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[シュートボクシング] 3.31後楽園 (レポ&写真):7月S-CUP向け土井が勝利

シュートボクシング協会 "The age of S Vol.2"2002年3月31日(日) 東京・後楽園ホール

レポート:石動龍&井原芳徳  写真:井原芳徳  コメント編集:鈴木 伸幸

【大会前のカード紹介記事】

第8試合 エキスパートクラスルール(肘なし) -68kg契約 3分5R
○土井広之(シーザージム/WSBA世界ウェルター級チャンピオン)
×アーテム・スケグロフ(北の最終兵器軍団/キックボクシング・ウクライナ・ウェルター級チャンピオン)
本戦5R 判定1-0(49-49,50-48,49-49)
延長1R 判定2-0(10-10,10-9,10-9)
※本戦2R 土井にシュートポイント+2P、 右ストレートで土井にダウン1あり

 試合は静かな立ち上がりを見せる。左のジャブを起点にアーテムが前に出ると、土井は”キラーロー”を中心にした鋭い足技で応戦。
 しかし2Rに入ると試合が激しく動き出す。土井が裏投げでシュートポイント2Pを先制するも、直後に土井の顔面をアーテムの右ストレートが襲う。試合後に「ダメージはなかった」と語った土井だが、まさかのダウンに客席はどよめく。アーテムの追撃に土井はガードを固めて耐える。ひとしきり攻撃を凌ぎきると、終盤にはローをヒットさせアーテムをぐらつかせる。

 以降は土井のキックにアーテムがカウンターパンチを合わせる展開が続く。ローのダメージで徐々にアーテムの動きが鈍くなるが、それでも左フックやバックブローは迫力充分。再三土井の顔面を襲う。
 そのまま一進一退の攻防が続き、明確な差のないまま試合は判定に入る。ジャッジは1(土井)-0のドロー裁定。延長ラウンドに突入する。

 限界に近いはずの土井だが、7月7日のS-CUPに向け負けは許されない。鋭いローの連打でアーテムを追い詰め、反撃を許さずなんとか勝利をおさめた。
 先にダウンを奪われながらも、最後はきっちり勝ち星を奪い取った土井。ここぞという時の土井の勝負強さは、エースとしては理想的な素養だ。S-CUPの成功のカギは、意外にシンプルかもしれないが、この勝利へのどん欲さにかかっているかもしれない。

◆土井インタビュー
「(コンディションは?)今までにないくらい良かったです。相手が強くてタフだったので、思ったとおりに動けませんでしたね。緊張感がなかったわけではないです。(2Rのダウンは?)パンチは見えてたんですけど僕が右フックを打ち始めた時だったんで倒れてしまいました。ダメージはなかったです。(相手の印象は?)ローが当てにくかったですね。バックステップでかわすタイプだったんで。僕の攻め方も悪かったんですけど、最初に受けたパンチとても軽かったので油断した部分はありますね。左ジャブで主導権を握られてしまって、今までの相手で1番攻め辛かったです。もう1回やりたいですね。
(今後は?)7月7日のS−Cupに照準を合わせて行きます。(目標は?)とにかく勝つことです。このままじゃヤバいんで、10年間築き上げてきたものを1回バラして組み立てていかないと。SBの代表として、自分のため、SBのため頑張ります。
(S−Cupは世間的にはK−1と比較されるが?)意識はないですけどねえ。K−1はK−1でSBはSBだと思ってます。
(2月のK−1の試合を見てどう思ったか?)やっぱり魔裟斗君は強いなあ、と。周りが魔裟斗君より全然弱かったというのもあると思いますけど。もし魔裟斗君とやる機会があるならいつでも僕はいいですよ。
(K−1のインパクトに負けない気持ちはある?)あります。無かったらやんないです。プロでやってる以上はメディアというかマスコミに自分がデカく出たいと思いますからね。」

◆アーテム・スケグロフ インタビュー
「(感想は?)5ラウンド終了した時点では勝ったと思ったので、延長戦で負けて残念です。また、自分はムエタイの選手なので肘を使えなくて残念でした。(土井の印象は?)いい選手でした、特にローが良かったです。ムエタイの試合だったら間違いなく私が勝っていたでしょう。機会があればリベンジしたいです。(リベンジはSBとムエタイどちらがいいか)どちらも競技の特性が違うので、どちらでやるかの区別はつかないです。(これからは?)自分の国にも強い選手はたくさんいるので、いろんな事にチャレンジしていきたいです。」

第7試合 エキスパートクラスルール(肘なし) -70kg契約 3分5R
○緒形健一(シーザージム/SBスーパーウェルター級チャンピオン)
×トニー・バレント(ニックワンキック/UKF世界スーパーウェルター級チャンピオン)
3R 2'54" TKO (3ダウン)

 172センチの緒方より16センチも背が高いバレント。ブルース・リーのようなコスチュームをまとい、マンソン・ギブソンや須藤元気を思わせるトリッキーなバックスピンキックを繰り出す。時折スイッチ、時には怪しく微笑んで見せ、そのキャラクターに後楽園ホールは不思議なムードに包まれる。
 緒方は1Rこそリーチ差もあってなかなか距離を詰められなかったが、2Rに入るとエンジンがかかり始め、ローキックを多数ヒットするようになる。バレントも天を突くようなアッパーで反撃するが、間合いを詰められると打撃をもらってしまう。ラウンド終盤にはついに緒方がボディへのヒザ蹴りでダウンを奪う。
 結局3Rに入ってもバレントのダメージは回復せず、緒方がヒザで3回ダウンを奪って試合終了。終わってみれば緒形の完勝と言っていい内容だった。

◆緒方健一インタビュー
「(バレントの印象は?)非常にやり辛かったです。バックスピンキックはもらったらヤバいと思いました。(打撃の手ごたえは?)ローの手ごたえはあったんですけど、途中で怪我をしたので、組んで相手のスタミナを消耗させる作戦に変えました。(次はどんな選手とやりたい?)トータルバランスがとれてて、SBのできる選手とやりたいですね。(今後は?)リングスでやられた選手の借りを返します。S-Cupのワンマッチで、KoKルールでやりたいです。向こうの土俵でリベンジしないと意味がないんで。このリベンジはあくまでも借りを返すのが目的です。競技としては自分を試していくのはあくまでSBです」

◆トニー・バレント インタビュー
「(ブルース・リーは意識していたのか?)特にしていないが、自分はこういうのが好きだから、今日はこれでやりたいなぁと思いました。(緒方の印象は?)とても強くてキックが非常に速かった。(SBをやってみて実際はどうだったか?)非常によかったです。自分が今までにこういったチャンスがなかったことが非常に残念でした。(また参戦のオファーがあったら?)もちろん出ます。まだまだ見せるものがたくさんありますので、いつでも出ます。(普段は何の選手か?)ムエタイ、ノールール、カンフー、なんでもやります。過去にラスベガスでK−1にも出場したことがあります。」

第6試合 エキスパートクラスルール(肘なし) -62kg契約 3分5R
×前田辰也(寝屋川ジム/SBスーパーフェザー級チャンピオン)
○アルフォンソ・アルカレイス(ニックワンキック/DRAKA世界ライト級チャンピオン)   
判定0-3 (48-49,48-49,48-49)
※1,4Rアルフォンソにシュートポイントそれぞれ+1P

 アルフォンソはUFC現ライト級王者のジェンス・パルヴァーと引き分けた実績も持つ選手。牽制でローやジャブを出していく前田に対して、アルフォンソはあまり手を出さない。1R終盤に前田の打撃をかわして組み付き、バックを取ってすくい投げで1Pのシュートポイントを奪う。以後もアルフォンソは投げを狙い続け、前田は打撃で戦う展開が続く。前田はアルフォンソに決定的なダメージを与えることができず、逆にアルフォンソは4Rにも1Pのシュートポイントを重ね、最後まで前田の打撃を凌ぎきって判定へ。3-0でアルフォンソが勝利を収め、パルヴァーと引き分けた実力を証明した。

◆アルフォンソ・アルカレス インタビュー
「(前田の印象は?)とても強い選手で、特にキックが非常に速くて強かったです。少しやられてしまった場面もありました。(投げは狙っていたか?)もともとレスリングをやっていたので狙っていました。(SBという競技についてどう思ったか?)自分にすごい合ってると思いました。(今後は?)私は日本が好きだし、日本には私と同じくらいの身長の選手がたくさんいるから、また日本で試合がしたい。」

◆前田辰也インタビュー
「(結果的には負けたが実際やってみてどうだったか?)あれだけ担がれたらSB選手はしゃぁないです。それと、自分の投げに対して腕力で殺されたという感じでした。もうちょっとタイミングの投げを練習しないとあかんなぁと思いました。(UFC選手としての印象は?)あれだけ投げて、スタミナがあそこまで持つのは凄い。(効いたパンチは?)特になかったです。(逆に自分の攻撃で効果的だったのは?)膝は効いていたと思うんですが、粘り強かったですね。(2連敗しているが、この状況を打開するにはどうしたらいいか?)他の競技をやるというわけではないが、何か違う目標を持って、意識作りから初めなあかんと思いました。」

第5試合 エキスパートクラスルール(肘なし) -95kg契約 3分5R
×トレイル・ドーウィン(オーストラリア)
○ローカス・スタンブラスカス(リトアニア)
判定0-3 (44-50,45-50,47-50)
※1Rバックスピンキックでドーウィンにダウン1あり

 ドーウィンは、シリル・ディアバデの欠場により急きょ代理出場した選手。開始からローカスがドーウィン相手に優勢に試合を進め、1R終了間際にボディへのバックスピンキックでダウンを奪う。試合を通してローカスがコントロールするが、ドーウィンもしぶとく粘り、以降は倒されることなく判定へ。ローカスが大差の判定で勝利を収めた。

第4試合 エキスパートクラスルール(肘なし) -70kg契約 3分5R
○宍戸大樹(シーザージム/SBスーパーライト級チャンピオン)
×小谷直之(ロデオスタイル/リングス・ライト級) 
2R 2'40" KO (右ストレート)
※2R左フック,右ストレートで宍戸にダウン2あり

 総合格闘技団体・リングスを主戦場にしていた小谷が、立ち技のみの試合に初登場。打撃系の試合には珍しいビルドアップされた上半身が目立つ。対戦相手の宍戸は、SBルールの王者のメンツをかけ圧勝したいところだろう。入場時からリングス、SBのそれぞれのファンの応援が交錯し、ホールに熱気が充満する。

 試合は1Rから激しいものとなる。小谷はパンチのラッシュから突っ込み、組み付いての投げを狙う。宍戸はバランスよく耐えてそれを許さず、距離をとって左のハイキックを放つ。小谷はハイをもらってふらつく場面もあったが、恐れることなくパンチを放ってから組みつき、宍戸はそれを踏ん張って逆に投げを打っていく。ブレイク後に離れて打ち合ったところで1R終了。

「1R終わってスタミナがもたないと思い、次のラウンドで勝負をかけようと思っていた」と試合後に語った小谷は、2Rに入るとフルスロットルで宍戸の顔面を狙っていく。ロープに詰めて連打を浴びせ、左のフックで宍戸のアゴを捕らえると宍戸がまさかのダウン!倒された宍戸は立ち上がって体勢を立て直そうとするが、そこを小谷が追撃して左ストレートで二度目のダウンを奪う。

 王者の絶体絶命のピンチに会場は悲鳴と歓声で大騒ぎとなる。試合を決めようと小谷はラッシュをかけるが、ここに来てスタミナが切れ、宍戸に反撃と回復のチャンスを与えてしまう。宍戸は千載一遇のチャンスを逃さずにヒザ蹴りをヒットさせると、さらに渾身の右ストレートで小谷から大逆転のダウンを奪う。倒れこんで動かない小谷。そのまま10カウントが数えられ、熱戦に幕が下ろされた。

 ドラマのような逆転勝利を見せた宍戸を観客は総立ちでたたえ、敗れながらも大健闘をした小谷にも惜しみない拍手を送った。

◆小谷直之インタビュー
「(感想は?)1ラウンド終わって、5ラウンド絶対にもたないと思ったので、次のラウンドで勝負をかけるというか、そこでなんとか、自分のペースにもっていきたかったです。SBに慣れてなく、疲れてきて、気持ちで押されちゃいました。あとは経験の差で負けました。(打撃の練習はしているのか?)何回かボクシングジムに行って練習しているのと、あとは(所属先の)ロデオスタイルで練習はしています。(今後SB参戦のオファーがあったら出場するか)まだ打撃に対するスタミナもついてないし、技術的にもまだ差があるので、もっと打撃の練習をしてから出たいです。(再戦の機会があったら)リングスの方でなら負ける気はしないです。」

◆宍戸大樹インタビュー
「(最初ダウンした時は?)全然なめてたわけじゃなくて、ちゃんとガードもしていたつもりだったんですけど、押されて(パンチ)貰っちゃったみたいで、危なかったです。(小谷の圧力はあったか?)ありました。総合やってるんであるとは思ってたし、それに対する練習もしてたんですけど、倒されたってことは身になってなかったってことですね。(今回敵が乗り込んできた形になったが、プレッッシャーはあったか?)ありましたね。具体的には、他団体からの参戦ということでホームの人間としては絶対に負けられないし、しかも向こうはタイトル持ってないですし、そういった意味では普通の選手と一緒というわけですから。曲りなりにもSBのタイトル持ってる人間が、仮に負けたらSBの評価が低くなってしまうことにつながるので、プレッシャーはありました。(次の目標は?)7月のS-Cupに出場して自分をアピールしていきたいです。自分より下の人間がそういう気持ちでやっていけばSBは必ずメジャーになれると信じてます。」

第3試合 エキスパートクラスルール -80kg契約 3分5R
○YU IKEDA(湘南ジム/SBヘビー級5位)
×渡邉 和則(龍生塾)
5R 0'39" KO (左ローキック)

第2試合 フレッシュマンクラスルール ライト級 3分3R
○高久雅之(湘南ジム)
×雨宮栄治(風吹ジム) 
判定2-0 (30-29,30-30,30-29)

第1試合 フレッシュマンクラスルール スーパーライト級 3分3R
○長島光輝(湘南ジム)
×栃岡裕輔(龍生塾)
1R 2'35" KO (首投げ)

Last Update : 04/21

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