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ホークエンターテイメント主催 第2回タイタンファイト

1月21日(日)東京流通センター・アールンホール

「ピンクの台風席巻。タイガープレイス久松勇二、タイタンを制す」

取材:井原芳徳・石渡知子

▼ 昨年9月に開催され、場外転落失格、素手での打撃ありなどの奇抜なルールで話題を呼んだ山本喧一企画の「タイタンファイト」の第2回大会が、東京流通センター・アールンホールで開催され、パンクラスにも出場経験のある久松勇二が23人出場のトーナメントを制覇し、80万円の賞金を手にした。

 久松は今は無き深夜番組「11PM」のテーマ曲をバックに、ピンクのパンツにピンクのガウンで登場と、入場からインパクト抜群。試合でもシード権と不戦勝に助けられながらもパワーオブドリーム(POD)勢を3タテし、プロとしての貫録を見せ付けた。うち2試合は対戦相手を場外転落させてのドロップアウトによる勝利と、ルールをきっちり活かしてのもの。準優勝の折橋謙(POD・写真右端)とともにグランドチャンピオンシップ出場権(12月開催予定)を獲得したが、その優勝賞金1000万円をも獲得してしまう可能性も高いだろう。今回はヤマケンとの公約を果たす形で優勝し、感激もひとしお。リング上でマイクを持つと「今日1月21日オープンする道場タイガープレイスの代表になりました。この優勝を新しい道場の出発に添えることが出来て光栄です。皆さん、応援どうもありがとうございました。そして、慧舟會本部、RJW、A3-GYMに続いて総合格闘技界の新たな新風を吹き込みたいと思っていますので応援よろしくお願いします」とプロ初勝利を噛み締めていた。

 ヤマケン率いるPOD勢も大活躍。100kgの折橋がパワーを利してのドロップアウトで決勝まで進出したが、三回戦敗退の所英男もなかなかの技術の持ち主だ。所は昨年12月のグラップラーズガーラグランプリ(正道フリースタイル柔術)ウェルター級では太田吉信(四王塾/プロ修斗フェザー級・現5位)らを破り優勝するなど既に実力には折り紙付き。一回戦はシードで、二回戦では20kg重い相手を慎重にパスするとスピード抜群の腕十字を極め関係者をうならせた(下連続写真)。三回戦の相手の久松も20kg重いが、所のコスチュームのウェットスーツが滑りやすい材質だったせいもあり、寝転んだところでドロップアウトされてしまった。だがコスチュームにさえ注意すれば次回以降のタイタンでも台風の目となる可能性は十分ある。現在23歳で、高校までは野球部でキャッチャーをやっていたというが、格闘技はPODでの1年半のキャリアのみというから驚かされる。先にプロデビューしている梁正基、市川直人らとともにPODの代表選手として格闘技界を かき回す存在となりそうだ。

 トーナメント全体では、前回は両者転落による失格が多かったが今回は1回のみ。ほとんどの選手がドロップアウトのルールに適応し、なるべくステージの中央部で闘うか、ステージの端に来ればうまく相手だけを落とす身のこなしをしていた。ドロップアウトのルールが、単なるゲーム性から脱皮し格闘技としてのリアリティを獲得しつつあるようだ。テイクダウンの技術のある選手には有利といえよう。下連続写真は一回戦第四試合で佐藤晃一(A3−GYM/柔術)がステージ際で十字を狙ったところをサイ リョウジ(ドージョーカマクラ/シルム)が見事ドロップアウトしたところ。

 またレフェリーストップのタイミングもアマチュア中心の大会としてはより適切なものとなりつつある。4分2R以内で決着が付かなければ両者失格というルールも選手のアグレッシブさを引き出しており、特に3位の芹沢健一(和術慧舟會静岡支部:冒頭写真左端)は4試合中2試合は残り30秒以内という瀬戸際で力を発揮し、グラウンドパンチによるレフリーストップでどちらも勝利をおさめた。このように、ルールの考案者であるヤマケンの理想とする「格闘の原点であるケンカのリアリティを損なわず、なおかつ安全で緊張感がありエンターテイメント性の高い」形に近づきつつあることを実感させられた大会となった。前回は席の足りなかった会場も今回は席も十分用意され、どの位置からもステージを見下ろせる高さに配慮されており、お客さんからは「ロープが無いので見やすい」という声も聞かれた。

 ただし正体不明のミスターXという選手(右写真)の怪我への対処だけは問題を残した。覆面を被り、所属・戦績は非公開のこの選手は、一回戦の開始早々からマスクの下の目の上を出血。覆面をステージで脱げないため控室に戻ってドクターチェックをしたため5分ほど試合をストップさせた。前回大会に続くマスクマンの存在は、意外性の演出としては面白いが、勝負論からすれば疑問を残す。大会の進行に支障をきたすようではなおさらで、主催者の今後の善処が望まれる。

 なお第3回大会は3月25日(日)今回と同じアールンホールで行われる。出場希望の選手は主催のホークエンターテイメントまでお問い合わせを(担当・大城 TEL & FAX 03-5734-5354 またはPOD公式サイト)。他にもヤマケンは、来賓として訪れた菊田早苗佐々木有生らが率いるGRABAKAとPODのタイタンルールによる対抗戦も企画しており、実現が期待される。

(井原芳徳)

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レポート&写真「T−1カップ・タイタンファイト 2000年9月29日(金)」
ニュース「優勝賞金1000万! ヤマケンがタイタン構想発表」


ホークエンターテイメント主催
第2回タイタンファイト
1月21日(日)東京流通センター・アールンホール

優勝・久松勇二(タイガープレイス/和術/'99東日本アマ修斗ライトヘビー級3位)
2位・折橋 謙(パワーオブドリーム/グラップリング/正道フリースタイル柔術無差別級優勝)
3位・芹沢健一(和術慧舟會静岡支部/総合格闘技/'99東日本アマ修斗ミドル級3位)

一回戦第一試合
×李昇龍(朝鮮大学校柔道部/柔道)
○岩部宏(鴨居ジム/相撲)
1R2'12" レフェリーストップ(サイドからのパンチ)

一回戦第二試合
○村本真一(ストライプル/柔術)
×三浦伸哉(フリー/空手)
1R1'32" 腕ひしぎ逆十字固め

一回戦第三試合
×山田護之(フリー/柔道)
○芹沢健一(和術慧舟會静岡支部/総合格闘技)
1R0'29" ヒールホールド

一回戦第四試合
×サイ リョウジ(ドージョーカマクラ/シルム)
○佐藤晃一(A3−GYM/柔術)
1R0'26" 反則勝ち(膝パッドなしの膝蹴りのため)
※サイが「入場時にパッドを渡されるものと勘違いしていた」と再試合を要求し、佐藤も受け入れたため、一回戦第六試合の後に再試合が行われた。

一回戦第五試合
○ミスターX(非公開/空手)
×下迫紀雄(フリー/ボクシング)
1R2'14" レフリーストップ(マウントパンチ)
※ミスターXが目尻を出血し5分ほど中断あり。

一回戦第六試合
○太田裕之(パワーオブドリーム/グラップリング)
×岡田滋(RJWセントラル/総合格闘技)
1R2'03" ドロップアウト

一回戦第四試合・再試合
○サイ リョウジ(ドージョーカマクラ/シルム)
×佐藤晃一(A3−GYM/柔術)
1R2'54" ドロップアウト

二回戦第一試合
○折橋謙(パワーオブドリーム/グラップリング)
×野村康治(一心堅掣会/柔道)
1R1'33" レフリーストップ(パンチによる)

二回戦第二試合
×岩部宏(鴨居ジム/相撲)
○村本真一(ストライプル/柔術)
1R1'31" スリーパーホールド

二回戦第三試合
○芹沢健一(和術慧舟會静岡支部/総合格闘技)
×サイ リョウジ(ドージョーカマクラ/シルム)
2R3'32" レフリーストップ(マウントパンチ)

二回戦第四試合
○割田佳充(パワーオブドリーム/グラップリング)
×五十嵐祐樹(フリー/空手)
1R1'21秒 フェイスロック(スリーパーホールド)

二回戦第五試合
○野沢洋之(パワーオブドリーム/グラップリング)
×井上敦(ストライプル/柔術)
2R0'18" ドロップアウト

二回戦第六試合
○ミスターX(非公開/空手)
×太田裕之(パワーオブドリーム/グラップリング)
1R1'30" レフリーストップ(パンチによる)

二回戦第七試合
○所英男(パワーオブドリーム/グラップリング)
×好川統(北海道格斗クラブ/総合格闘技)
1R2'19" 腕ひしぎ逆十字固め

二回戦第八試合
○久松勇二(タイガープレイス/和術)
×宇田亨(パワーオブドリーム/グラップリング)
1R1'06"レフリーストップ(亀状態の相手に対するパンチ)

三回戦第一試合
○折橋謙(パワーオブドリーム/グラップリング)
×村本真一(ストライプル/柔術)
1R0'25" ドロップアウト

三回戦第二試合
○芹沢健一(和術慧舟會静岡支部/総合格闘技)
×割田佳充(パワーオブドリーム/グラップリング)
2R3'40" レフリーストップ(マウントパンチ)

三回戦第三試合
×野沢洋之(パワーオブドリーム/グラップリング)
×ミスターX(非公開/空手)
1R1'30"ドロップアウトのため両者失格

三回戦第四試合
×所英男(パワーオブドリーム/グラップリング)
○久松勇二(タイガープレイス/和術)
1R0'56" ドロップアウト

準決勝第一試合
○折橋謙(パワーオブドリーム/グラップリング)
×芹沢健一(和術慧舟會静岡支部/総合格闘技)
1R1'17" ドロップアウト

準決勝第二試合
○久松勇二(タイガープレイス/和術)
両者ドロップアウトにより不戦勝

決勝(下写真)
×折橋謙(パワーオブドリーム/グラップリング)
○久松勇二(タイガープレイス/和術)
1R0'25" ドロップアウト

<タイタンルール要約>

■試合時間
1ラウンド4分、インターバル1分
■ラウンド
準決勝、三位決定戦、決勝のみフリーラウンドの完全決着戦。それ以外は2ラウンド制
■有効な打撃
素手による打撃、パッド着用による肘打ち・膝蹴り、あらゆる投げ・絞め・関節技、道衣を利用した攻撃
■反則
頭突き、噛付き、金的、粘膜部分(目、鼻、耳、口、肛門等)への攻撃
髪を引っ張るなどの行為
止血点、脊柱への攻撃
オープンハンドでの打撃
パッド未着用による肘打ち・膝蹴り

■勝敗
タップアウト、レフェリーストップ、ドロップアウト(ステージから落下した場合)、ノックアウト、セコンドのタオル投入による試合放棄、ドクターストップ
■失格
両者同時のドロップアウト、2ラウンドに決着が付かなかった場合(タイムアウト)、両者失格となる
■階級
体重、年齢全て無差別とする

レポート&写真:井原芳徳  インタビュー:石渡知子 

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