BoutReview
記事検索 by google
news

[DEEP2001] 6.9 有明 (レポ&写真):トーナメントは泥沼の展開。和田は打撃戦

DEEP2001 "5th IMPACT in DIFFER ARIAKE" 2002年6月9日(日) デイファ有明

 レポート:井原芳徳,磐田レン  写真:飯島美奈子

 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・プロ総合格闘技スレッドに投稿をお待ちしています]

◆DEEP JAPAN 初代ミドル級 (-82kg) 1DAY トーナメント
(DEEP2001公式ルール採用。引き分けの場合延長5分1R(マストシステム))

第1試合 トーナメント一回戦 第1試合 5分2R
○村浜天晴(WILD PHOENIX)
×星野勇二(RJW/CENTRAL)
2R 1'23" 洗濯ばさみ

 1R、星野がテイクダウンに成功しハーフガードとなる場面もあったが、互いに特にチャンスもなく2Rに。星野がまたもテイクダウンし横四方、上四方と移行。だがこの時に村浜が矢野卓見直伝の「洗濯ばさみ」で星野を捕まえ失神させた。

◆星野「(洗濯ばさみで)自分で落ちたっていう感覚がなかったんで、『何で試合がとめられたのか』と思いました。反省して次に活かしたいです。」

第2試合 トーナメント一回戦 第2試合 5分2R
×梁 正基(STAND)
○上山龍紀(U-FILE CAMP)
判定0-2 (松村19-20,梅木20-20,塩崎19-20)

 約1年ぶりの試合となる梁のセコンドには藤井克久、所英男、そして上山のセコンドには長年の先輩・田村潔司がつく。しばらくスタンドで距離を取っていた両者だが、次第に梁の低いガードを越えて上山が左右のカウンターパンチを当てるようになる。上山は梁のパンチに合わせてタックル。二度目のタックルでテイクダウンに成功するが、間もなくしてラウンド終了のゴング。2Rも上山がしつこいタックルでテイクダウン。上の体勢からは袈裟固め、下になっても腕十字を狙うなど梁を翻弄し続け、僅差ながら判定勝ちをおさめた。

◆梁「完敗ですよ。相手を舐めてかかる癖があるんで。頭の中では1Rから行こうと思ってたんですけど、勘が鈍ってました。ちょっと慎重になって自分 の持ち味が全然出せなかったです。
(上山選手の印象は?)強かったですよ。今日改めて自分の実力を知る事が出来ました。
いざ観客を目の前にすると実力が出せないのがわかりました。そういう為にも練習あるのみですね。今日の敗戦で練習やらなきゃと思いました。人一倍練習嫌いなんで(笑)」

第3試合 トーナメント一回戦 第3試合 5分2R
×久松勇二(TIGER PLACE)
○窪田幸生(パンクラスism)
判定0-3 (松村18-20,梅木18-19,塩崎18-20)

 1R中盤、久松がローを放ったとき、つま先が窪田の股間に命中。窪田はうなり声を上げてマットに倒れ込む。ダメージが大きいため、第5試合の後から再開。久松はローブロー以外に、倒れた窪田の頭部を蹴ったことから、合計2点の減点を課せられる。1分34秒の時点から再開するが、窪田は押され気味。久松は1、2Rにハーフガードの体勢になり、2Rにはバックを取る場面もあったが、決め手に欠き、減点をばん回できなかった。

◆久松「(試合を振り返って)負けは負けですから。減点食らってもしょうがないんで。一年前、窪田選手に負けてるですけど、その時に比べて一年間で自分が進歩してる部分がわかったのがよかったです。でも借りが返せなかったんで物足りないです。練習が足りなかったんだと思います。このままでは終われないんでこれから練習してレベルアップしていきたいです。どんな試合でもいいんで呼んでくれたら死ぬ気でがんばります。」

第4試合 トーナメント一回戦 第4試合 5分2R
×長南 亮(U-FILE CAMP)
○石川英司(パンクラスGRABAKA)
判定0-2 (松村19-20,梅木20-20,塩崎19-20)

 1R序盤、長南がスタンドでフロントチョークに石川を捕まえるが、極まりが浅くシュートサインは出ない。石川がハーフの体勢からパスを狙うと、長南がリバースに成功する。
 2R、石川がコーナーでの差し合いから片足を抱える格好で長南をテイクダウン。今度はハーフ、サイド、マウント、バックと菊田仕込みのポジショニングを披露し、スリーパーに。長南は外してガードに戻ったが、結局石川のこの攻撃が評価される格好となった。

◆長南「(石川と戦った感想は?)強かったですね。パンクラスのランカーなんで強いとは思ってましたけど、予想どおりですね。タックル警戒して自分の打撃が出せなかったです。腰も重いし、前に前に密着してくるんで、自分みたいなタイプはやりにくいです。でも凄くいい経験になりました。
(今後の目標は?)パンクラスとかで同じ年代・体重の人達と戦えたらもっと強くなれると思うんで。それと今回のようにDEEPとかいろんな大会に出場して自分を磨いていきたいですね。(具体的に戦いたい選手は?)ネイサン・マーコート選手です。」

第5試合 特別試合 5分3R
○伊藤崇文(パンクラスism)
×日高郁人(フリー)
2R 1'54" チョークスリーパー

 日高には平直行と小林聡がセコンドにつく。試合は一回り小さい伊藤が終始グラウンドで日高をコントロール。何度もバックを奪う。2Rには両者が足関節を取り合う場面もあったが、最後は伊藤がバックからのスリーパーで日高を絞め落とした。

◆伊藤「(日高選手の印象は?)怖かったし、強かった。よく練習してるというか、俺のやりたいことを判ってるんじゃないですかね。別に技とかじゃなくて、心で俺がやりたい事、日高は多分わかってるから。今日俺は日高から力を貰ったんで、(パンクラス7月28日後楽園大会でトーナメントの行なわれる)ウェルター級のベルト必ず貰います。
(試合後、何か話されてましたが?)『強くなったなぁ。またやれたらやろうな。パンチ効いたよ』とか・・・気持ちが入ってるんでしようね。」

◆日高「あー、悔しいですよ。完敗です。悔しいのが一番ですね。後手後手にまわっちゃって駄目ですね。男として試合にこぎつけたのはよかったと思うですけど、試合内容は全く駄目でした。
(伊藤選手の印象は?)強いです。毎回こういう試合のプレッシャーの中で戦ってると思うんで、精神的にも肉体的にも強いと思う。距離を詰めてパンチを当てたかったけど、(伊藤は)レスリングが強いの知ってるから、それを警戒して自分の動きが固くなってしまった。
 この試合が一つの分岐点になったのは確かなんで、お互いの道でトップを獲れるようにがんばります。」

第6試合 トーナメント準決勝 第1試合 5分2R
×村浜天晴(WILD PHOENIX)
○上山龍紀(U-FILE CAMP)
延長R 1'44" チョークスリーパー
※2R終了時:判定0-1 (松村20-20,梅木19-20,塩崎20-20)

 開始早々村浜が飛び膝蹴りで奇襲。ギロチンで上山を捕まえる。上山がこれを外すと、村浜はバックに回る。上山は返して上になるが、村浜はまた返してハーフガードを取り、ラウンド終了間際にはバックを奪う。
 だが2Rになると1Rのラッシュと体重差の影響も相まって、村浜に疲れが見え始め、終盤には逆に上山にバックを許す。

 両者とも決め手に欠き、延長にもつれこむ。村浜はキックのフェイントを仕掛けてからタックルで飛び込むが、上山に動きを読まれバックを取られ、スリーパーで捕まりタップアウト。上山が粘り勝ちで決勝に駒を進めた。

◆村浜「(上山選手の印象は?)やっぱデカいし、懐も深いし、グランドもよく知ってる。上手い選手だと思う。まあ、これでいい課題も見えましたね。今いい感じで伸びてるんで、今伸びてる最中でDEEPでこれだけいけるというのは、もう伸びきった時にはまた面白い事になると思うんで。それがどこのリングで成果が出るかはわかりませんが、またDEEPに出れるようにがんばります。」

第7試合 特別試合 55kg契約 5分3R
×ランバー・ソムデート吉沢(タイ/M16ジム)
○ダレン・ウエノヤマ(アメリカ/ハウフ・グレイシー柔術アカデミー)
判定0-3 (松村28-29,梅木27-29,塩崎28-29)
※窪田の一回戦のダメージを考慮し、第8試合から第7試合に移動

 トーナメントでの窪田の回復を待つため、この試合は第8試合から第7試合にまで早まった。ウエノヤマは日系ブラジル人。直前に試合が決まったせいか、契約体重を0.65kgオーバーしてしまい、最初に1点減点される。
 試合はウエノヤマがパンチで間合いを詰めてランバーを倒し、上のポジションを制する展開が繰り返される。だがランバーはセコンドの「エビ!」という声に押されるように腰をブリッジして脱出したり、下から足関節を狙いに行ったりと、グラウンド技術でさらなる進化を発揮する。結局グラウンドで上になる時間の長かったウエノヤマが判定勝ちをおさめたが、柔術の紫帯相手にフルラウンド戦ったランバーの寝技の成長ぶりも光った試合だった。

◆ランバー「勝ちたかったけど向こうの方が強くて勝てませんでした。立ってる時間が短かったので打撃が使えなかった。(相手の印象は?)特に感想はない。同じ55キロならもう一度やりたい。(今日の作戦は?)低いタックルにきたらそれに合わせて膝を使おうと思ってましたけど、胴タックルにきたので使えませんでした。
(今後の目標は?)寝技の練習をしてからまた試合をしたい。総合の試合に出るのならキックのテクニックだけでなく寝技の練習をしないといけない。
(キックの試合の予定は?)多分もうやりません。DEEPや総合の試合がなくなってもK-1以外はやりたくない。(総合の為に組み技用の筋肉をつける気は?)筋トレとかウエイトもやったし、プロテインも飲んだけど駄目でした。55キロ以上にいかないです。」

◆ウエノヤマ「日本のDEEPでランバー選手と試合が出来て光栄に思います。いい形で勝てたと思います。(ランバー選手の印象は?)とてもいい選手で、エンターテイナーの要素も持っていると思う。(総合の経験は?)初めてです。自分は半分日本人なので、また日本で、そしてDEEPで試合がしたいです。(戦いたい相手は?)特に誰ということはないですけど、日本でもっとキャリアのある選手と戦いたいです。(柔術の帯色は?)紫です。」

第8試合 トーナメント準決勝 第2試合 5分2R
○窪田幸生(パンクラスism)
×石川英司(パンクラスGRABAKA)
判定3-0 (松村19-18,梅木19-18,塩崎19-18)

 序盤石川がテイクダウンしバックを取る。窪田は脱出し、コーナーに石川を詰めてパンチを放つ。だが離れ際、石川のローが窪田の股間に直撃。一回戦の久松戦のローブローのダメージが完全に癒えていなかった窪田は「あー!」と悲鳴を上げてマットに倒れ込む。石川の蹴りは決して故意ではなかったが、レフェリーは2点減点。しばらく時間を置いてから試合を再開したものの、窪田のダメージが激しく、石川に何度もテイクダウンを許し防戦一方となる。2Rの終盤には石川がバックマウントを取る。
 判定はローブローの2点減点が響き石川が敗れる。だが勝った窪田も悔しさと苦しさのあまり涙を流し、立ち上がるのも苦しいような状態になっていた。試合後はリングの下にDEEP2001の佐伯代表、パンクラスの尾崎社長、石川のセコンドの菊田早苗、そして審判団が自然発生的に集まる。事実上、窪田が「反則勝ち」だけで決勝まで勝ち上がってしまうことの是非が話し合われていた。客席からも窪田が勝ち上がることに対して不満の声が巻き起こっていた。結局、ドクターストップという形で決勝を辞退し、代わって石川が決勝で上山と戦うこととなった。

第9試合 特別試合 5分3R
×和田良覚(リングス・ジャパン)
○MAX宮沢(荒武者 総合格闘術)
1R 3'23" KO(右ストレート)

 3月大会のデビュー戦で見事TKO勝利を収めた和田良覚レフェリーが、再び“選手”としてリングに戻ってきた。
 今回の対戦相手の宮沢は、インディー系プロレス団体「キャプチャー」でニーハオの名前で活躍していたこともある。しかしレスリングをベースとした組技には定評があり、コンテンダーズ出場、コンバットレスリング優勝をはじめ輝かしい戦歴を持つ。

 場内にUWFのテーマが流れると会場は大歓声に包まれる。そして、リングスジャパン・和田良覚の名前がコールされると観客のボルテージは最高潮に。
 試合は序盤から激しい打ち合いが展開される。宮沢はローキックを巧く使いながら「狙っていた」という右のパンチを和田の顔面にヒットさせる。
 和田はこのパンチで「右目の焦点が合わなくなり慌ててしまった」という。この後、和田は倒されると、サイドポジションから宮沢のパンチの連打を貰ってしまう。
 ここまでかと思われた和田だが、このピンチをどうにか切り抜け、再びスタンドでの打撃戦に。
 しかし“3分間なら最強”と噂される和田に対して、宮沢は「それなら最強のうちに倒してやろうと思った」と試合後語ったように、攻撃の手を緩めない。
 和田も必死にパンチで反撃するも、やはり経験不足か? どうしてもガードが下に下がってしまう。
 この隙をついて宮沢は強烈な右フックをまたもや和田に叩き込む。大の字に倒れこむ和田を見て宮沢はガッツポーズ。見事なKO勝利を勝ち取った。

 まさしく“プロの洗礼”を浴びてしまった和田。控え室では悔しさをにじませ、今後の試合出場について聞かれても「しばらく考えてから」としか語らなかった。だが38歳とは思えないビルドアップされた体格、果敢に攻めるファイティングスピリットは実にプロ向き。この敗戦で見えた課題を克服し、再び、UWFのテーマに乗ってリングに上がる姿を見てみたい。

◆和田「これが現実ですよ。プロの洗礼ですね。やられる時はきっとレスリングテクニックでやられると思ったんですけど、相手が一枚も二枚も上でしたね。悔しいけど、自分の実力が無かったということで。
(セミファイナルの重圧は?)言われたときは『え?』っていうのはありましたけどね。キャラクターでね。実力とかじゃなくて。
(巷で騒がれる“和田最強説”について?)いやいやー、あれはみんながこう本当にワイワイガヤガヤで、おふざけじゃないんですけどね、みんなが持ち上げてくれただけなんで。
(今後の試合は?)ちょっと休んで考えさせてもらいます。『僕みたいなのは駄目かな』って思うかもしれないし『悔しいからもう一回』と思うかもしれないですしね。年齢的のこともありますから、長くとは考えてません。」

◆MAX宮沢「(和田選手の印象は?)噂だと強いと言われてたんで、体を見て力はあると思ったんですけど、苦労してきた分自分が上だったと思います。(作戦は?)組んでくると思ったんで、ローからジャブで攻めて、右のパンチで決めてやろうと思ってました。
 僕なんかインディーのレスラーだし、やっとこういう舞台用意してもらったのに、これで負けたら誰も見向きもしないだろうし。だから今日は死んでも勝ってやろうと思ったんで。和田さんは3分最強と言われてるんで、それなら最強のうちに試合を決めたかったんで、その通りになったんで良かったです。」

第10試合 トーナメント決勝戦 5分2R
○上山龍紀(U-FILE CAMP)
×石川英司(パンクラスGRABAKA)
2R 0'48" アンクルホールド
※上山が優勝

 窪田に代わって決勝に進出した石川だが、準決勝が終った時点で集中力が落ちてしまったといい、万全の状態で決勝に臨むことができなかった。準決勝から決勝までの試合間隔も、上山が3試合で石川が1試合。体力差が勝負を大きく左右することとなる。
 1Rこそ二度バックを奪うなど石川が比較的優位に試合を運んだが、インターバル中石川が椅子に座って苦しそうな表情を見せているのに対し、上山は立ったままでほとんど疲れを見せない。
 2R、上山のパンチに合わせて石川がタックルで飛び込みバックを取るが、上山は素早く下に潜り込んでアンクルホールドに石川を捕らえる。ロープにもつれこむ形でとなり石川は逃げにくくなり、そのままタップ。準決勝同じく上山がワンチャンスを物にして見事優勝をおさめた。

◆上山「ちょっと信じられないですね。凄い嬉しいです。(決勝を振りかえって?)1Rは獲ったか、ドローかと。獲られてないとは思いました。かといってせっかくのメインですから2R目に守りに入るのが嫌だったんで。最後は(石川に腕を)差されてテイクダウン狙うの判ってたんで、腕に気をとらせて、足を狙いました。一瞬の判断が上手くいったと思います。アンクルホールドには自信があったんで。
(トーナメントを振りかえって?)体はボロボロです。歩くのも精一杯です。一回戦でロー蹴った時、足、痛めちゃって。準決勝でも疲れました。スリーパーも腕が張っちゃって右腕も使えなかったし。気迫だけでがんばりました。一試合一試合集中して、どうやって勝つかというのを考えながら、大事に戦っていったのが勝因だと思います。興行的にもメインは一本勝ちで終わったほうが(いい形で)締めくくれると頭にあったんで、負けてもいいから攻めて攻めて、積極的に行こうと思いました。
(窪田の負傷による選手交代について?)そんなに影響は無かったです。自分のことで精一杯で、ただやるだけでした。
(ベルトの感触は?)疲れてたんであんまり巻きたくなかったんですけど(笑)。結構重いです。実感はまだないですね。自分自身の実力はそんなに変わってないと思うんですけど、多分試合慣れというのが(勝因として)大きいと思います。試合をしていく上で自分の動きを出せてきてるのが、いい結果に結びついたんだと思います。
(今後の目標は?)ちょっと今、自分の中で整理がつかないんで。今は本当に嬉しいです。また明日から気持ち切り替えて、考えていきたいです。」


<フューチャーファイト(大会開始前)>

第1試合 5分2R
○荒牧拓(P's LAB横浜)
×宮川博孝(チームアライアンスG-スクエア)
1R 3'36" 腕ひしぎ十字固め

第2試合 5分2R
△築城実(P's LAB東京)
△出見世雅之(RJW/CENTRAL)
時間切れ

Last Update : 07/22

[ Back (前の画面に戻る)]



TOPPAGE | NEWS | REPORT | CALENDAR | REVIEW | XX | EXpress | BBS | POLL | TOP10 | SHOP | STAFF

Copyright(c) 1997-2002 MuscleBrain's. All right reserved
BoutReviewに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はマッスルブレインズに属します。

編集部メールアドレス: ed@boutreview.com