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[パンクラス]近藤強し! 郷野を病院送り/12.1横文レポ&写真

"Sammy Presents PANCRASE 2001 PROOF TOUR"
2001年12月1日(土) 横浜文化体育館
観衆:5100人(満員・主催者発表)

● 掲示板ではこの大会の感想を募集! この1年、そして今後のパンクラスについて皆さんの思う所も書いて下さい

第1試合 ミドル級 5分2R
△北岡悟(パンクラス東京)
△長岡弘樹(ロデオ・スタイル)
判定1-0(20-19,20-20,20-20)

パンチの応酬もあったが決定打が出ず、差し合いで膠着が続く退屈な内容に。

第2試合 ミドル級 5分3R
×三崎和雄(パンクラスGRABAKA/7位)
○クリス・ライトル(アメリカ/I・Fアカデミー/3位)
判定0-3(28-30,28-30,28-29)

 今年のネオブラッドトーナメントでパンクラスに初参戦し優勝、10月の後楽園では冨宅飛駈を秒殺KOするなどデビュー以来無敗街道を走る三崎にとって、今回のライトル戦は試練の一番。冨宅戦後に「強い相手と戦って自分の実力を試してみたい」と語っていただけに、ランキング3位のライトルは相手に不足無しといったところだったが...。
 試合のほうは開始から打撃の勢いで前に出るライトルに下になることを強いられることに。再三スイープや腕十字、三角を狙っていったが、バランスのいいライトルはそれを許さない。三崎は結局展開を変える事ができず、3Rを通してパンチを落とされ続け、判定で敗れた。

第3試合 ライトヘビー級 5分2R
○美濃輪育久(パンクラス横浜/3位)
×柴田寛(RJW/CENTRAL)
1R 2'28" TKO(ドクターストップ)

美濃輪の「無謀」ファイトが今日も炸裂。下になって柴田をアームロックにつかまえ、強引に引っ繰り返し、最後は差し合いからヒットさせたヒザで柴田の額をカット。ドクターストップで復帰戦を白星で飾った。

●美濃輪の試合後のコメント
「前回(菊田戦で)負けた場所と会場が同じだったので、初めから全力でやりたいことやってやろうと思いました。今日のテーマは自分の居場所に戻ってくるということだったので。ああいう負け方をしてからモヤモヤがあって、それを振り払うにはリングに立つしかないと思ってました。(試合時間が)10分だけしかないけど戦うことによって生きている証をアピールするというか。(次への目標は?)まず一歩先に進みたい。来年はもっとでかいことをやって自分の夢に近づきたいですね。」

■第4〜6試合 「東京・横浜VSGRABAKA 3対3対抗戦」

第4試合 先鋒戦 ライトヘビー級 5分3R
○菊田早苗(パンクラスGRABAKA/第二代王者)
×渡辺大介(パンクラス横浜)
1R 2'14" 肩固め

開始まもなく歩み寄る菊田の顔面に渡辺が「練習していた。来たときに行けるイメージがあった」という跳びヒザ蹴りを一閃。マットに吸い込まれるように倒れた菊田になおもパンチの連打を浴びせる。大方の予想を裏切る展開に客席から大歓声が巻き起こる。だがKOには至らず、徐々に意識を回復した菊田は短期決戦に。スイープ→マウント→最後は肩固めという必勝パターンで渡辺を片付けた。
敗れはしたものの、渡辺の健闘が光った内容。客席にお辞儀する渡辺に大きなエールが送られていた。

●菊田の試合後のコメント
「(インタビュースペースに移動する最中)ああクソ!。(インタビュー始まり)いや〜、ビックリした〜。最悪ですね。何が起こったのかわからなかった。(自分は)思い切り倒れたの? こっちから打撃に行こうと思ってたのに・・。(選手を)長くやってればね、打撃が入っちゃう事もありますよ。ビックリしたけどまあ寝技に行ってしまえば平気なので。渡辺選手があそこまで根性があるとは正直思わなかったです」

第5試合 副将戦 ライトヘビー級 5分3R
○佐々木有生(パンクラスGRABAKA/9位)
×渋谷修身(パンクラス横浜)
3R 3'42" 腕ひしぎ三角固め

9月のヘビー級トーナメントの時の90.3kgから85.2kgまで減量した渋谷。計量時は「体調は100%整っている」と語っていたが、何度もインサイドガードになるもののそこから先に攻め込むことが出来ない。もちろん佐々木のディフェンス能力の高さも原因としてあるとはいえ、渋谷の勢いの無さのほうが目に付き、客席からも「渋谷、動け!」「判定なんかに持ち込むなよ!」といったヤジが飛ぶ。1R終盤こそ佐々木が腕、渋谷が足を狙うスピーディーな攻防が見られたが、2R、3Rは膠着が繰り返され、レフェリーから両者の消極的なファイトに注意が与えられる。
だが、この注意をきっかけに試合は思わぬ方向へと流れが傾く。再開後もタックルで渋谷が上を取るが、パスを狙い体勢が崩れた一瞬の隙をついて佐々木が三角締めに捕まえる。佐々木の足のロックはさらにきつくなり、最後は腕十字に移行しギブアップを奪った。これで休憩前のこの試合の時点でGRABAKAの勝ち越しが決定した。

●佐々木の試合後のコメント
「もうちょっと力抜いても大丈夫かと思ってたんですけど、さすがに強かったですね。渋谷選手は噂に違わぬ良い選手でした。お客さんのつまらないっていう声が聞こえていたし、セコンドからも攻めろって言われていたんで何とかしようと思っていて、必ず一回はチャンスが来ると信じてました。だんだん相手の集中力が無くなっていくのがわかったんで、もしかすると体調が悪かったのかもしれないですね。
菊田さん中心に強くなるために考えた成果が、GRABAKAの強さの秘訣だと思います。負ければ全てを否定されてしまうような部分もあったので・・。今後はブラジリアントップチームと対戦したいですね。実現すれば自分たちの現在のレベルがわかるし、課題も見えてくると思うので。目指しているのは世界で勝てるチームですから。僕個人としては、パンクラスの内部にも戦いたい相手がまだまだたくさんいます。」

第6試合 大将戦 ライトヘビー級 5分3R
× 郷野聡寛(Team GRABAKA/10位)
○ 近藤有己(パンクラス東京/1位)
3R 0'52" TKO (タオル投入)

試合前の宣言通り、打撃に付き合わずバックドロップ気味の投げを打つなどして何度も寝技に持ち込もうとする 郷野。しかし、近藤は腰の強さを見せ、倒されてもすぐに立ち上がる。UFCのマティシェンコ戦、DEEPでのフィリォ戦で再三試みた脱出法が、ついに完成の域に達したかのような動きの良さだ。
1Rこそ互角の内容だったが、2R以降は近藤が圧倒。スタンドで下がる 郷野に鋭いパンチを当て、グラウンドでもハーフガードの体勢で 郷野を制圧しながら顔面に拳を連打していく。 郷野の顔から出血が見られ、右目はみるみる腫れていき、2R終了時点でドクターチェックが入る。続行されたものの序盤で近藤がマウントポジションを奪い、 郷野をめった打ちに。動きの鈍った 郷野を見てセコンドの菊田がついにタオルを投げた。

対抗戦の結果自体は2勝1敗でGRABAKAの勝ち越しだが、近藤の勝利でパンクラス連合軍ファンの沈滞ムードは一気に吹き飛び、会場は異様な熱気に包まれる。「強い近藤」の復権だ。公開練習で近藤が語った「以前より2倍強くなった」という言葉は伊達ではなかった。

一方 郷野の完敗はGRABAKA陣営に大きな影を落とすことに。 郷野は大会前の某専門誌のインタビューで「(近藤には)組み技だけなら寝起きでも勝てる」と豪語していたが、皮肉にも半分昏睡の状態で病院に運ばれていった。目と脳の検査を受け、その後も治療が続いている模様。 郷野以外のGRABAKA一団にも勝ち越しムードはまるでなし。神妙な面持ちで早々に荷物を片付けセミファイナル後に会場をあとにした。

パンクラス連合軍の“参謀”鈴木みのるは大会を振り返りこう語った。「東京・横浜の枠はもう関係ないですよ。来年は一致団結してGARBAKAに限らず外敵と戦わないといけない。パンクラスはいろんな団体やジムが集まって戦う場所という『ハード』面は整ったと思う。でも『ソフト』としての『心』を伝えていくのは僕の役目ですから」。
鈴木は両タイトルマッチが終わった後の戴冠セレモニーで、パンクラス連合軍の選手たちと共にリングに上がり、円陣を組み後輩たちにこう語ったという。「お前達の力で(このリングを)取り返せ。このリングは俺達の物なんだよ。近藤の勝ちで満足するんじゃないよ」。

鈴木自身も参謀でヌクヌクしているわけではない。12月14日、コンテンダーズ・Zepp Tokyo大会に舞台を移し、メインイベントのダブルスマッチで高瀬大樹と組み、菊田早苗と山崎剛のチームGRABAKA組と対戦する。この大会の名前はまるで連合軍対GRABAKAの対抗戦ムードをあらわすかのような「X-RAGE vol.1 最大の暴動!」。「暴動」級の試合内容となることは必至。「菊田から一本取りますよ」「GRABAKAの連中がよく食えなくて苦しかった経験を語ってるけど、俺の方がずっと苦しいこと潜り抜けてきてるんだから...」。GRABAKAは勝ち越したが、対抗戦はまだまだ終わらない。来年のパンクラスマットでは、鈴木の言う『ハード』を突き抜けるような『ハート(心)』のぶつかり合いが見られそうで、今からワクワクする。(井原芳徳)

●近藤有己の試合後コメント
「今日はスタミナ勝ち。 郷野の消耗が目に見えた。(作戦は)とにかく不利な状態にならないこと。今日はそれができた。(菊田とのライトヘビー級タイトル戦は)面白いと思うけど、とりあえずUFCに再挑戦したい。でも最終判断は会社に任せます。( 郷野の試合前の挑発について)そういう戦いは最後にしてほしいですね。自分たちの戦いは『憎しみ合い』じゃないんで」

セミファイナル ミドル級タイトルマッチ 5分3R
×ネイサン・マーコート(アメリカ/コロラド・スターズ/初代王者)
○國奥麒樹真(パンクラス横浜/1位)
判定0-2(29-30,30-30,29-30)

 過去ネイサンに対して1敗1分けと分の悪い國奥だが、今年は4戦4勝と勢いに乗っている。三度目の正直と念願のベルト奪取を目指す。一方ネイサンも初防衛戦となった前回の対戦では引き分けでの防衛となっていたため、はっきりした勝ちが欲しいところだろう。
 だが試合はそんな両者の勝ちへの意欲がマイナス方向に作用してしまう。1Rは差し合いから外掛けでテイクダウンしたネイサンが、細かいパンチを落としつつも膠着して終了。2Rは國奥が上になり、同様に細かいパンチを落とすのみで膠着。3Rこそやや打撃の応酬が見られたものの、お互いに有効打が出せず、國奥が足関節を仕掛けたところで不完全燃焼のまま試合終了。対抗戦の異様な熱気に包まれていた観客席も、試合が終わるころには水を打ったように静まり返ってしまう。判定が読み上げられるとガッツポーズの國奥と観客の間に温度差ができ、一部からはブーイングも起こった。
 両者大きなダメージは見えず、決定的な差があったとは思えない。2名のジャッジが30-29のポイントを付けたことから、國奥が1つのラウンドで優位に立ったということになるのだが・・。3R終了間際の足関節が評価されたということだろうか?  採点基準やラウンド毎の採点が公表されていないため定かではないが、いずれにせよ、疑問の残る裁定となった感は否めない。
 大会後の戴冠セレモニーで「高橋さんと2人でUFCのベルトを目指します」と宣言した新王者だが、アメリカはエンターテイメントの国。今回のようなファイトでは、向こうのファンに簡単には受け入れてもらえないだろう。現在のパンクラスはライトヘビー級以上の重量級が中心であり、ミドル級は層も薄く、試合数も少ない。来年からリミットが80kgから82kgとなることで、続々増えるであろう対戦相手と魅力ある試合を展開し、魅力ある王者となって、パンクラスミドル戦線に対抗戦並みの熱を与えて欲しいものだ。そうできる実力が國奥にはきっとあるはずなのだから。(石動龍)

●國奥の試合後のコメント
「ベルトが取れて本当に良かったです。特に作戦は無くて、今までやってきたことを出して、最後まであきらめないようにするだけでした。ネイサンは前と比べて守りに入ってるような感じがしましたね。前は反撃する隙を与えてくれなかったですから。今日はセコンドの鈴木さんの声が良く聞こえて、本当に心強かったです。船木さんや鈴木さんが巻いたベルトを僕も巻くことが出来てとても嬉しいです。」

メインイベント 初代ヘビー級王者決定トーナメント決勝 5分3R
○高橋義生(パンクラス東京)
×藤井克久(V-CROSS)
1R 1'12" KO

開始直後から高橋が左右のパンチで藤井を追い詰め、右フックでひるませる。チャンスと見るや高橋はロープの外へ吹っ飛ばすほどの怒涛のラッシュ。ダメージを受けた藤井はタックルで逃れようとするも、高橋はそれを許さずロープに押し込むと強烈なフック。まともにもらった藤井はうずくまったまま動けずレフェリーが試合をストップ。
高橋は初代王者の座に就いたが、戴冠セレモニーでの國奥の意気揚々としたUFC挑戦宣言に反し、「自分が納得できるまでベルトは巻けない。それまで自分がベルトを預かっておく」と控えめなマイクアピール。最後までかたくなにベルトを腰に巻くことはなかった。

●高橋義生の試合後コメント
「コンディション的にも、周りの評価的にも、チャンピオンにふさわしくなるまでベルトは巻けない。9月の大会前から自分を追い詰めたので今はとりあえずゆっくり休みたい。(UFC挑戦について)まだ心に秘めておきたかったんですけど、國奥が言ってしまったんで(苦笑)。出るならヘビー級でランディ・クートゥアと戦いたい。その前に体を作らないと。
今日は対抗戦が負け越したので、自分が勝つことで皆にアピールしたかった。藤井とも格が違うことも示したかった。(10.30後楽園での記者会見で「僕のパンチが当たりやすそうな顔ですね」と語っていたが)思った通りでしたね(笑)」

●パンクラス尾崎社長の大会後のコメント
「いろいろ混乱してて、今後についてはちょっと考えを整理してからじゃないと発表できないですね。いろんなことが起こったんで。
(國奥&高橋のUFC挑戦について)気持ちは受け止めました。(GRABAKAとブラジリアントップチームとの対抗戦は)もう(構想から)外れちゃいましたね。今はピンとこないです。やるとしてもGRABAKAだけでなく東京&横浜も含めたタイトル戦の絡みでしょう。菊田には1月のUFCに出場オファーがあったけど、コンディションも問題だし、体重をミドル(-84kg)に落とせと言われたのでやめると思います。今日は近藤復活という部分で嬉しいですね。近藤はUFCもまだ試合の契約が残ってますから」

レポート:井原芳徳,石動龍  写真:飯島美奈子(2階撮影)




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Last Update : 12/05 01:01

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