1分46秒

KO
同級6位
佐藤嘉洋
(名古屋JKF)

 1年ぶりに試合を迎えたウェルター級の強豪中村篤と、強力な膝蹴りでデビュー以来無敗の6連勝、7月大会では広川靖之との無敗対決を制し勢いに乗る佐藤嘉洋とのランキング戦は、肘と膝、そして鮮血が飛び交うダウン応酬の大味な流血戦となった。

 佐藤の生命線にして最大の武器は首相撲からの膝蹴り。今回もミドル、テンカオで接近すると早速首を捕まえにかかる。もちろん中村も只で獲らせてやるほど人は良くない。足を使って距離をとりつつ、伸びてきた佐藤の腕越しに中村の最大の武器である肘を佐藤の顔面に飛ばす。しかし佐藤、強引に膝を中村のボディに突き刺すと中村後退。その威力はやはり絶大だ。そらに下がる中村の頭を腕で押さえつける様にして抱え込んで下を向かせると後頭部に肘を打ち下ろし1R残り20秒の時点でダウンを奪う。苦笑いを浮かべつつ立ち上がった中村に、佐藤なおも首相撲からの膝で追撃するが中村ゴングに救われる。

 2R、勢いに乗って首相撲にとらえにかかる佐藤。中村組まれた状態で長身の佐藤に対し飛びかかるように肘を連打。怯んだ佐藤を投げ捨てる。起きあがった佐藤の右目尻から鮮血。ここでレフェリーはドクターチェックを要請。予想以上に長引くチェックだが、佐藤の必死のアピールもあり再開。
 再開後流れを引き戻したい佐藤が首を取りに行くが中村が抵抗、逆にこの取り合いを制し、さっきのお返しとばかりに後頭部に肘を一撃。さらに顔面に膝を強打すると佐藤キャンバスに崩れ落ちダウン。立ち上がるもフラフラの佐藤に対しすっかりイケイケの中村はまたも膝蹴りでダウンを奪う。完全にグロッギーの佐藤、KO負けの大ピンチ。中村は奇妙な薄ら笑いを浮かべながら肘で止めを刺しにかかるが佐藤も気力を振り絞って肘を打ち返していく。さらにハイキックを放つなど完全に中村のペースだったが佐藤持ちこたえて2R終了のゴング。

 3R。中村の飛び込んでの肘に佐藤は首相撲に捕らえて膝を出すが中村構わず肘連打。右がクリーンヒットし佐藤棒立ち、コーナーに押し込まれる。ここでまたも肘の打ち合い、今度は中村が出血しドクターチェック。佐藤はなんとか気力で立っている様な状態、金魚の様に口をパクパクさせつつもそれでも攻撃の手は止めず中村とともに肘を振り回す。

 そして4R、佐藤首相撲からの膝蹴りを放つがもつれ合って倒れ込んだ拍子に中村の頭部に佐藤の膝の辺りが当たったのか中村大流血。いつストップされてもおかしくない状態だったが再開。しかしこれで流れが変わる。
 佐藤最後の力を振り絞る様に膝蹴りの連打。ボディに食い込むたびに中村後退、そしてついにダウン。パンチで応戦しようとする中村だったが佐藤これしかないとばかりに膝連打で続けざまに2つのダウンを奪い取り大熱戦に終止符を打った。

 試合が終了すると同時に大の字になった佐藤は号泣。しばらく涙は止まらなかった。初めての上位ランカーとの対戦。そこで自信をもっていた膝蹴りを攻略され絶体絶命のピンチに陥り、しかし最後にはその信頼する武器で土壇場からの逆転勝利。この勝利は単なる1勝以上の価値がある。
 これでウェルター級ビッグ3(青葉繁、松浦信次、大谷浩二)に告ぐ存在となり、タイトルも見えて来た佐藤。しかし本人にはまだまだ課題が多い様で、「まだまだです。全勝なんていったって、自分の中では負け越してますから。今回の試合も納得いかない」とうなだれる。そうは言ってもこの試合で一皮向けたことも確かだろう。
 先日のウェルター級リーグで他団体、それもライト級あがりの小野瀬邦英に総なめにされたNJKFウェルター級。世代交代が叫ばれる中、新世代の台頭は確実に始まりつつある。

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レポート:新小田哲  写真:菊地奈々子

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