[ORG] 柔術・早川、初の総合戦で打撃の洗礼受ける/2.10 TFMホール (レポ&写真)
GCMコミュニケーション "ORG 1st - Costume Competition- " 2002年2月10日(日)東京・TOKYO-FMホール
レポート:石動龍 写真:井原芳徳
※全試合ORGルール(道衣着用の総合格闘技)
第1試合 -72.5kg契約 5分2R ×佐藤伸哉(P's LAB東京) ○熊谷真尚(禅道会) 判定38-40(1R 20-20,2R 18-20)
禅道会の選手にとって道衣着用の総合ルールは慣れた物。上になっても下になっても道衣を使ってうまく佐藤をコントロールした熊谷が判定勝ち。
第2試合 -100kg契約 5分2R ×日下武(烏合会) ○園田隆(A3) 判定38-40(1R 18-20,2R 20-20)
烏合会所属としては珍しいヘビー級選手の日下と、リングス、シュートボクシング等に出場経験のある園田の対戦。1Rは豪快なパンチで園田が押し気味に試合を進める。2Rになると日下が盛り返し、テイクダウンからマウントを奪ってアームロックを仕掛ける。完全に極まったかと思われたが、園田は反転して何とか脱出し、そのまま上をとってパンチを落としたところで試合終了。こまめに打撃を当ててポイントを稼いだ園田が勝利を収めた。
第3試合 WK NETWORK対ストライプル 先鋒戦 -62kg契約 5分2R ×出口直樹(ストライプル) ○塩沢正人(和術慧舟會東京本部) 2R 0'58" チョークスリーパー
先鋒戦は開始から塩澤が攻め込む。スタンドでパンチをヒットさせ、グラウンドでもマウントを奪って関節技を仕掛け、出口に隙を与えない。2Rに入って出口は派手な打撃で反撃を試みるが、バックスピンキックを放ったところで塩澤が飛びついてバックを奪い、そのままチョークで一本勝ち。
第4試合 WK NETWORK対ストライプル 次鋒戦 -60kg契約 5分2R ○晝間貴雅(ストライプル) ×石井俊光(TIGER PLACE) 判定40-36(1R 20-18,2R 20-18)
レスリングで上回る石井が何度もテイクダウンを奪うが、晝間は道衣を有効に使い、下からは襟を掴んでのパンチで石井を苦しめ、隙をついて帯を取ってのスイープ、ヒップスローを成功させるなど石井を圧倒。極めこそできなかったものの、大差の判定で勝利した。
第5試合 WK NETWORK対ストライプル 中堅戦 -76kg契約 5分2R ○中山徹(ストライプル) ×平山貴一(和術慧舟會千葉支部) 判定40-36(1R 20-18,2R 20-18)
寝技での真っ向勝負となり、お互いにスイープ、関節技を積極的に仕掛けていく。白熱した攻防になるが、腕十字を二回極めかけた中山が判定勝ち。
第6試合 WK NETWORK対ストライプル 副将戦 -73kg契約 5分2R ×岩崎英明(ストライプル) ○滝田将也(和術慧舟會東京本部) 判定38-40(1R 19-20,2R 19-20)
中華風の会場セットに合わせてか?滝田は中国土産でよくある大きなお面をかぶって入場し観客を盛り上げる。 打撃では岩崎、テイクダウンでは滝田が優位に進める。試合を通してお互いに決定的な攻撃はできなかったものの、終始上を制した滝田が判定勝ち。
第7試合 -74kg契約 WK NETWORK対ストライプル 大将戦 5分2R ×早川光由(ストライプル) ○芹沢健一(RJW/CENTRAL) 1R終了時 TKO(セコンドのタオル投入) ※対抗戦はWK NETWORKが3勝2敗で勝ち越し
ブラジリアン柔術の強豪・早川が総合ルールに初挑戦。打撃への対応力がどれほどあるかに注目が集まったが、開始早々芹沢のパンチを次々ともらってしまう。寝技に持ち込もうとタックルを仕掛けるが、下を向いてしまった早川の顔を芹沢のヒザがとらえ、早川はダウン。明らかにダメージの見える早川。 しかし再開後に何とかテイクダウンに成功し、果敢にパスガードを狙う。芹沢も足を利かせパスガードを許さない。
打撃対寝技の構図が明確になり、2R以降の熱戦が期待されたが、インターバルで早川の目の異常を察知したセコンドの平直行がタオル投入。冒頭の写真のように「止めないで!」と必死に懇願する早川だったが、ゴングが打ち鳴らされ、試合終了。悔しいTKO負けを喫した早川の目からは涙が溢れ出す。 一方勝利とともに雄叫びをあげた芹沢は、ギリギリの体調で今回の試合に望んでいたことが明らかになった。セコンドに両肩を支えられながら退場する勝者の姿は、先ほどまで試合をしていたのが信じられないほど痛々しいものであった。
特殊な道衣を使用する総合格闘技であるORGには、大きな可能性が感じられる。裸での競技と道衣を着た競技との中間点に位置するため、両方の選手にとってより公平なルールであると思われる。さらに 今回参戦した早川のような柔術家、あるいは禅道会のように道衣着用のバーリトゥードに慣れている選手にとっては、裸でのバーリトゥードに比べて参戦しやすいだろう。道衣を使うことによって、裸でのものとはまた違った攻防も楽しむことができる。次に現れる大物は誰だ!? ORGの今後の大きな飛躍を期待したい。(次回ORGは5月12日、東京・板橋産文ホールで開催決定)
◆ 芹沢コメント 「試合前は休もうかと思いました。パンクラスの三崎戦の後から体がこんな状態で。体がいつ壊れてもおかしくないんで、休まなきゃやってられないですね。もう若い奴と混じってガタガタ練習するような歳じゃないんで、試合前の調整もビギナーとスパーリングやったり体力トレーニングしたり、それくらいで。選手とやるとね、壊れちゃうんです(笑) 今日は相手が打撃できたら打撃で、寝技できたら寝技で対抗してやろうと思ってました。打撃だけで勝って、雑誌なんかに打撃だから勝てたって書かれちゃったら嫌なんでね。 寝技になっても下からのマクリ(スイープ)を狙ってましたよ。でもやっぱり早川選手は道衣使うのうまいですね。ORGの道衣は袖がないんでやり辛かったでしょうね。 とりあえずゆっくり休みたいですね。7キロぐらい減っちゃってるし、リハビリして体重増やして身体作り直してやらないと。病院にも通ってるけど『あんたの身体終わってるよ』なんて言われるから、なるべく行かないようにしてます。まあ死ぬまでやりますよ。プロのレスラーとしてリングで死にます」
◆ 早川のセコンドについた平直行のコメント 「本人が『よく見えない』って言ったんで。もうその時点で。逆に練習すればまたできる...。まあ(僕の)判断ですね。勝手に負けにしてしまいましたけど。ちょうど悔しいぐらいで止めてやんないと伸びないんでね」
◆ 早川コメント 「(感想は?)やろうと思ってたことが何もできなかったですね。(芹沢は)凄く気合いが入っていた選手でしたね。スパーリングいくつもこなしてるんですけど、やっぱり実戦経験が。(パンチを)食らっても、いつ殴り返していいかタイミングはかれなかったり。まあ、経験不足としか言い様がないですね。(止められた時の状態というのは?)たぶん、最初ラッシュもらった時に目ん玉ん中にパンチもらっちゃって、こっち(左目)見えなくなっちゃったんですよ。で、(1R終わって)平さんに『おかしいですね』って言った時に、平さんにこれ(指を目の前に示し、見えているか確認する仕種)やられて。 スパーリングではここまで殴りあわないですから。寝技やりながら、『これはラウンド中に回復するんだろうか?』と考えてました。『このまま立ったら危ないだろうな』という判断はできたんですけど。(2Rも戦いたかった?)そうですね。止められるとは思ってなかったんで。僕的には『こんなの(総合では)よくあることなのかなあ?』と思ってたんですよ。でも止められた後に平さんに『やめなきゃだめだった』と言われたんで、平さんには感謝しています。 (これからの課題は?)今終わったばっかりなんでまだわからないですね。ただ、流れっていうんですかね、一発もらったらどこで攻守を(返せばいいか)、というのが(わからなかったので)経験積まなきゃ駄目ですね。切り返しどころが全然わからないですね。ラッシュ食らっちゃうと。そのことでやっぱ寝技も、リングでやるのとロープがあるのと(で違いますね)。プロ柔術とかで慣れてたんですけどね。足も全然リングに噛んでなかったですから、ツルツルと。そういうところも全然甘かったですね。」(このまま早川は検査に向かった)
Last Update : 02/18
|