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[コンテンダーズ] 3.10 Zepp Tokyo大会 レポート&写真

Zepp Tokyo 3rd Anniversary The CONTENDERS X-RAGE Vol.2
2002年3月10日(日)東京・Zepp Tokyo
主催・GCMコミュニケーション

レポート:井原芳徳  写真:飯島美奈子

【→大会前のカード紹介記事&メインの両チーム公開スパーリングの模様】

(この試合の模様は4月4日(木)19:00〜21:00 SKY Perfec TV 301ch ファイティングTV SAMURAI!「バトルステーション」で放映されます。)

第8試合 DOUBLES 15分3本勝負 延長サドンデス5分
×宇野薫(和術慧舟會東京本部)&
 渋谷修身(パンクラスism)組
○高阪剛(Team Alliance G-Square)&
 鈴木みのる(パンクラスism)組
1本目:9分過ぎ 腕ひしぎ十字固め(高阪→宇野)
2本目:14分過ぎ スリーパーホールド(鈴木→宇野)

 以前ならありえなかった鈴木&高阪というツーショットが実現。宇野&渋谷も登場するとリング上はいっそう華やかに。「役者が揃った」という雰囲気にZepp Tokyoに詰め掛けた観客もがぜん盛り上がる。
 先発は渋谷と鈴木。互いに勝手を知り尽くしており、スタンドでのシンプルなレスリングの攻防にとどまる。両陣とも宇野と高阪にタッチ。この二人もトレーナーの普段よく練習している組み合わせだ。しかし高阪は宇野の足をすくってテイクダウンすると、下から素早く足を狙い、遠慮なしのハイスパートな動きを見せる。

 続いて宇野は渋谷にタッチ。ついにリングスとパンクラスの接触だ。結局高阪と渋谷が肌を交えたのは数度だけだったが、渋谷は高阪について「体が柔らかい」と印象を語った。これは宇野と鈴木が公開スパーリングに語っていた印象と全く同じである。高阪の格闘技のベースは「柔道」。そしてリングス時代から他団体の大会に積極的に参戦するなど、性格面でもどこか「柔らかさ」を感じる。高阪剛を表すキーワードとして「柔」という文字がふと思い浮かんだ。

 試合経過に戻ろう。その後めまぐるしいタッチワークが続き、中盤には宇野と高阪がまた相見える。宇野がタックルでテイクダウンし素早くパスガード。すると高阪がリバースし上のポジションを制す。両者の素早い動きに客席から大きな拍手が起こる。この後両軍のタッチワークが続き、またも宇野と高阪の組み合わせに。高阪は素早く宇野のバックを奪い、腕をつかまえ十字に極める。しばらく宇野は我慢するが、がっちり極まってしまいタップ。高阪・鈴木組が一本目を先取した。

 試合は鈴木と渋谷の組み合わせで再開。コーナーで待機している宇野は苦しそうだ。しかし再びリングインすると、高阪相手にパスガードするなど疲れを感じさせない動きを見せる。一度鈴木と渋谷の組み合わせに戻った後、再び宇野と高阪が相見え、互いに素早い動きを見せる。しかし宇野が腕十字に失敗。逃げた高阪にタッチを許してしまい、すかさずリングインした鈴木にあっさりバックを奪われ、スリーパーにつかまる。宇野は逃げようもなくタップアウト。見事な頭脳プレーで高阪&鈴木組が2本目を奪い勝利をおさめた。

 勝った高阪&鈴木は抱き合って喜びをあらわす。長年のパンクラスとリングスの関係を知る者にとって実に感慨深い光景である。だがこういう場面を結果的に演出したのは宇野の尽力に負うところが大きいのではないだろうか。二本とも高阪&鈴木組に献上したからではない。人脈や中立的な立場で夢のマッチメイクを実現したということだけでもない。試合の中で重量級の二人に必死で立ち向かい見せ場を作ったことが、何よりも最高の演出のスパイスとなったのではないだろうか。思えばコンテンダーズでの宇野は黒星や劣勢の場面が多く、今回も単純に結果だけを見ればそのパターンである。だが重量級の相手と戦った経験は、パワーに勝る欧米人格闘家とUFCで対戦する時に必ず活きるものだろう。次の試合は5月のUFC37でのイーブス・エドワース戦。この日激闘を繰り広げた高阪剛とともに、オクタゴンに乗り込む。

◆鈴木みのる&高阪剛のコメント

−−スタミナはどうでしたか?
鈴木「延長5分までいくと辛かったかな。もうちょっと調子に乗らせたかった。渋谷とか宇野の癖知ってるんで、色々仕掛けてたんだけど。」
−−タッグマッチに関しては?
高阪「初めてで難しかった。鈴木さんから『何とも言えない変な感じ』と聞いていたんで。とりあえず普通にやればいいのかなと思ってたんだけど、タッチワークとかもうちょっと上手く出来たかなと。」
鈴木「宇野とは初めてだけど、渋谷は手口よくわかってるんで。宇野は高阪の下からのTKシザーズを異常に警戒してるから、それまでいいポジションいてもちょっと足動くと自分から離れちゃう。それは試合やってて非常に有利でしたね。やる前に印象付いちゃってるから。」
−−そういう意味で高阪さんはやりやすかった?
高阪「はい。警戒されてディフェンスされた後の動きとか、そこから動いた後の動きとか考えてたんで。足出そうとすると声が聞こえるんですよね、『右足くるぞ』とか(笑)。」
鈴木「立ち位置とか全部任してて大丈夫だったんで。一応右とか後ろとか声は出してたんですけど見なくてもタッチできるように。即席タッグだったけど割と上手く出来ましたね。仲間割れもせずに(笑)。新しい1ページを僕と彼で切り開いて行くことが出来たんで、これからもどんどん進めていきたいですね」
−−今後もオファーがあったら、2人で?
鈴木「まぁ僕ら勝利チームなんで、ベルトがあれば守ってね(笑)。チャンスがあればやりたい」

−−高阪さんの次の試合は?
高阪「今のところ5月のUFC、まだ正式決定ではないけど、決定したらすぐに。」
−−所属名のTeam Allianceというのは?
高阪「モーリス・スミス達と作ったんですね。Allianceってのは“同胞”とか“同盟”って意味です。言ってみれば今日の鈴木さんとか自分もそうなんですけど、別のところで同じ目的の為に練習してきてる選手達が、同じ意識があれば一緒に練習して強くなるってのは当たり前の事だと思うんで、そういう仲間を集めたのがTeam Alliance。日本に帰る時モーリスに『じゃお前はTeam Alliance JAPANだ。同盟組める奴がいたらやりゃいいじゃないか』って言われて。でもそんなに深い意味じゃなくて、意識が同じ人が一緒に集って練習するのは当たり前なんですよ。合わなければやめればいいし。」
鈴木「やっぱ早い内から日本飛び出て海外に行ってるから、そういう考えが身についたんだろうね」
−−精神的に鈴木選手もTeam Alliance?
鈴木「(笑)また機会あったら練習しましょう。」
高阪「ハイ、お願いします。」
−−Team Allianceに入ってる選手とかは?
高阪「今のところはまだデビューしてない選手と。」
−−後は?
高阪「横井選手。アメリカだったらモーリス、フランク(・シャムロック)、(フランシスコ・)フィリォ。後は何て言ったっけ、入れ墨入った柔術の...ちょっと忘れちゃいましたけど」

−−新日本プロレスの5月の東京ドーム大会で佐々木健介選手と戦うという記事が新聞に出ていましたが?
鈴木「いや、僕の所にはまだ話来てないんで。僕に聞かないで下さい。尾崎社長には実現に向けて欲しいと伝えてますので。新日本も30周年?。僕なんかまだペーペーの頃に居さして貰ったんで。生意気なこと言って家飛び出た道楽息子みたいなもんですから。何が出来るかわかんないですけど参加したいなと。最近よく『キャリア何年ですか?』って聞かれるんですよ。忘れてたんですけど、僕、昭和最後の年にデビューしたんですよ。昭和最後のレスラーって事に自分で気付きまして、自分のキャッチフレーズこれからそれで行こうって。昭和最後のレスラーって(笑)。」
高阪「何年?63年? 自分が大学入学した年です(笑)。」
鈴木「だから今日もただの組み技格闘技じゃないんですよ。自分が10何年やってきたプロとしての部分、色々な意味で引き出しってのを出しながらこれからもやっていきたいです。」

−−高阪さん今後パンクラスでやるとかって話は?
高阪「いや。今のところ無いです。」
−−希望としては?
高阪「今のところ5月のUFCのことしか考えられないですね。その後のことは全然わかんない。集中して大事にやっていかないと、集中して追い込むのって大事だと思うんで。後があるからとかそういう気持ちで試合に臨みたくないっすね。」
−−渋谷選手と組んでみての印象は?
高阪「渋谷君とは練習で一度組んで。力強いっすね。アメリカ人の選手とか腕力の強い選手と比べても引けを取らない力強い選手だなぁと。鈴木さんに話聞くと、その力ずっと持続させるそうなんで、それってスゴイことなんですよ。大体すぐガス欠しちゃうんですけど。スゴイ武器ですよね。」
−−これからも高阪選手と鈴木選手は合同練習をしますか?
鈴木「これまであまり接点が無かったんですけど、すごい気持ちよく居れるっていうか。まぁ僕らだけじゃなく日本の選手が力合わせて大きな世界に立ち向かってかなきゃ。PRIDEとかUFCとか世界の舞台は外人パワーに押さてれますから。4月のPRIDEも(パンクラスから)誰が出るかわかんないですけど、誰か出ると思うんで、合わせられる所は力合わせていきましょう。」

◆宇野薫&渋谷修身のコメント

−−今日の試合はいかがでした?
渋谷「初めてのタッグなんで全然思い通り行きませんでした。」
−−具体的にはどの辺が?
宇野「向こうのコーナーに行かれた時とか、タッチするのかしないのかすごい気になるんですよ。相手よりそっちの方に気がいきましたね。」
−−高校の先輩が対戦相手でいることでプレッシャーは?
渋谷「先輩ってのは別に。ただプレッシャーはすごかったです。」
−−そのプレッシャーってのは、高阪選手、鈴木選手どちらの?
渋谷「いやどちらもすごかったです。試合観た通りどちらも取られてしまったんで。」
−−宇野選手まだ左のひじは?
宇野「左はそうですね、まぁ極まっちゃってたんですけど、それ以上極まるとその後が。一本取られても三本勝負なんで、逃げられないと思って早めにタップしました。でも痛いっすね(苦笑))。」
−−腕の痛みは試合に影響しましたか?
宇野「特には無いですけど、試合中はなんか興奮してて。結構早めにタップしたんで。」
−−最後の絞めは?
宇野「タッチして鈴木さんがすぐ来たので、こりゃヤバイって。」

−−渋谷選手の高阪選手に対する印象は?
渋谷「自分の想像してたのと全然違うんですよ。体重も10キロ位違いますし、もっと力強さを感じるかなと思ったんですけど、すごい柔らかい力でやってきたんで、あっけにとられたっていうか、ビックリしましたね。」
−−鈴木選手は?
渋谷「入門した頃から毎日やってますし。まぁ試合前はやらなかったんですけど。なんとか鈴木さんから一本取って恩を返したかったんですけど、まだまだっすね。」
−−コンテンダーズルールに興味は?
渋谷「うちのパンクラスでもキャッチレスリングってやってますんで、興味はありますね。」
−−今後オファーがあれば?
渋谷「ハイ出たいですね、っていうか勝ちたいですね。」

第7試合 CONTENDERS 5分2R -72kg契約
○雷暗 暴(フリー)
×山崎 剛(GRABAKA)
判定40-39 (1R:20-20, 2R:20-19)

 同じ体重とは思えないぐらい体格差のある両者だったが、その違いがそのまま試合に反映し、ライアンがスタンドでもグラウンドでもレスリングで山崎をコントロール。2R終盤にはライアンが山崎のバックを取る場面も。判定は僅差ながらライアンに軍配が上がった。

◆雷暗コメント
「(試合の感想は?)相手思ったよりそんな強くなかったけど、まぁ(修斗の)ランカーだったから強かったですよ。自分で(極めに)持ってこうと思ったけど、相手が結構前出てきて、なんとなく行けなかったですよ。どうしても取れなくて、残念ながら判定で勝ったんですけど、本当は一本取りたかったです。
(山崎の感想は?)まぁ強いは強いじゃないですか。周りメッチャ強いとか言ってくるから、思ったより強くなかったですよ。自分がタックル取った時に、それは無いと思って。
(雷暗選手はコンテンダーズにルール慣れしていない?)それはありますねぇ。打撃が好きで、どうしてもスタンドで組んでる状態になると打撃使いたくなるんですよ。どうしてもルールを(試合中も)少し考えました。(ポジション取った時に少し考えてるなと思ったんですけど?)そう。殴れないからどうしても辛いじゃないですか(笑)。でもこれから何回か出れば慣れるんと思うんですけど。

(次の修斗の試合が来週ですが?)怪我ないので大丈夫ですよ。トレーニングとかはほとんど一緒。今まで打撃を中心にしてトレーニングやったので、コンテンダーズルールより修斗ルールの方が慣れてるだし、全然大丈夫です。
(フロントスリーパーは入ってました?)惜しかったんですけど、足をクラッチできなくて極められなかったんですよ。みんな『上になったら山崎さんはメチャ上手い』とか言うから、その時に強さを感じましたよ。
(コンテンダーズに向けて特別に組み技・寝技の練習は?)無いです。総合の練習ばっかやってて、コンテンダーズのルールは今日の試合に向けて1回もやってないですよ。
(マスクを被っていたのは?)友達の戸井田と星野さん慧舟會の、慧舟會とかに練習行ってるんで。皆に見せれるようになったのは皆のおかげだったので、それを伝えたかったです。」

第6試合 CONTENDERS 5分2R(胴衣着用) -68kg契約
○小室宏二(RJJ)
×若林次郎(SKアブソリュート)
判定40-37 (1R:20-19, 2R:20-18)

 小室がコムロックや袖車絞(そでぐるまじめ)など得意技で若林を攻める。若林もサンビストらしく膝十字を取りにいく場面もあったが、小室に逃げられる。2R小室が綺麗な内股で若林を投げ盛り上がる場面もあったが、着を利用した細かい攻防が続いたため、観客の反応はいま一つだった。結局有効技の多かった小室が勝利。(この試合の攻防を両選手が試合後説明してくれましたので、試合を見てピンと来なかった方は一読をお薦めします。)

◆若林次郎のコメント
「自分とか別に総合やってるわけじゃないんで。まぁ組みの立ち技で投げたりできなきゃ、技術を磨かなきゃどうしようもないんで。そう思ってやってきたんですけど。こういう強い人とやって、いい経験になりました(苦笑)。
(お互い胴着を着て戦うということについては?)いや、別に自分はサンボの選手なんで。『小室君と胴着なしでやって何の意味があるの?』って思うんで、全然それは自然なこと、当たり前のこと。ただ柔道着を着て柔道のルールでやれって言われたら辛いですけど。逆に小室君も絞めが得意な選手なんで、サンボがあまり合ってるタイプじゃないと思うんで、サンボじゃ当たれないし、こういう場だからお互いもジャッジ出せる条件で戦えると思ったんで。(判定に関して)もっと差が開くと思ったました。僕は何にもしてないんで。投げられたし、抑えられて。何にもさせてもらえなかったんで。もっと練習がんばろうかと思います。で、また10日後くらいにサンボの試合(トライアルマッチ)が新潟であるんで、そっちでまたがんばって。
(今日はサンボの代表という意識は?)いや、今まで1回も思ったことないんで。周りがどう思おうが知ったこっちゃないんで。思いたければ思っててくれればいいんですけど。
(内股で投げられた場面は?)低く構えちゃってそこを逆に狙われたなって。柔道の組み手とかと一緒ですけど、もっと動かないと駄目ですね。じっくり構えちゃう癖も付いちゃってるんで。
(袖車絞は?)いや、絞めは全然。自分があきらめなければ、アゴ開けなければ入んないんで。
(アームロックは?)ちょっと体が前にひきつけられちゃって。引けなくて、ああ参ったなぁと。ただやっぱり予想してましたけど、挟む力が強いですね。あと裸だとくっついてどんどん行くんで、そっちの癖が出ちゃったかなっていう。道衣だともっと自分が動かないと。そういう所は勉強になりました。」

◆小室宏二のコメント
「(柔道対サンボの意識は?)ロシアの人は皆サンボの技術を柔道のルールの中でやってるんですよ。だからサンボみたいな組み方は僕も対策はしてるんですよ。若林先輩だからどうしようじゃなくて。逆に僕は国内で勝てなくて、サンボとか(のベースのある)外国人の柔道に強いんで、苦手意識はなかったです。
(内股がきれいに決まりましたが?)一応得意技なんですけど柔道の試合で全然決まんなくて。日本人には効かないんですけど、サンボスタイルの腰を引いた人にはすごい効くんで。
(袖車絞の感触は?)極めが中途半端でした。1Rは腕を狙ってきたらカウンターで行くのを狙ってたんですけど、ちょっとずれてしまって。絶対2R取ってやろうと思ってまたやったんですけど、腕が完全に張ってしまって。
(コムロックは?)一発目取れると思ったんですけど、嫌なうまい抜き方があるんですね。ちょっと言わないですけど、嫌な抜き方を見事に3回くらい連発でやられたんで『もう今日は効かないな』と思って。もうホームページに載せるのやめようかな(笑)。本当は抜いてくれた時が一番のチャンスなんですけど、その1Rの最初の1,2分で三連発で逃がしちゃったんで、こりゃ今日は駄目だなと
(若林の印象は?)高校の先輩なんですけど、コンテンダーズのファンとしてすごい好きな選手なんで。やるって話を聞いた時に『お客さんの立場としても面白いだろうな』って凄く楽しみにしてました。(高校時代はよく練習を?)いえ。若林先輩が30か29で自分はまだ24なんで全然離れてますね。レスリング道場と柔道部の道場が隣同士だったんですよ。若林先輩と同級生だった先輩もよく知ってるんで。あと太郎さん(若林の兄)とかとも練習させて貰ってるんで話は聞いてました。
(今後の試合の予定は?)来週すぐイタリアとオランダに行きます。」

第5試合 CONTENDERS 5分2R -65kg契約 
○矢野卓見(烏合会)
×所英男(パワーオブドリーム)
判定39-38 (1R:20-18, 2R:19-20)

 序盤はスタンドのレスリングからスタート。怖い表情でプレッシャーを与え続ける矢野に対し、所は生真面目な表情で周りを回るだけで攻めあぐねる。すると突然矢野が前転し、そのまま足を所の首に絡め三角絞め。あまりもの早業に客席は騒然とする。所は自分の首と矢野の足の間に腕を曲げる形で挿み入れていたため完全には絞められず、なんとかピンチをしのぐ。
 そのあと所はタックル、サイド、上四方と素早い動きを見せるが、矢野は余裕の表情。ポジションを取られているというよりも、わざと取らせているようである。2Rこそ所が昨年8月の阿部裕幸戦で見せたようなジャーマンスープレックスを二度成功させ、見せ場を作るが、矢野を脅かすほどの技にはならない。スタンドレスリングで攻め手のない所に業を煮やしたような矢野が、マットに大の字で寝転んで所を挑発する場面も。
 百戦錬磨の曲芸師と、生真面目なフレッシュマンの実力差は、1点のポイント差よりもずっと大きい物があったといえそうだ。

◆矢野のコメント
「(最初の前転してからの三角絞めは?) 練習でよくやってる。失敗してもまぁいいし、今回は半決まりみたいな感じ。(終盤寝転がったのは?)自分はパスガードの取り合いとか、ああいうのを争ってるわけじゃない。パスさせてから『さぁやろうか』みたいな。そこから初めても別に困らない。対処の仕方はいくらでもあるから。若い奴と取り合いしてたら体力使うし、ならもう初めから取らせちゃえばと思って。」

◆所のコメント
「(矢野の印象は?)プレッシャーがすごいですね。硬くなってしまって、自分の動きが出来なかったのがくやしいです。」

第4試合 CONTENDERS 5分2R -68kg契約
○門脇英基(和術慧舟會東京本部)
×今成正和(Team Roken)
判定40-38 (1R:20-19, 2R:20-19)

 1月にキングダムを離脱し、新たな道場「ILL STREET GYM」を構えたばかりの今成がコンテンダーズ初参戦。極めの強い門脇との対戦ということでマニアックなファンの注目を集めたが、今成が持ち味を発揮。「足関十段」の異名どおり、あらゆるポジションから積極的に門脇の足関節を狙い、試合を盛り上げる。2R序盤には、斜に構えたり手をブラブラさせたりと、矢野卓見のようなトリッキーな動作も見せる。その後も今成が足を狙い続けるが、門脇もうまく脱出し、今成に決定的なチャンスを与えない。結局試合は判定にもつれこみ、両ラウンドで上四方を取った門脇が勝利をおさめた。たが今成はコンテンダーズのファンにもそのキャラクターを十分アピールできたといえよう。

第3試合 CONTENDERS 5分2R -66kg契約
○塩沢正人(和術慧舟會東京本部)
×桜井達也(マッハ道場)
判定40-34 (1R:20-18, 2R:20-16)

 1Rは互いにポジションが入れ替わっても、なかなか決め手に持ち込めない。2Rは完全に塩沢ペース。塩沢がサイド、マウントと徐々に有利なポジションに移行し、残り30秒にはバックを取りスリーパーを狙う。桜井は指を挟み入れてかろうじて一本負けをまぬがれた。結果はポイント大差で塩沢が勝利。

第2試合 CONTENDERS 5分2R -85kg契約  
○河崎義範(RJW/central)
×松田英久(U-FILE CAMP)
判定38-37 (1R:19-19, 2R:19-18)
※松田恵理也(U-FILE CAMP)が怪我で欠場。代わって松田英久が出場

 キャリアの長い河崎が試合の主導権を握る。1Rはスタンドレスリング中心の展開。2R序盤松田が下から腕十字を狙うが極められず、そのあとは河崎がサイドポジションからヘッドロック気味に押さえ込み、アームバーを狙う。判定は僅差で河崎に軍配。

第1試合 CONTENDERS 5分2R -63kg契約
×加藤のぶゆき(RJW/G'2)
○実原隆浩(チーム品川)
判定32-40 (1R:16-20, 2R:16-20)

 1R実原がテイクダウンすると、加藤が三角絞めを狙う。だが実原は腕を1本挿んで防ぎ、パスガードに成功し横から加藤をがっちりと押さえ込む。2Rも序盤から実原がマウントポジションをキープ。そこからの攻めに欠き加藤にひっくり返されるが、実原は再び上になりインサイドガードに。加藤は今度は脱出できない。終盤実原は腕ひしぎ十字固めで一本を狙ったが、加藤が必死で腕をクラッチ。実原は腕を切ることができたが滑ってしまい極めることができず、そこで試合終了のゴングが鳴った。判定の結果、全体を通して有利なポジションをキープし続けた実原に軍配があがった。

※<出演バンド> AMP、極楽殿 (各試合の間に交互に登場し1曲ずつ演奏した)

Last Update : 03/22

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