[Dynamite!] 8.28 国立 (会見):吉田秀彦×ホイス・グレイシー決定。50年前のルールを再現
TBS "Dynamite!(ダイナマイト)" 2002年8月28日(水) 東京・国立競技場
▼ (7/16 up) 東京の帝国ホテルで7月16日に記者会見が開かれ、吉田秀彦 vs. ホイス・グレイシーが正式に発表された。ちょうど50年前にブラジルで行なわれた、昭和の柔道王・木村政彦とグレイシー柔術創始者・エリオ・グレイシーの一戦を再現するため、打撃なし、道衣着用、10分3R、時間切れドローというルールを採用する方向で調整が進められている。
吉田は愛知出身で1969年9月3日生まれの32歳。92年バルセロナ五輪柔道78kg級金メダリストで、3度の五輪、4度の世界選手権の出場経験を誇る。怪我に苦しみながらも現役を続け、4月の全日本選手権を最後に引退。明治大学柔道部監督の座も退き、6月に都内に「吉田道場」を創設。後進の指導を始めていた。 4月の時点から総合格闘技転向が噂されていたが、吉田は当初プロデビューに難色を示していた。しかし主催者側の熱烈なオファーを受け、「柔道(界)にいい影響があれば」「柔道を多くの人に知ってもらいたい」と考え、対戦を決意した。格闘技ファンでも知られる吉田自身も「まさか自分がプロとしてリングに上るとは」と緊張した様子。「とりあえず単発。今後は私にもわからない」とプロ第2戦以降は未定であることを語ったが、DSEの森下直人社長は「試合を見てからになるが、DSEとしても口説き落として当然PRIDEにも出てもらいたい」と話している。 両者の体型は吉田が180cm、100kg ホイスが185cm、78kg。体格では吉田が有利だが、吉田は間近で見たホイスの印象を「デカい。手足が長く目に威圧感がある」と語り、警戒心をのぞかせた。会見の最初の挨拶では「柔術と柔道はさほど変わりはない」「柔道で培ったものを出せるように試合をしたい」と話していたが、その後のインタビューで「(ホイスは)裾を使った絞め技がうまい」「柔道は投げれば1本だが、柔術は『まいった』を言うまでやる」と語り、技術の違いも意識している。練習メニューは未定だが、「できれば桜庭選手の所にも出稽古に行きたい」とし、桜庭からホイス攻略法の指導を受けるつもりだ。
50年前の試合では木村がキムラロック(腕固め)でTKO勝ちをおさめている。だがエリオは最後までギブアップしなかったといい、負けを認めていない。とはいえエリオの六男のホイスは“復讐マッチ”と表現されることを嫌い、「復讐は本人同士の問題で私がすることではない」「50年前の父エリオとキムラの闘いはまさにイチゴイチエ(一期一会)だった。今回の吉田選手との闘いもイチゴイチエの精神で戦いたい」「吉田も最初の試合は道衣ありのほうがやりやすいだろう。私にとってもいいチャレンジになる」と語り、PRIDE-GP以来2年ぶりの試合をクリーンに臨む構えを示した。エリオも吉田戦について「いいアイデアだ」と喜んでいるといい、国立競技場にはエリオ、ヒクソンを始めとしたグレイシー一族が集結する予定だ。(井原芳徳)
桜庭×ミルコ対面、心理戦に突入
▼ (7/16 up) 16日の会見にはメインイベントで対戦する桜庭和志とミルコ・クロコップも出席。桜庭が「先週、『右ハイキックを使う』と言ってましたが、慣れない打撃の練習をしていると突き指をしてしまいまして、今は次の技を考え中です」と話し会見場を湧かせると、ミルコもどういうわけか「2Rに腕十字を極める」と宣言し、桜庭を警戒させた。 なお10キロ以上差のある体重について桜庭は「体重は増やしていない。これまで通りの体重で戦う」とし、「僕が太るのは無理なのでミルコ選手に落としてもらいたい」と要望。「あとは自分でオモリをつけて行きたい」と冗談めかして語った。石井和義・大会プロデューサーは「ミルコに減量させる。落とせば96kgぐらいになるでしょう」と語り、「できるだけ規制のないルールにしたほうが面白い。お客さんが満足して帰れて、ドラマが起こるようなルールにしたい」と話した。(井原芳徳)
ミルコ、“クロコップ精神”でルール問題と対決
▼ (7/16 up) 7月14日のK-1福岡大会でレミー・ボンヤスキーに快勝したミルコ・クロコップが、大会翌日の15日に都内に戻り、8.28 Dynamite!の桜庭和志戦に向けての心境を語った。 前日戦ったボンヤスキーについては「いずれ彼の時代は来る」と評価。だが「日本に着いたした時にも言ったとおり、『本当のファイターはメディアの前でビッグマウスになるんじゃなく、リング上で実力を証明するものだ』ということが証明できて良かったよ」と語り、安堵の表情を見せた。 だがマスコミがミルコに浴びせるのは桜庭戦に関する質問ばかり。ミルコに勝利の美酒の酔いにひたる余裕を与えない。
話題はルール問題に集中する。福岡の試合後、「与えられた条件の中で最高の試合をする。“クロコップ精神”で立ち向かうつもりだ」と語ったミルコだが、この日記者から「ルールで最低限譲れない部分は?」と尋ねられると、「これまで私は1R3分のルールでしか戦ったことがない。(PRIDEルールのように)1R10分で戦う危険性は自分が一番分かっている。そこはしっかり主張したいね」と慎重な姿勢を見せた。一方、福岡大会後に石井館長がグラウンドの制限時間を設けるよう提案したことについて、「10分二人が寝たままになるより、スタンドに戻れるほうが見る人も面白いんじゃないか?」と興味を示し、館長の完全決着ルールの提案についても、「ヴァンダレイ・シウバ戦の時のモヤモヤした周囲の反応は私も感じているので、今度は完全決着をつけたい」と同意した。しかし無制限ラウンド制という完全決着方法の一つの案に対しては、「私は1、3、4月と、それに今回試合をして休む時間がほとんどなかった。これではサクラバのほうがフィジカル面で有利になるんじゃないか?」と拒否反応を示し、現時点で10キロ以上ある体重差についても「私は今、体脂肪率が5パーセント前後しかない。今から落とせと言われてもどこを落とせばいいのか」と語り、体重制限の無いルールとなることを暗に希望した。
ミルコは闇雲に自分の希望条件を明示することはしない。常に客観的基準に照らし合わせ、自分の置かれた立場の正当性を浮き彫りにするという戦略で、発言が妙に一貫していたのが面白かった。これはどこか彼のファイトスタイルにも通じるものがある。記者との“格闘”の中からも、“クロコップ精神”とやらの片鱗を感じとれた。 桜庭についてミルコは「最高のビックネーム。モチベーションを高めるのに最高な相手さ。どういう結果になろうとも自分のファイターとしてのキャリアにいい成果を与えてくれるだろうね」と高く評価しており、桜庭が大会発表会見で語った「できたら打撃無しのルールがいいかな」というジョークを通訳から伝え聞くと、「ハハハ」と声を出し笑顔を見せた。桜庭も試合だけでなく普段の発言でもトリッキーさを発揮する選手。ミルコの戦術とは違うが、単なるジョークからも天才同士で何か通じ合うものがあるのかもしれない。 この後、母国クロアチアに帰るミルコは、1週間ほど疲れを癒し、大会まで同国内で練習を積む予定だという。桜庭×シウバの2度の試合を既に見ているミルコは「十分なヒントはあった。練習方法はそれを元に考える」と話し、「だけど、どんな闘いの流れにも対応できるよう、体を強くして、なおかつ関節技を防御できるよう練習することに変わりはない」とした。 「K-1のスケジュールを優先するけど、もし館長に『6ヶ月総合に専念してもいい』と言われたら、トンデモないミルコ・クロコップを見せられるよ」と不気味なコメントも残したミルコ。1ヶ月半後、国立競技場のリングでどのような秘策と進化ぶりを見せてくれるか、天才・桜庭との共演が今からとても待ち遠しい。(井原芳徳)
石井館長プロデュース。桜庭、「ミルコを右ハイで倒せれば」
▼ (7/9 up) Dynamite!の概要が9日の開催発表記者会見で明らかになった。TBSが主催し、石井和義・正道会館館長の総合プロデュースの元、ドリームステージエンターテイメント(DSE)が運営制作を引き受ける。大会のテーマは当初噂された「K-1 vs. 猪木軍」でも「K-1 vs. PRIDE」でもなく「他流試合」となり、カードはメインイベントの桜庭和志 vs. ミルコ・クロコップのみが発表された。一部で報道された吉田秀彦 vs. ホイス・グレイシーについては現在交渉中であることが明らかになった。
会見はこの大会の会場となる国立競技場で行なわれた。平日の昼下がり、もちろんスタンドには誰もいない。芝生の周りのトラックの上に舞台がポツンと設営され、お馴染みの大画面には「史上最大の10万人興行 あの桜庭和志が ダイナマイト・カムバック!」と映し出さている。焼けるような陽射しの元、気温は35度近くまで達し、生ぬるい風が広大なフィールドを吹き抜け、体にまとわりつく。定刻の3時を少し過ぎ、「スピード2のテーマ」に乗って桜庭らがスーツ姿で登場。会見が始まった。 珍しく無精ひげを生やしたままの石井館長は、競技場を会見場所に選んだ理由を「大会前の空っぽの会場を皆さんの目にも焼き付けて欲しかったから」と説明した。Dynamite!という大会名には、「言葉で現せないぐらい素晴らしいもの」といったような意味が込められているという。森下直人・DSE社長は「全てがトップファイター。全てがドリームマッチになる」と語り、大会を完全生中継するスカイパーフェク TV!の担当者も「サッカーのワールドカップの後の最大のイベントになる。PPV契約数の目標はこの会場の収容人数の10万人を越えること。PPVヒストリーに金字塔を打ち立てたい」と意気込んだ。
PRIDE.17のシウバ戦での負傷以来、約300日ぶりに戻る舞台が国立競技場のメインイベントとなった桜庭に、石井館長は「今でも世界最強と信じている。無敗のミルコの首を取ってもらいたい」と期待をかける。だが、当の本人から全く気負いは感じられない。ミルコ戦の抱負を聞かれると「昔、お酒を飲んだ帰りにふざけて子供の自転車に乗っていたら、警官に『盗んだだろ』と言われて警察に連れて行かれたことがあったので、相手(ミルコ)が警官ということで、勝って無実を証明したいと思います」といつもの桜庭節で返す。ミルコの左ハイに対抗して「右ハイで倒せれば」と宣言したかと思えば、総合ルールであること以外は未定となっているルールについて「できたら打撃無しのルールがいいかな」と希望するなど、トリッキーな発言は健在だった。
試合は全8〜9試合を予定。「他流試合」がテーマのため、ルールは試合ごとに異なり、選手の特徴を最大限に活かしたものが採用される。ルールディレクターはPRIDEやK-1と同じく島田裕二氏が務める。森下社長によると、PRIDEのエグゼクティブプロデューサーを務めるアントニオ猪木氏は、今回のイベントに直接関わることは無いという。(井原芳徳)
▼ (7/8 up) PRIDEを主催するドリームステージエンターテイメント(DSE)は7月8日、かねてより噂に登っていた東京の国立競技場での格闘技大会の開催を正式に発表した。大会名は「Dynamite!(ダイナマイト) Summer Night Fever in 国立」。石井和義・K-1プロデューサー、森下直人・DSE社長、高田道場の桜庭和志が7月9日都内で記者会見を行ない、大会概要と一部カードを発表する。
TBS "史上最大の格闘技ワールド・カップ Dynamite! SUMMER NIGHT FEVER in 国立" 2002年8月28日(水) 東京・国立霞ヶ丘競技場 (雨天順延日/8月29日(木)・30日(金)) 開場・15:30 開始・18:30
◆決定カード (全8〜9試合予定)
メインイベント 桜庭和志(日本/高田道場) ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッド)
吉田秀彦(日本/吉田道場) ホイス・グレイシー(ブラジル/グレイシー柔術アカデミー)
◆放送スケジュール SKY PerfecTV!にて完全生中継 8月28日(水)18:30〜 ch.122 視聴料金2,000円/回(※再放送有り) (TBSでも放映予定。日時未定)
◆チケット
<入場料金>(全席指定・消費税込) RRS(ロイヤルリングサイド): \30,000- スタンドS: \15,000- スタンドA: \12,000- スタンドB: \6,000- 桜庭和志応援シート:\15,000-(スタンドS相当席・応援グッズ付/DSE、PRIDEオフィシャルサイトにて発売) <販売スケジュール> 7月14日(日)10:00〜19:00 特別先行電話予約 052-961-6341 7月28日(日)10:00〜 一斉発売
<販売窓口> ドリームステージエンターテイメント TEL:03-5775-5700 PRIDEオフィシャルサイト PRIDE携帯端末オフィシャルサイト K−1 TEL:03-3796-2977 K−1オフィシャルサイト K−1携帯端末オフィシャルサイト チケットぴあ TEL:03-5237-9999 スポーツ専用: 03-5237-9977 TEL:03-5237-9966 ローソンチケット TEL:03-3569-9900 TEL:03-5537-9999 CNプレイガイド TEL:03-5802-9999 e+(イープラス) サークルK サンクス 高田道場 TEL:03-5749-5030 グレート・アントニオ TEL:03-3219-9550 レッスル渋谷店 TEL:03-3464-0078 レッスル池袋店 TEL:03-3989-0056 板橋大山アメリカン TEL:03-3962-6443 書泉ブックマート TEL:03-3294-0011 フィットネスショップ格闘技 TEL:03-3265-4646 チケット&トラベルT−1 TEL:03-5275-2778 後楽園ホール TEL:03-3811-2111 TOKYO文庫TOWER TEL:03-5784-4900 BCG TEL:03-3560-7911 相鉄ジョイナスプレイガイド TEL:045-319-2456 公武堂 TEL:052-241-2511 新日本プロモーション チケットgaburi
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Last Update : 07/17
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