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Report

女子総合格闘技 ReMix GOLDEN GATE 2001
5月3日 東京・国立代々木競技場第2体育館
主催:株式会社エヌ・イー・オー 観衆:2,095人(主催者発表)

「薮下&高橋、柔術技に散る。柔道出身・星野、デビュー戦をKOで飾る」

レポート&写真:井原芳徳  インタビュー編集:横森綾

第1試合 ReMix公式ルール5分3R
張替美佳(日本/総合)
ジャミラ・メストーン(オランダ/キックボクシング)
判定5-5

 前回トーナメントで一回戦敗退した元プロレスラーの張替が出場。ジャミラがパンチ、フロントチョークで攻めたが、1Rにガードポジションで張替の顔面にパンチを打ち反則を取られ減点対象されたためドロー。

第2試合 ReMix公式ルール5分3R
星野育蒔(ほしの・いくま:日本/総合)
×コボチノバ・タチアナ(ロシア/柔道)
3R 0'47" KO(パンチ)

 タチアナは99年柔道ロシア選手権・ヨーロッパ選手権優勝の実績を持ち、12月の武道館大会では、格闘技初挑戦で話題を呼んだタレントの桜庭あつこから腕十字で一本勝ちをおさめている。対する星野は柔道初段、近畿大会ベスト4の実績を持つ19歳。柔道から総合格闘技に転身し、今回がデビュー戦。柔道家同士の組み技の攻防が予想されたが、キックボクシングのパンツを履いた星野の、ランバー・ソムデートの元で練習を積んだキックが冴える。グラウンドになっても、前回薮下めぐみが見せた亀になってのディフェンスでタチアナを攻めさせない。ローキックで相手をひるませた隙に首を捕まえ投げた時の動きもスピーディー。グラウンドでバックと取れば、亀になった相手に果敢に膝蹴りを叩き込む。2R終了間際には腕十字も極めかけ、最後は左ミドルから右ストレートのコンビで見事KO。柔道仕込みの寝技にとどまらず打撃でも素質を開花させた。試合中の顔つきも良くスター性を感じさせる。5月24日渋谷clubATOMで開催される渋谷系女子格闘技SmackGirlにも出場が決まっており、今後の成長に期待したい選手だ。

星野コメント

「(隣には星野にキックを教えたランバー・ソムデートM16が座る)思い通りには試合はいきませんでした。練習通りにいかなかったけど、ガッツで乗り切りました。最後は、右だったかな? だったと思います。実は、右・左と打っていたんです。(通り掛かったセコンドが星野に「コンソメ・パンチと言え」と指示)左が弱くて「コンソメ・パンチ」なんですけど(笑)その「コンソメ・パンチ」で決めました。
(対戦相手について)柔道で強いというのはよく分かっていましたから、ただただ、勝ちたい、という気持ちで行きました。タチアナはサンボも知っていて、足関節も極めてくるだろうから、立ち技で勝負する作戦で行きました。カメになって守る、というのは相手がタチアナなので、ということとルール(グランド30秒でスタンドへブレイク、スタンドへ移行する)を生かした作戦です。本当は、どんどん自分から仕掛けていきたいけれど、相手がタチアナなので。
(打撃の練習について)SSSアカデミーでランバーや、鳥羽さん、パヤレックに教わっています。まだ1ヶ月半くらいですが。ヒザ蹴りが出なかったから(自己採点で)70点くらいだと思います。試合前の追い込みとか、全部ランバーにやってもらっていました。本当は、私は右利きなので左足を出した構えをするべきなのですが、柔道は利き腕の方の足を踏み出す構えなので、そちらの方が力が入りやすくて、柔道での踏み込む構えにあわせて打撃も教わっています。
(今後の展望)たくさんの人と試合をしていきたいです。SmackGirlに今後は出ていきます(5月24日渋谷clubATOM)。試合に出て、勝つことが目標です。
(柔道から総合格闘技に転身した経緯)今年の2月半ばにSSSのジムへ、友達に連れていってもらってパンチを打ってみたのが最初でした。パンチの方が気持ちよくて、興味もあったので、それからです。ちょうどそのころ、大学の寮生活とか、いろいろしんどくて、柔道は好きなのに、それ以外のことでイライラしていて、そんなときに総合と出会ったのが始めるきっかけです。3月から練習を始めて、4月には大学も辞めました。それまで、格闘技の試合はほとんど見たことがなかったけれど、ビデオを借りて研究しました。殴られることは怖くないです。」

第3試合 ReMix公式ルール5分3R
×小山亜矢(日本/プロレス)
アンナ・コピリーナ(ロシア/空手)
2R 0'31" レフェリーストップ(腕ひしぎ十字固め)

 元プロレスラーの小山は身長160cm。対するコピリーナは193cm。空手家のコピリーナはいきなり変則的なハイキック(いわゆるナイマン蹴り)で小山からダウンを奪う。総合ルールは初めてながら、ガードポジションをしっかり取り、アキレス腱固め、フロントチョークとグラウンドテクニックもレベルが高い。小山もグラウンドを嫌ってタックルに持ち込むが全て見切られてしまう。最後は腕十字でレフェリーストップ勝ち。身長差だけでなく、総合格闘家としての素質の差がはっきりと出た試合だった。

コピリーナのコメント
「極真空手では松井派で二段です。総合ルールの試合は、これが初めてですが、今後もやっていきたいと考えています。私はまだ若いですし、いろいろチャレンジしていきます。6月の9日と10日、極真世界大会のためにまた日本にロシア代表として来ます」

第4試合 ReMix公式ルール5分3R
久保田有希(日本/総合)
×ユタ・ダム(オランダ/総合)
1R終了後 ユタが足負傷で棄権

 久保田は高校柔道選手権準優勝の実績を持つ27歳。元キャプチャーのニーハオこと宮沢(オフィス荒武者)の元で修業を積んでいる。昨年のL-1でマーロス・クーネンに敗れたが、その後アマチュアコンテンダーズなどで戦績を重ね、念願のReMix出場となった。内田有紀似の美形なマスクも魅力的だ。対するはそのクーネンと同門のユタ・ダム。クーネンと同じく手足が長く、パンチのラッシュで久保田を苦しめる。久保田の投げも潰しバックから脅かす。だが久保田がローを連打すると、途端にユタは失速。3ケ月前の捻挫の後遺症が残っていたようだ。差し合いの攻防でも久保田が膝をコツコツ当てる。1R終了後にユタは立ち上がれず棄権した。久保田もSmackGirl出場予定で、活躍が期待できそうだ。

久保田のコメント
「前回、大きな大会に出てチャンスをもらったのに逃しました。それがあるので、今日のチャンスを逃したくなくて、今回に向けて頑張ってきました。精神的な面で強くなることから心がけてきました。練習は今まで通り、コーチを信頼してやってきました。沼津にいるので、練習の仲間や場所を見つけることから始まるので、環境的には、あまり良いとは言えないのですが。
今日の試合は、練習してきたことを中心にやっていくつもりできました。グランドでは負けたくないと思っています。小学2年生からずっと柔道をやってきて、グランド、柔道では寝技にあたるものでは絶対に負けたくなかったので。相手(ユタ・ダム)も柔道をやっていると少し聞いたので、グランドでは負けたくないと思いました。
殴るのも殴られるのも、実際のところは嫌だけど、総合はやっぱり楽しい。何が楽しい、というのはうまく言えなくて分からないけど、楽しいです。
次は、もう少し打撃の練習をして、スタミナも上げて、落ち着いて試合が出来るようになれば、と思っています。」

第5試合 ReMix公式ルール5分3R
×中山香里(日本/プロレス)
リー・ヨンファ(韓国/キックボクシング)
判定9-21
 女子プロレスラー中山が総合格闘技初挑戦で話題を呼んだこの試合。対するリーはキックボクシング7戦5勝1敗(KO無し)の16歳。首相撲での膝蹴りで中山を脅かす。こちらも総合は初挑戦ながら下になってもしっかり足をロックしガードポジションを取る。2Rには中山がパンチをもろに喰らいスタンディングダウンを2度宣告される。鼻血を出し苦しそうだが、3Rテイクダウンに成功しマウントから渾身の腕十字。リーがタップしたが、グラウンドの攻防が30秒でストップされるルールに阻まれ、30秒の間にタップを二度しかしていないという理由で一本勝ちを逃してしまう。以降中山はキャプチュード気味の投げを放つなど見せ場はつくるが、基本的に劣勢でまたも2度のダウン。結局大差の判定でリーが勝利した。

リー・ヨンファのコメント
「試合に勝てて、すごく嬉しいです。中山選手は、とても怖かった。プロレスラーと聞いていて、すごく強いと思ったし。3Rに腕十字をとられてすごく痛かったけれど、我慢できないほどではなかったし、時間切れになると思ってこらえていました。頭から投げられたりもしたけれど、緊張していたので、よく覚えていません。」

第6試合 ReMix公式ルール5分3R
×高橋洋子(日本・Jd'/総合)
マルロス・クーネン(オランダ/柔術)
1R 1'13" 腕ひしぎ十字固め

 前回トーナメント優勝のマルロス・クーネンと、総合格闘技の戦績豊富な高橋洋子という実力者同士の注目の一戦。クーネンのセコンドには桜井“マッハ”速人、マルタイン・デ・ヨングら修斗勢が付く。早くから来日し修斗の各ジムで練習を積み、すっかりマスコットガールのような存在になりつつある。
 スリリングなスタンドの間合、激しいパンチの攻防に好勝負の予感がしたが、試合は意外にあっけなく終わった。高橋が首投げを放つが、クーネンは落ちついてガードポジションを取り、足を素早く肩に入れ下から腕十字を極めた。高橋もたまらずタップアウト。クーネンは試合中の真剣な表情から一気に変わりいつものファニーフェイスで大喜びした。

マルロス・クーネンのコメント
「最初のパンチはびっくりしました。それから、わざと殴り合いに応じるフリを見せて、グランドへと運びました。試合中にスキがあれば、必ず極めを狙うようにしているので、そのスキがたまたま、早い時間に今回はありました。
日本に来てからは、修斗のオフィシャルジムで佐藤ルミナ選手や、K'zファクトリーのみなさん、パレストラで中井さんなどたくさんの人と練習をさせてもらいました。日本の選手は、グランドが上手なので勉強になります。
試合というのは、誰でも負けることはあります。でも、好きだからこれからも続けていきます。また、メグミ(藪下)と試合がしたいですね。それから、トーナメントをやって決勝に出たいです。そこでまた、メグミと試合が出来たらいいですね。」

セミファイナル ReMix公式ルール5分3R
×八木淳子(日本/総合)
グンダレンコ・スベトラーナ(ロシア/柔道)
判定0-6

 八木は腰と肩のテーピングが痛々しい。前回トーナメントでは薮下に敗れたグンダレンコだったが、今回はルールを活かした攻撃で八木を完封した。スタンドでは攻撃を続けている限りブレイクがかからないため、コーナーに押し込んでパンチを連打。さらに首投げからの袈裟固めで八木を締上げる。勝ちをおさめたグンダレンコは大喜び。

グンダレンコ・スベトラーナのコメント
「疲れていません。全然疲れていません。前回の教訓を生かして、たくさんの練習をしてきて、完全な状態で今回は試合に挑みました。
去年、ReMixでの試合に負けたことは、非常に大きなショックでした。一日、なにも喉を通らないし、ロシアに帰ってもショックが大きくて、なかなか立ち直れませんでした。
前回は、当日になって急に20秒でグランドをブレイクされるルールに変わったりと、いろいろと通訳を通じて聞いていたことと違うことがあり、ロープをつかむことについても、逃げるためにやったわけではなかったのにマイナス評価になるなど、残念でした。
でも、ロシアのことわざに「敗北も次の教訓のもとだ」というものがあります。私は、前回、負けたおかげでいろんなことを学びました。そして、それらを生かして練習に励んだのです。
私は、普段は柔道と相撲の連盟の会館で練習をしています。子どもに教えたりしています。そして、相撲の世界チャンピオンのライス・カバリニコフに相撲流のトレーニングをいろいろと教えてもらいました。今回は、それが生かされています。

ヤギは素晴らしい柔道家です。でも、もう少し肉体的に耐久性が増したほうがよいと思います。今日の試合も、最初の1分は勢いもあって非常に良かった。でも、そのあとはだんだん弱まっていった。
前回の大会で、私は小さな相手が逃げるのを追いかけすぎました。だから、今度は自分からは追わない。待って、待って、やってくるのを待つという作戦をたて、それが功を奏しました。
今回のルール変更は、まったく問題ないです。前回にくらべ、グランドで攻めていることも評価されるのでよいと思います。
次は、神取選手とやりたいですね。前回のような試合はしませんので、藪下でもかまわないですよ。
試合のとき、私はいつも、きちんと化粧をします。試合を見に来てくれるお客さんは、多くが男性です。見ていただくのにふさわしいようにするのが、身だしなみですから。私を応援してくれる人も、友人もたくさんいますから。試合のときは、自分への声援、応援がよく分かるので、それにふさわしいようにしているのです。
神取戦については、なにも具体的なことは答えたくないですね。言えることは、彼女には優れた資質がある、ということだけです。
次回の来日は、10月に大きな大会があって、それになるかもしれません。ひょっとしたら、もうちょっと早くなるかもしれませんが。」

メインイベント ReMix公式ルール5分3R
×薮下めぐみ(日本・Jd'/プロレス)
エリン・トーヒル(アメリカ/総合)
2R 3'10" 腕ひしぎ十字固め

 グンダレンコとの名勝負で一気に名を響かせた薮下。スピーディーでアグレッシブな動きはこの試合でも健在だったが、一回り大きく、総合の闘いを心得たトーヒルに苦戦。トーヒルはLAボクシングジムで磨いた伸びのあるパンチで薮下からスタンディングダウンを奪う。なかなか距離のつめられない薮下は裏拳で打開をはかるが、トーヒルは冷静。カリフォルニア大会3年連続優勝の実績を誇る柔術技も冴え渡り、引き込んで下からの腕十字で脅かす。薮下はパンチを嫌ってタックルを狙うがトーヒルは完全に切ってみせる。2Rまたも引き込んでの腕十字を試みると今度はガッチリ極まりついに薮下がタップアウト。Jd'の同僚・高橋と同じ技で散った。結果的に薮下が柔術対策の乏しさを露呈した。

エリン・トーヒルのコメント

「今までの私の総合格闘技の試合でベストバウトでした。試合というのは、どんな試合でも難しいものです。いつでもリスクが体に迫っているので。藪下選手は、すごくハートが強いので、そういう意味でも難しい試合でした。勝因は……すべてですか(笑)
前回は身長の高い選手が相手でしたが、今回の藪下選手は非常に小柄です。タックルが早いですし、非常に低い位置なので、ベースを低くしたトレーニングを心がけました。
藪下選手の試合のビデオを、自分のジムの生徒たちにみせたことがあります。そうしたら、「パワーレンジャー(日本の変身戦隊ものの特撮「ジュウレンジャー」の米国輸出版)に似てる」と子どもたちに人気でしたよ。小さいけどハートが強くて、パワーレンジャーみたいだ、と。
日本でまた、試合をしたいです。ReMixでやりたいですね。日本という国も非常に気に入りましたし。
次の対戦相手の希望は、特にありません。私は、誰とでも、どこでも、いつだって闘いますから。」

薮下めぐみのコメント

「(残念な結果だが?)負けは負けなので、いい勉強をしたと思ってます。 (相手との差は?)いつもあると思うんですけど、自分としては凄い楽しんでできたので、勝ち負けはそれについてくるものであって、満足いって言うと変ですけど、すごくいい勉強もしたし、これからのプラスになると思いました。(怪我した肘は?)どうなんですかね?外れたのわかって先生に入れてもらって、脱臼と言っていたんですけど大したことはないんじゃないですか(笑)。わかんないですけど。
(今回の大会向けに特別な練習は?)一切。プロレスもやっているので難しいと思うんですけど。でもこの間よりちょっと多めに総合の練習行ってたんですよ。それがまずかったのかなと思ったしてるんですけど(笑)。でも特別な練習はしてません。(柔道をやっていたときから、「参った」負けというのは?)昔はよくありましたけど、折れても参ったはしないぞと。リングに上がった以上折れてもいいんですよ。だから、久しぶりです、腕ひしぎとか取られたのは。(次は?)やりま〜す。どんどんどんどんやります。(やっぱ仕事じゃなくて楽しくやる?)楽しくて、趣味ですね。趣味なんで、やりたいですね。(仕事じゃできない?)仕事だといやになっちゃうので、このくらいがちょうどいいのかなていうのがあります(笑)。
(相手のトーヒル選手の印象は?)ビデオも見たんですけど、やっぱり立って良し寝て良しの選手だったんで。リングに実際上がってみないと分からない部分もあったんですけど、向こうもすごく笑顔でやってくださったんで、自分としては凄いうれしかったですね。リング上でああいう笑顔を出してくれるっていう。
(ドロップキックとかは狙っていたんですか?)ハハハ!ちょっとやってみようかなと思ってやったんですけど(笑)。(当たりはどうでした?)全然ダメでした。ヘタクソでした。もっと練習します。
(前回戦ったクーネンと似た、背が高い似たタイプでしたが?)クーネンより大きかったですね。クーネンもパンチすごかったし、今回の選手もすごかったので、これからパンチに慣れることを勉強しなきゃいけないなと。勝つことにこだわるんだったら、パンチとかキックも勉強しないといけないなというのは実感しました。ハイ。
(高橋選手が負けたことが発奮材料になりましたか?)いえ。高橋さんの試合も見てたんですけど、自分の試合より人の試合の方が凄く緊張して見てて、ああ負けちゃった、ってぐらいで。自分は自分なんで。負けても私はそれを引きずらないで、どんだけ自分の試合ができるかってのでやってましたけど。
(偶然同じ技で負けましたが)そうですね。やばいですね。同じ右手で。高橋さんレフェリーができないと思うんですけど。どうしたらいいですかね。私も6日に試合なんですけど、どうしましょ?ってぐらいなんですけど(笑)。
(負けたけど悔いはないと)ぜんっぜんっ無いです。もうすんごい楽しかったです。
(右の太ももの傷は?)4月29日のプロレスの試合で、ブラディ選手にブレーンバスターで場外に投げられた時に、イスの柄に当たったんですよ。それが痛くて痛くて。
(賞金のかかったトーナメントで巻き返すと)ほんとですね〜、賞金が掛かった方がいいかもしれないです〜(笑) 。またがんばりまーす。
(6日の試合には出れるんですか?)出なきゃマズいですよね。あたし趣味で格闘技戦やってるんで、本業サボるわけいかないんで。先生と相談してもし出れるようなら出ます。無理しない程度に。
(今回は家族の方がセコンドについていましたが)はい。うちのパパちゃんが。(特に試合に対する影響とかは?)なんか親来るとダメみたいですね。お父さんが言ってたんですけど。このためにわざわざ来てくれて。妹も大阪から見に来てくれて。これから暇があればまたセコンドにでもついてくれたらいいかなと思います。(お父さんの名前は?)「俊昭」です。(試合中アドバイスは?)お父さんは結構言ってました。「ジャブしろ」とか「動け」とか言ってたんですけど、「おまえはとりあえず太ったから、動きが悪くなったんだ」と一言怒られました(笑)。 」

篠泰樹・大会実行委員長のコメント

「ReMix2回目ですが、試合は素晴らしいものが多く、良い試合に感謝しています。ただ、動員の部分で足りないところが多いので、その部分は努力していきます。
今月24日からSmackGirlも開始しますし、女子総合格闘技を広く普及して行くつもりです。現時点で、10人ほどの新しい選手がいます。埋もれている素材がたくさんいると思うので、彼女たちのステージを提供していきたいと考えています。そして、海外にもReMixを持っていけるようにしたいです。年内に中国でやる話もありますし、それ以外の国からの話もあります。名付けてReMix平和の祭典です(笑)。
(体重差のある試合での打撃については危険な場面が目立ったが?)先ほども審判団と試合の止め方について話したのですが、もっと早い段階で止める方向になります。選手を守るルールに気を配っていきます。無差別でやる試合、というのも見所であり、面白いところでもあるので、残していきたいと考えています。無差別でも安全に戦えるルールづくりへ進んでいくつもりです。面白い試合が多かったので、進んでいく方向は間違っていないと考えています。
今後は、夏と年末の開催に向けて動いていきます。年末のは、トーナメントでワールドカップ2001として開催予定です。
中山選手には勇気に感謝です。女子プロレスラーにも、どんどんあがっていって欲しいです。
今日で、日本人選手の課題は多く残されました。技術レベルをもっと上げていって欲しいです。藪下選手は負けましたけど、技術が劣っているとは思っていません。とはいっても、下から星野とかSmackGirlで追い上げてきますから、追い抜かれないように頑張って欲しいですね。」



<大会総評>

 何より選手たちのすがすがしい表情が印象的だった。今日が総合デビューだった星野育蒔(いくま)の試合中の目付き。第4試合の久保田有希とユタ・ダムの試合に臨むまでの気合の入った表情。いくら殴られて立ち向かう中山香里の腫らした顔。署名運動までして念願の舞台に立てた高橋洋子の入場時の引き締まった顔。クーネンの喜怒哀楽激しく移り変わる表情。雪辱を晴らしたグンダレンコの喜びの笑顔。お互い真剣にパンチを打ち交わしながらも闘えることの喜びから笑顔が込み上げる薮下とクーネン。
 篠泰樹・大会実行委員長は、大会パンフレットの挨拶で次のようなメッセージを寄せている。「ReMixは【言葉のいらないエンターテイメント】として、総合格闘技の世界標準をねらいます」。女子選手の表情は、その【言葉】の代わりに十分お客さんを楽しませる第一要素になるのではないか?。個人的には全試合終了後の記念撮影で、女子選手たちみんなが笑顔を交わしていた光景が最も強く印象に残っている。

 だが、総合格闘技と謳う以上、ルールも選手の技術もまだまだ発展させていかなければならない。グラウンドでの顔面パンチが認められないせいもあり、グラウンドの制限時間が20秒から30秒に伸びても時間内に極めるのは至難の技だ。腕十字の一本が3試合あったが、ディフェンス方法をある程度習得すれば30秒以内なら守りきれる技なので、次回以降は一本はさらに難しくなるだろう。膠着を排除するルールは逆に言えば選手に休む間を与えず、どうしてもスタミナを激しく消耗する欠点がある。別の技を考える余裕も与えず、各選手まだまだ技のバリエーションに乏しいこともあいまって、どうしても同じ技に固執してしまう。同じ展開の繰り返しに観客が飽きる場面も何度か見られた。グラウンドの制限時間を30秒から1分ぐらいに伸ばすか、あるいは1ラウンドの時間を3分か4分ぐらいに短縮してスタミナに配慮するか、時間についてはまだまだ改善の余地がある。別に全試合を同じ時間に統一するのではなく、何試合かを別の秒数にするとか、グラウンドの顔面パンチを認めるとか、実戦を通して試行を繰り返してみるのもいいのではないだろうか? その実験場として、5月24日から毎月第4木曜日に渋谷のclubATOMで開催される「渋谷系女子格闘技SmackGirl」が絶好の舞台となりそうだ。

 今回の観客動員は2,095人と、会場の許容量を考えれば正直寂しい入りだった。だが出場選手の技術水準とネームバリューを考えれば、後楽園ホール満員程度のこの数字は結構妥当な線だと筆者は捉えている。なにしろ、ReMixはまだ第2回である。ルールの改善をはかり、選手を育成すれば、これからもっと動員は増えるだろう。女子選手たちの笑顔を思い浮かべるたび、そう楽観したくなる。

井原芳徳)

レポート&写真:井原芳徳  インタビュー編集:横森綾

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