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Report

「ヤマケン、タイタンファイトを主催
自らの対戦相手も募集」

T−1カップ<タイタンファイト>
2000年9月29日(金)
フジタヴァンテホール(東京都渋谷区千駄ケ谷)
主催 :日本グラップリング協会
運営 :ホークエンターテイメント/パワーオブドリーム事務局

▼ 体重無差別、場外転落で失格、素手のパンチOKという斬新なルールのトーナメント「T−1カップ<タイタンファイト>」が9月29日(金)東京都渋谷区のフジタヴァンテホールで開催された。プロデュースはヤマケンこと山本喧一(パワーオブドリーム[POD])。ギリシャ神話のタイタン族の決闘をモチーフにしており「オリンポス山の頂上で決闘し、一歩踏み外せば奈落の底へと落ちた」ことから場外失格のルールを採用したという。(→ルール詳細)

 客席には格闘技界から佐山聡、菊田早苗、平直行、リングスの和田良覚レフェリーといった面々が勢揃い。PODの選手のセコンドに安生洋二がつき、UFC-Jの坂田代表も覆面を被り「ケンドーカシンJr.」というリングネームで出場した。女子格闘家の高橋洋子(J'd)も観戦したが、当初はこの大会への出場を希望していたという。これにはさすがの山本も「女性の参加は想定していなかった」と驚いていたが、表彰式で高橋は入賞者への賞品贈呈も行い、今後も何らかの形でPOD関連の大会に出場することもありそうだ。

 大会前や休憩時間には山本主演のプロモーションビデオが流されたり、照明やBGMの凝った仕掛けも随所に見られた。「マスコミや関係者向けの披露を意識した(山本談)」ためで、そのせいもあり会場がテレビの公開録画向けの小さめサイズ。キャパ約300人の会場に予想を上回る400人の観客/関係者が詰め掛け、「1センチでもいいですから奥に詰めてください」とのアナウンスも流れるほどであった。

 トーナメントにはアマチュア大会を中心に活動してきた20人が参加。開始前はルールの危険性を懸念する向きもあったが、素手では拳の負傷の怖れもあるためパンチでのKOを狙う選手も少なく、しかも関節技は極まる直前にストップ(TKO)、サイドポジションからでも顔面にパンチを的確に3発打ち込めばTKO勝ちというレフェリングのため、比較的安全性の高い内容となった。さらに一回戦からいきなり両者転落による失格が続き(この中にはUFC-Jの坂田代表、有力選手と目されていたキングダムの今成正和が含まれていた)、場外に相手を落とそうとしても道連れになりやすいと多くの選手が判断したためか、ほとんどの試合は自然と組技中心の攻防となった。なおかつ舞台演出や照明の効果も手伝い、会場はコンテンダーズを思い起こさせるような雰囲気となった。

 結局トーナメントは、場外転落による両者失格に助けられ、3位となった選手は戦わずして準決勝進出という波乱の展開となった。決勝はPOD所属選手同士で争われ、梁正基(りょう・せいき:写真)が優勝、賞金80万円を獲得した。梁は1年前に偶然パチンコ屋で出会った山本喧一の元で練習する前は格闘技の経験が全く無かったが、バトラーツ主催の「グラップリングB」、正道会館主催の「グラップラーズ・ガーラ」等で実績を重ね、今回のトーナメント2回戦では98年全日本アマ修斗ライトヘビー級準優勝の小池秀信をマウントパンチでTKO、準々決勝では生え際をカットし流血しながらも、今大会唯一の場外押し出しによる勝利を記録する等大活躍。運と実力を兼ね備えた選手として今後の注目株となりそうだ。

 終了後山本は「選手も観客も楽しめる大会となった。今後もこのルールで2カ月に1回はやりたい」と手ごたえを感じた様子。「決勝には他団体の選手が上がってきて欲しかった」とも話したが、ルール対策さえしっかりすれば、次回以降他団体の選手の活躍も十分ありえるだろう。

T−1カップ<タイタンファイト>入賞者

優勝:梁 正基(グラップリング/POD:中央)

2位:市川直人(グラップリング/POD:左)

3位:宇田 亨(アマレス/フリー:右)

 なお今後は「クラブファイト」という興行を開催することも発表された。会場がクラブということもありダンスやライブ、DJプレイと融合した演出となっており、試合開始も23:00から(渋谷大会)、20歳未満入場禁止という大人向けの内容となっている。タイタンファイトでは山本はあくまでプロデューサー的立場だったが、クラブファイトではプロ・アマ問わず挑戦者を募集するという。「僕が汚れ役になって、新しい格闘技のイベントをやりたい。本来格闘技にプロ・アマの区別はないはず。無名の選手に負けるのも大会の目的の一つで、格闘技界にとっても喜ばしい。食えない格闘家よ出てこい!」と山本は熱くアピールした。

(井原芳徳)

クラブファイト
11月12日(日)渋谷・WOMB
12月3日(日)名古屋・CLUB OZON
2001年1月20日(土)大阪・MOTHER HALL
※対戦申込FAX番号:03-3405-7139(バーサスエンターテイメント)


タイタンルール

■試合時間
1ラウンド4分、インターバル1分
■ラウンド
準決勝、決勝のみフリーラウンドの完全決着戦。それ以外は2ラウンド制
■着衣
金具のついていない動きやすい格好。または各格闘技用着衣(試合前にチェックあり)
■防具
マウスピース、ファールカップは必ず着用。イヤーパッド、サポーター、ニーパッド、レガースの着用は自由。シューズは試合前のチェックをパスしたもののみ可。
■勝敗
ギブアップ、レフェリーストップ、打撃攻撃などによるノックアウト、セコンドのタオル投入による試合放棄で決着。
■失格
大会規定のステージから落下した場合、悪質な反則攻撃を行った場合、セコンドまたはそれに準ずる者がステージに上がる、もしくはステージ上の試合を妨げた場合、失格とする。また、同時に場外に転落した場合、試合時間内に決着がつかなかった場合は、両者失格とする。
■審判
レフェリーは選手の安全確保を最重要視したレフェリングの義務を負い、全ての試合に対して進行、決着させる権限を有する。
■階級
体重、年齢全て無差別とする
■反則
噛付き、金的、頭髪を引っ張るなどの行為
粘膜部分(目、鼻、耳、口、肛門等)への攻撃
2本以下の指をつかんでの攻撃
道衣着用の際、帯および袖の脱げた状態でのそれらを利用した攻撃(帯による直接的な首絞め等)
直接咽仏をつかむ、突くなどの道徳に反する行為
悪質な試合態度と審判がみなした場合
ルール内においても、明らかに競技者としてふさわしくない危険行為を行った場合
レフェリーの指示に従わない場合
■打撃攻撃
原則として全ての局面での脊柱以外への打撃攻撃は許される。ただし、首から上のオープンハンドでの打撃攻撃は目潰しとみなし、反則とする。また、頭突き、肘打ち、膝蹴りは全て禁止とする。打撃攻撃で明らかに戦意を喪失した場合、および流血して動きが止まった場合、レフェリーの判断で試合を終了させることができる。

レポート&写真:井原芳徳


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