[PRIDE.21] 6.23 さいたま (6):杉浦貴 vs ダニエル・グレイシー
DSE "明治生命L.A. presents PRIDE.21" 6月23日(日) さいたまスーパーアリーナ [ → カード一覧に戻る]
第6試合 「あわや秒殺KO? 杉浦の渾身の左フック、グレイシー神話を揺るがす」 ×杉浦貴(日本/プロレスリングNOAH) ○ダニエル・グレイシー(ブラジル/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー) 3R判定 2-1
【1R】 ゴング早々、長いリーチをいかしたダニエルは杉浦のアゴに右フックを打ち込む。さすがにヘンゾの親戚筋だけあって、ボクシングスタイルに類似が有るのだろう。前にでてくる杉浦に、下がりながらパンチを振る。組んでコーナーに押し込んだ杉浦はそのままヒザを二発打ち込むが、金的にあたりブレイク。 再開直後、イキナリのドラマが待っていた。パンチで飛び出した両者が交錯した瞬間、杉浦の左フックがダニエルのアゴに吸い込まれるように決まったのだ。そのまま腰砕けにマットに腰を落とすダニエル。 ここで勝負あったかとも思われたが、覆いかぶさる杉浦に、フラッシュアウトからよみがえったダニエルが反応。パンチを落としまくる杉浦に、蹴りを放ってそのバランスを崩したのだ。あわやTKOシーンだったが、このダウンは幻に終わる。立って逆にコーナーに詰めたダニエル。足をとってコカし、ハーフマウントを奪うと、ガンガンアゴに的確なパンチを浴びせ始める。第四ロープを枕にパンチを貰いまくる杉浦だが、このピンチに目を閉じないでにらみ返す精神力を見せる。ひたすら落とされ続けるパンチにマウスピースが飛んだ杉浦だが、この打たれ強さはさすがにプロレスラーである。
ドントムーブで中央に戻されると、今度はサイドに出てボディにヒザをぶちこむダニエル。パンチを落としながらマウントを奪う。しっかり密着し、抱きついてはブリッジで逆転を狙う杉浦だが、ヒップスローでサイドに逃れた途端バックマウントで首を狙われてしまう。右の鋭いパンチが耳へテンプルへ、容赦なく襲いかかってくる。ロデオ状態に耐えながら、ひたすら首を守る杉浦。しかし、これが初戦とは思えない落ち着きぶりをみせるダニエルは、わきの下からのアッパーで杉浦のアゴを浮かせようとしてくる。それでも亀に徹した杉浦のアゴは浮かず、フェースロック風に締めに入ったダニエルはボディパンチで攻め込む。しかし、あまりの杉浦の粘りにじれて、後頭部にパンチを入れてしまうなど、焦りも見える。 最後の1分と見て、杉浦の右サイドに滑り込んでの腕十字狙いにいったダニエルだが、腕を守った杉浦はそのまま上のポジションを奪うことに成功する。だが、下になっても長いダニエルの足の壁に阻まれ、攻略はままならずゴングを聞いた。
【2R】 ダニエルはいきなり右ハイを放つ。右フックを返す杉浦だが、左のカウンターを浴びてぐらついてしまう。この機に乗じたダニエルはパンチの連打をぶちこみ、再び杉浦のマウスピースは飛んでしまった。必死にヒザを返した杉浦だが、もう足は止まっている。何とか左フックを返して抱きついた杉浦は、ここでバックドロップを繰りだして観客を唖然とさせる。下になったダニエルもさすがにこの奇襲にニヤリと笑ってしまったが、素早くガードポジションに入る。ドントムーブで中央に戻された両者だったが、ダニエルは下からの十字を狙うと、杉浦は左パンチを落として抜け出す。ここでダニエルはカカトの蹴り、あるいはモモへのコントロールなど足の効くところを見せ、腰を浮かしていた杉浦に三角締めを仕掛ける。 なんとか押し込んでの密着で切り返すと、左パンチを落とす杉浦。ダニエルは杉浦を蹴りで突き放し、アリ・イノキ状態へ。だが杉浦はすばやく飛び込んで、顔面にヒザを飛ばし膠着を許さない。ダニエルがインサイドガードに捉え直したところでゴング。
【3R】 すっかり形勢を逆転され攻めるしか活路の無くなった杉浦。ワンツーを振って組み付き、コーナーに詰めてヒザをぶち込むが、膠着でブレイクとなる。 杉浦の飛び込みの左フックに右のカウンター、続いて右ハイを合わせたダニエル。目のいいところを見せる。続いて組んでのヒザを浴びせるが、これをなんとか押し返してコーナーに詰める杉浦。ロープを背に抱きついて、グラウンドへ引き込んだダニエルはすかさず腕を取り、アゴヘの蹴りを狙い、また左手首を取って腰立ちになった杉浦から腕十字を打ち込むなど変幻自在な攻めを見せる。モモを蹴られて立たされた杉浦は、パスガードならず、再び十字を仕掛けられてしまう。鉄槌を落とす杉浦だが、ダニエルはかかとで杉浦のモモをコントロールするために有効な攻めにならない。結局、アリ・イノキ状態でスネを狩られて杉浦がヒザをついたところで試合終了。
プロレスラーとしてというより、アマチュアレスリングの素地をいかしながら抜群の適応力を見せた杉浦が好試合を展開した。だが、同じVTルーキーながら、局面局面での技術の高さでダニエルが、序盤の“幻のKO”の失点を奪い返した形になった。
■ダニエル・グレイシー 「自分の柔術を見せられなかった」
「杉浦はとても強い選手だったが、今日は自分の方が強かった。自分も彼も初めてバーリートゥードだったので、2人とも前に出てKOを狙ったのが良かったが、経験不足 の面もあった。ナーバスになってしまい、自分の柔術を完全な形では見せられなかっ たが、次回はもっと良い試合が出来ると思う。PRIDEに出場できる事を楽しみにしてたので出れて嬉しい。自分の息子にヘンゾという名前をつける位にヘンゾを尊敬しているので、一緒に練習してPRIDEで頑張りたい。(モデルなのに顔に傷がついたらどうする?)今日は顔に傷も残ってないので大丈夫です。もし顔に傷がついたら整形外科で整形したいと思います(笑)。」
■杉浦 「このまま終わりたくはない」
「悔しいッス。それだけですね。作戦としては打撃で圧倒して、組み付けたら組み付こうと。相手が嫌になってタックルに来たところを潰して膝を入れたかったんですけ ど、息も早いうちにあがってしまったし、思い通りにはいかなかったですね。 (パンチでダニエルが倒れたが?)ビックリしましたね(笑)。倒れてたんでヒザでも入れてそのまま決めたかったんですけど。足がもつれてしまってうまく行きませんでしたね。 (相手のパンチは?) 結構もらいましたけどあまり効きませんでしたね。下になってボコボコ殴られてるときも『ああ、大丈夫だな』ってわりと冷静でいられましたし。 会社(所属のNOAH)のこともあるので今後のことはまだわからないですけど、このまま終わりたくはないです。」
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Last Update : 06/24
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