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修斗コミッション、7.27北沢・中山 vs. 村濱の裁定について見解発表

修斗コミッションは19日、プロ修斗7月27日・北沢タウンホール大会で行われた中山 巧 vs. 村濱天晴の裁定について見解を発表した。以下に全文をそのまま転載する。

■7月27日 中山 巧 対 村浜天晴の裁定ついての見解 [Oct. 19]
 去る10月1日(月)東京都中央区で会合が開かれた。これは7月27日(金)東京都・北沢タウンホールにて行われたプロ修斗公式戦、中山 巧(パレストラTOKYO)対 村浜天晴(WILD PHOENIX)の裁定に対して不服を唱えた村浜の要請により、当該試合のビデオ映像を見て裁定の正誤を審議する目的で行われたもの。出席者は村浜本人、丸山弘通マネージャー、中山側の若林太郎マネージャー、修斗コミッション(以下、SC)からは当該試合を裁いた鈴木利治レフェリー、当該試合を会場で見ていた格闘技専門誌(格闘技通信、ゴング格闘技、フルコンタクトKARATE)の記者の方々。それ以外、SC交付ライセンスを保持しない方々の出席は、話し合いが円滑に行われない可能性があるので、事前にSCより遠慮していただくよう要請した。しかし、この会合に出席する資格のない(SC交付ライセンスを保持しない)村浜側の人物の、鈴木レフェリーに対する恫喝とも言える言動により、会合は円滑に行われなかった事はSCにとり大いに遺憾であります。
 問題の一戦は、第1ラウンド開始より攻防が激しく展開する熱戦となった。第2ラウンドになっても激しい展開は続き、このラウンドの終盤、村浜が中山の顏面を蹴り上げて眉間を深くカット、ドクターの診断の結果、試合続行不可能となった。この試合を裁いた鈴木レフェリーは、試合役員席に着席していたSC審判員達に助言を求め思案した結果、村浜の蹴りはグラウンド・ポジション(以下、「グラウンド」と省略)にある中山に対するものであったが、故意の反則ではなく試合の展開上やむを得ない偶発的な行為であると判断、負傷判定の裁決を下し、採点の結果中山が勝利となった。
 この裁定に対し村浜側は「中山はスタンド・ポジション(以下、「スタンド」と省略)の状態であり、村浜の蹴りは有効なのだから、村浜のTKO勝ちである」と主張。これに対し、鈴木レフェリーは一貫して「ルールに照らし合わせ、中山はグラウンドであり、村浜の蹴りは無効である」と主張し、互いの意見は物別れとなりました。しかし、この問題を修斗ルール上の重要な課題として、後日、改めてSCから見解を公表する事で村浜本人と丸山マネージャーが納得し会合は閉会となりました。なお、この会合はルール上の「1週間以内に文書によりSCに提訴することが出来る。(プロ修斗SCルール 第4章第12条【提訴】)」という規定から逸脱した正式な提訴で行われたものではない事を言及しておきたい。

 この異議申し立てに対するSCの見解は以下の通り。

 SCでは、次の理由により鈴木レフェリーの「中山選手はグラウンドにあった」という裁定に誤りは無かったと判断しました。
 プロ修斗公式戦で採用されているルールでは、スタンドとは「選手が足の裏以外、身体のいかなる部位も継続的にフロアに触れていない状態(プロ修斗SCルール 第24章第57条【ポジション】)」と規定されており、どの様な状況であれ「瞬間的に」フロアに触れていない状態はスタンドとは認めていない。
 当該試合である中山 対 村浜の試合ビデオ映像を見てみると、問題の場面である村浜が中山の顏面を蹴り上げた瞬間は、中山の足の裏以外が確かにフロアから離れてはいるものの、それはあくまでもその「瞬間」だけであり、その前後の流れを通して見ると、明らかに身体の部位がフロアから離れてる状態は「継続」してはいない。村浜は「中山は立ち上がろうとして宙に浮いているのだから、スタンドである」と主張したが、ルール上「立ち上がろうとしている場合はスタンドである」という規定は一切なく、また、もしこの規定を認めた場合、対戦相手に「立つふりをするフェイントである」と主張されたら、この規定はまったく意味を持たなくなる。更に、ビデオ映像で見ると中山は「立ち上がろうとして」宙に浮いたのではなく、立ち上がろうとしたが村浜が蹴ってきたので、それを避けるために「後ろに倒れ様として」宙に浮いたのである。これらの理由から村浜の主張を認める事は出来ません。
 また、会合での村浜の証言では、中山が立ち上がったと見間違ったのではなく、「中山は立ち上がってくるだろう」という判断から顏面を蹴りに行ったとの事で、この判断はあくまで予測の範疇でしかなく、確実に立ち上がる訳ではないにも関わらず蹴りに行った行為は、故意の反則行為と解釈出来、鈴木レフェリーの「村浜の反則は故意ではなく偶発的」という判断から負傷判定とした裁定や、村浜が中山の顏面を蹴り上げてから試合を停止するまでに若干の間を置いてしまい、見る者に曖昧な印象を与えてしまった処置は誤りであったと思われます。本来、村浜が蹴った時点で即試合を停止し「村浜の反則負け」とするのが正しいルールの適用であり、今回の様に偶発的であっても反則と認めたのであれば、村浜に減点を科してから負傷判定とするべきでありました。

 今回、村浜側の不服申し立ては、プロ修斗SCルールに対する問題提起となり、選手、及び関係各位にとって新たなルール解釈の起点になったと思います。
 プロ修斗ルールでは、グラウンドにある対戦者の頭部、頚部への脚での加撃(蹴り、及び膝蹴り)は反則となっております(プロ修斗SCルール 第27章第60条【ファウル】)。しかし、今回の場合の様に、顏面を蹴った瞬間には対戦者は足の裏以外がフロアに触れていない場合もあるだろうし、逆に蹴った瞬間には対戦者は足の裏以外がフロアに触れている場合もある。試合は常に流れて(展開して)おり、ビデオ映像のスローやコマ送りで見る様に展開している訳ではありません。グラウンドであったのか、スタンドであったのか、試合中その瞬間の判断は非常に付きづらいのが事実であります。特に今回の村浜対中山の様に激しく展開している試合は尚更の事である。そこでSCでは、足の裏以外が瞬間的にフロアに触れる程度はまだスタンド、瞬間的にフロアから離れた程度はまだグラウンドである、とルール上規定する事にした経緯ありました。
 会合では村浜側からVTR使用によるビデオ映像判定の提案も出たが、これはすでにSCでも考えた事がありました。しかし、疑わしい場面がある度に試合を一時停止しビデオ映像を確認するのか、その度に試合を一時停止していたのではプロ興行として観戦に堪えないのではないのか、また、ビデオ映像でも確認出来なかった場合はどうするのか等の問題が浮上しました。今回の様な、グラウンドであったのかスタンドであったのかが勝敗の決定に直結する事例に対してのみ適用するのはどうかという提案もあろうかと思うが、蹴りの効果が採点に影響するという事を考えれば、あらゆる試合が試合結果に直結すると言え、今回の様な事例だけを特別視する事は出来ません。以上からビデオ映像判定を導入するには問題があるという結論に至りました。
 しかし、グラウンドであったのか、スタンドであったのか、その基準(「継続的」という抽象的な表現)が曖昧であり、どこまでが継続でどこまでが瞬間的であるか、「継続的」をどう解釈するかは各個人の感覚に誤差があり判断が難しいのは確かであります。これが修斗ルールの矛盾のひとつである事はSCでも十分に認識しております(他にも矛盾点としてはドント・ムーブ等がある)。SCが今回の件で解決策のひとつとして考えたのは、選手の方々には、グラウンドであるのかスタンドであるのか微妙で判断の付きにくい状態では頭部、頚部を蹴らない、いわば「疑わしきは蹴らず」であって欲しいと言う事です。
 選手、及び関係各位には、是非、当該試合のビデオ映像を見ていただき、ルール解釈に役立てて欲しいと思います。

Last Update : 10/20 00:18

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