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[K-1] 4.21 広島 (レポ&写真追加):武蔵、大巨人シュルト相手に奮闘

K-1 JAPANシリーズ K-1 BURNING 2002 〜広島初上陸〜
2002年4月21日(日) 広島・広島サンプラザ
入場者数:6000人(超満員札止め)

レポート&写真:井原芳徳

(関連記事:大会翌朝の武蔵、シュルト、アーツ、ホーストのコメント

▼大会の目玉・日本vs世界5対5マッチは、日本チームの4敗1分の惨敗に終わった。石井和義・K-1プロデューサーは、武蔵、中迫、子安、さらにジャパンGP出場選手決定戦でタケルが敗れたことについて、正道会館の館長の立場から「ちょっとショックですね」「僕が正道会館の現場に戻って選手を強くすることに専念したい。コーチ陣から教えないと。K-1だけでなく正道会館も改革しないといけないと確信した」と深刻な表情で語った。
 なおニルソン・デ・カストロのセコンドとして来日したPRIDEミドル級王者のヴァンダレイ・シウバは、大会終了後のセレモニーで石井館長に促されてマイクを持ち、「(4/28のPRIDE.20での)ミルコ戦ではPRIDE代表として恥ずかしくない試合をする。ミルコ、カカッテコイ!(日本語)」とアピールした。

第7試合 日本vs世界5対5マッチ 大将戦 3分5R
○セーム・シュルト(オランダ/ゴールデン・グローリー)
×武蔵(日本/正道会館)
判定2-1 (50-49,49-50,50-49)

 PRIDEからの刺客・シュルトがK-1マットに登場。身長で27センチ、体重20キロも上回るシュルトは、膝蹴りとロングフックで武蔵を脅かす。だが「K-1ルールとボクシンググローブに慣れていない(シュルト談)」ためもあってか、命中しても単発に終わってしまい、ダウンを奪うにはいたらない。逆にK-1ルールを知り尽くしている武蔵は、距離を取って決定打を許さず、ローや懐に入り込んでのアッパーでシュルトを苦しめる。3,4R終盤には右パンチでチャンスをつかむ場面もあった。
 判定は2-1と評価が分かれ、かろうじてシュルトが勝利という結果となった。武蔵はこの判定に不満の様子で、大会終了後、セコンドの宮本正明とインタビュースペースに座ったものの、「申し訳ないですが、特に喋ることはないんで。ちょっと自分自身、今、やる気がないんで…。考えます…。以上です。すみません」とだけ話し、足早に控え室に戻っていった。石井館長も「僕の評価ではドローかな、と思う」「武蔵は崖っぷちでよくがんばった。合格点を与えたい」と話し、武蔵にジャパンGP(9月・大阪)の推薦枠を与えた。
 なお、石井館長は7月の福岡大会でシュルトをホーストかアーツと対戦させたいと語ったが、シュルトは「PRIDEやパンクラスの試合もあるので慎重に決めたい。でも、いつかまたK-1には出たい」と話した。
 武蔵×シュルトの各ラウンドのジャッジのポイントは以下のとおり。
(左から御座岡、黒住、朝武)1R:10-9,10-10,10-9.5 2R:10-10,9.5-10,10-9.5 3R:10-10,10-10,10-10 4R:10-10,9.5-10,10-10 5R:10-10,10-10,10-10

◆シュルトのコメント
「タフなファイトでした。思った通りの試合運びじゃ無かったけど、とりあえず勝ててうれしい。(ボクシンググローブをはめた試合は初めて?)イエス。(グローブの感想は?)ハンディキャップを感じました。指を使えないし重いし。(思い通りにならなかった原因はグローブ?)それもあるけど、武蔵選手が強かったこともあります。(武蔵のアッパーやパンチは?)特にダメージは感じなかったです。(武蔵の感想は?)コンビネーションがあまり良くないね。でも常に前に出るから強い選手だと思ったよ。(自分が出して有効だった攻撃は?)ストレートパンチかな。(K-1の次の試合は?)自分が活躍しているのはPRIDEやパンクラスだから簡単には決められない。慎重に決めたい。(再びK-1には上がりたい?)おそらく上がるでしょう。また戦いたいです。」

第6試合 日本vs世界5対5マッチ 副将戦 3分5R
○ピーター・アーツ(オランダ/メジロジム)
×ニコラス・ペタス(デンマーク/極真会館)
1R 2'50" KO (膝蹴り)

 オランダのボスジムに3週間トレーニングに行っていたペタスと、タイにムエタイ修業に行っていたアーツの対戦。ペタスは最初ローや伸びのあるハイやミドルを出していたが、アーツの接近してのボディと膝蹴りで序盤から苦しむ。アーツはさらにミドルと膝を効かせると、最後は膝蹴りをペタスのアゴに命中させノックアウト勝ち。強い怪童が待望の復活を遂げた。

◆アーツのコメント
「(ニコラスの印象は?)キックを狙ってるのがわかったので、流れを崩そうと思った。前に出てプレッシャーをかけてね。(ニコラスのローは?)ほぼ全てブロックできた。(内容には満足?)もちろん。(ワールドGPに向けていい勝ち方ができた?)去年は怪我もあっていい年じゃなかったので、今年はいいスタートが切れたと思う。(若い選手に負けられない気持ちは?)特に。全ての試合が大事さ。(シュルトの試合の感想は?)全部は見てないけど、あえて言えばセームはまだ経験不足だね。」

◆ニコラスのコメント
「(ダメージは?)ちょっと頭が痛いぐらいですね。きれいにもらっちゃったもんで。(膝蹴りの感想は?)気をつけなきゃいけないとわかってて、何回かうまい具合にかわしてたんですが、一番最後は『自分はどこにいるんだろう?』って感じで見えてなかったですね。(作戦は?)ローから崩そうと考えたんですけど。(いい調子で行けてたと思ったんですけど?)そうですかねえ(笑)。いやあ、どっちかと言うといい勉強なったなあって感じですね。ここ半年間、膝蹴りを食らっちゃいけないというのがあって。去年(のGPのイグナショフ戦)と何が違うかと言うと、まともに鼻に当たってないところだけですかね(笑)。自分より大きい人とやるのは、スパーリングと試合ではだいぶ違うんですね。今日は悔しいです。(何が足りないと思いますか?)経験ですね。スパーリングだけじゃなくリングの経験ですね。もっといろんな選手と戦いたいです。」

第5試合 日本vs世界5対5マッチ 中堅戦 3分5R
○アーネスト・ホースト(オランダ/ボスジム)
×中迫剛(日本/ZEBRA 244)
1R 1'46" KO (3ノックダウン)

 中迫は1月の静岡大会で、敗れはしたもののワールドGP王者マーク・ハントから初のダウンを奪い、同大会のヒーローとなった。今回は前ワールドGP王者のホーストとの試合が組まれ、再び活躍が期待された。試合前日の会見では、石井館長が「内容次第ではジャパンGPの推薦枠を武蔵から中迫に変える」とまで公約していた。
 だが、ホーストは中迫の左ローと左ミドルをブロックすると、左右のパンチの連打から左のショートフックで、中迫から開始1分もたたないうちに最初のダウンを奪う。そして再び左フックでダウンを奪い、最後はパンチの連打で中迫をマットに沈めた。
 中迫はMr.パーフェクトを前に全くいいところなく完敗。ジャパンGPの推薦枠も逃してしまった。

◆ホーストのコメント
「(昨年のGPで負傷した)足が治ったばかりなので自分の蹴りの具合を確かめたかったのだが、今回は試合の流れ上キックを使える場面がなかったのが残念だ。(日本人選手がホースト選手と互角に戦えるようになるには?)オランダに来てトレーニングすればいいんじゃないか? 以前もそのことは話したのに、なかなか日本の選手はオランダに練習しに来ないんだ。(K-1王者となったハントを破ったミルコとも今後戦うことになるかもしれないが?)ミルコは選手としては素晴らしいが、私はこれまで彼を3回破ってるのだから、4回でも10回でも勝てる自信はある。(今のミルコは以前とは違うのでは?)PRIDEに出たからといってK-1選手としていい選手になったとは思わない。次のシウバ戦で勝てば見方が変わるかもしれないけどね。」

◆中迫のコメント
「あんまり記憶がないんで。VTRで2回目のダウンを見て『ああ、こんな倒れ方してたんだ』と思いましたから。気が付いたら終ってました。(ホーストは強かった?)強さを実感しないまま終ってしまいました。もっとやりたかったです。(石井館長は「内容によってはジャパンGPのシード選手にする」と言っていたが)その件は自分から願い下げです。一からやり直したいんで。すぐにでも試合したいんで。富山大会の予選から出ます。でないと自分で納得できないんで。(明日から練習?)やっぱりもっとパンチを磨かないとダメですね。だから練習します。(今日の作戦は?)とりあえず動きまくると。(長期戦を考えてた?)そうですね。(ハント戦は自信になった?)一つの通過点ぐらいしか思っていないです。逆に今回のほうが得るものが大きかった気がします。」

第4試合 日本vs世界5対5マッチ 次鋒戦 3分5R
○ニルソン・デ・カストロ(ブラジル/シュートボクセアカデミー)
×子安慎悟(日本/正道会館)
判定3-0 (50-44,50-45,50-44)

 カストロはシュートボクセ内のムエタイの試合で30戦29勝1分の好戦績を残している。その1分はヴァンダレイ・シウバとの試合だったというから、実力の高さが伺い知れる。昨年11月ぐらいからK-1に向けトレーニングを積み、今回の試合にもヴァンダレイ、フジマール会長、ペレイラコーチがセコンドにつくという万全の体勢だ。カストロは黒人ならではの身体能力の高さを活かし、膝蹴りを中心としたパワフルな攻めで子安から2,4,5Rに一度ずつダウンを奪い、試合を優位に進める。子安は鼻血を出しながらも最後まで闘志が衰えることなく、「子安キック」と呼ばれる回し蹴りを出すなど奮闘したが、反撃にはおよばず、ポイントで大差をつけられ敗北した。
 子安は鼻血が止まらず、鼻の中が切れてる恐れがあり病院に向かったためノーコメントだった。

◆カストロのコメント
「K-1に参戦できて光栄だ。今後も参戦したい。(子安の印象は?)素晴らしい選手だ。(身長差があったから膝蹴りを活用した?)いや。膝蹴りは得意だから自然に出たんだ。背が低い相手だから出したわけじゃない。(PRIDEに出る予定は?)出るのが夢だよ。ぜひ出たいね。(K-1で戦いたい相手は?)自分は相手を選ばない主義だ。誰が相手でもベストを尽くす。」

第3試合 日本vs世界5対5マッチ 先鋒戦 3分5R
△アンドリュー・ペック(ニュージーランド/エリートキックボクシングジム)
△野地竜太(日本/極真会館)
判定1-0 (48-48,48-47,48-48)

 ペックは92年から98年まで名古屋に仕事で住んでいたので日本語も喋れる。92年から空手を始め、95年からは正道会館で修行。大阪総本部の寮で暮らしていたこともあるという。今年のグランプリのオセアニア地区予選で準優勝し、K-1ファイターとして日本再上陸を果たした。
 一方の野地は極真空手の若き実力者で、1月の武蔵戦を含むキックの4戦を経てついにK-1参戦。だが1R開始早々、ペックの右ストレートでダウンを喫する。いきなりKのリングの手痛い洗礼を浴びた野地だが、2R以降はパンチをもらいながらも次第に持ち直す。逆にペックが消耗しはじめ、4Rと5Rにはクリンチで注意1ずつを受ける。5R野地はミドル、膝、ローを効かせ、終盤にはパンチの連打でダウンを奪う。あわや大逆転という場面に広島のファンは大いに盛り上がったが、惜しくも時間切れ。結局野地は5Rの反撃でポイントを挽回しペックと引き分けた。

第2試合 K-1 JAPAN GP 2002出場決定戦 3分3R
×TSUYOSHI (日本/ボスジム)
○大石亨(日本/日進会館)
判定0-2 (29-30,30-30,29-30)

 1R、TSUYOSHIがパンチと膝蹴りで積極的に攻めるが、有効打に欠く。大石は2Rになると手数が増え、3Rはバックハンドブローと膝蹴りで攻めポイントを獲得。僅差の判定ながらジャパンGP出場権を獲得した。

第1試合 K-1 JAPAN GP 2002出場決定戦 3分3R
○天田ヒロミ(日本/TENKA510)
×タケル(日本/正道会館)
1R 1'52" KO(3ノックダウン)

 天田がパンチの連打で3連続ダウンを奪い完勝。

オープニングファイト 3分3R
×堀 啓(日本/フリー)
○滝川リョウ(日本/日進会館)
2R 1'02" KO(右フック)

 ミドル、膝、ワンツーパンチで積極的に攻める堀に対し、滝川はずっと防戦気味だったが、2Rに放った右フック一撃で見事逆転勝利。堀はしばらく立ち上がれなかった。(滝川の名前の「リョウ」の漢字は左部分が「令」、右部分が「羽」)

Last Update : 04/25

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