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(レポ&写真) [全日本キック] 5.11 後楽園:元気はドロー。優弥が王者に

全日本キックボクシング連盟 "REARM"
2007年5月11日(金) 東京・後楽園ホール  観衆:1,650人(満員・主催者発表)

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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第8試合 ダブルメインイベント(2) 58.5kg契約 3分5R
△山本元気(DEION GYM/全日本フェザー級1位・前王者)
△セーンチャイ・ジラグリアングライ(タイ/ラジャダムナン元スーパーバンタム級5位・現フェザー級)
判定0-0 (和田50-50/朝武49-49/豊永50-50)


 セーンチャイは99戦目、30歳のベテランながら、ラジャダムナンのトップ選手とコンスタントに戦い、フェザー級のランキング入り間近な選手。この日視察に訪れたラジャダムナンの有力プロモーターのチューチャルーン・ラウィーアラムウェン氏(通称・アンモー氏)の興行でもメインを務めたことのある、タイ側一押しの選手だ。タイ再上陸を熱望する元気の力量を計る上で絶好の相手といえよう。

 公開練習で元気はセーンチャイについて「後半追い上げ型。組み付かれるとキツい」と分析し、「早い段階でダメージを与えないと」と話していた。元気はその言葉どおり、コンビネーションから右アッパー、左ボディを叩き込み、最初から仕掛ける。しっかりブロックしているセーンチャイだが、クリーンヒットをもらうと「来い!」と言わんばかりに手を振る。効いているのを誤摩化している様子だ。

 先手を取ったように見える元気。しかし8か月ぶりの試合のせいか、動きが少し硬く、セコンドからもそのことを指摘する声が飛ぶ。パンチを受けるセーンチャイは見た目通り岩のように頑丈で、いくら攻撃をもらってもペースが崩れない。随所で当ててくる右フックと右ローも強烈で、1Rから元気の膝が崩れる場面が数度見られた。試合後の元気は「始めから息が上がり疲れました。復帰戦だったからかもしれない」「ローも効かされた」「手応えがあったのはボディぐらい。あの顔だから効いてるのかが分からない。始めの俺の攻撃で警戒して来た」と振り返った。

 3Rからの中盤戦に入ると、セーンチャイは左ミドルと首相撲からの膝蹴りを多用するように。元気はパンチのヒット数が減り、何度もマットに倒される。試合前の分析通りの展開ながら、元気は対処できない。3Rあたりのインターバルから、アンモー氏がセーンチャイ陣営の元に行き、アドバイスを飛ばすように。セーンチャイの攻撃にも気合いが入る。

 初来日のセーンチャイは、ムエタイでの戦い方を日本でも最終ラウンドまで貫き、5Rも膝一辺倒かと思われた。しかし元気がパンチラッシュでラストチャンスを狙いに来ると、パンチに付き合い真っ向勝負。両者とも蹴りを使わず、ボクシングのような内容に。セーンチャイはそんな中で肘打ちも使い、元気の左頬と右眉をカット。力には力で、元気の猛攻を食い止めてしまう。

 判定はドロー。和田&豊永ジャッジは50-50、朝武ジャッジは49-49という採点だった。筆者も49-49で、2R元気、5Rセーンチャイという振り分けだった。
 元気は勝てなかったが、アンモー氏は実力を高く評価。元気の前にタイ人にKO勝ちした山本真弘と合わせ「126ポンド(フェザー級)なら誰とやっても大丈夫」と太鼓判を押した。とはいえ一方で「二人とも首相撲に弱い」とも指摘しており、まだまだ課題は多い。
 吉鷹弘氏との練習の成果を出せたという元気。「セーンチャイとやらせてもらえるなら行きます」と、6月17日のタイ遠征での再戦を熱望した。セーンチャイは元気とも戦ったグーピーとも1月15日と2月16日という短い間隔で連戦し連勝している。タイ遠征の最終1枠は元気か真弘か。全日本キックは1週間以内に決める方針だ。

第7試合 ダブルメインイベント(1) 58kg契約 3分5R
○山本真弘(藤原ジム/全日本フェザー級王者)
×モンコントーン・ポンソンクラーム(タイ/フェザー級)
3R 0'56" KO (左ストレート)


 リング中央でドッシリと構えるモンコントーンに対し、サウスポーの真弘は右回りでローを着実に当て続ける。2R、パンチのヒットも少しずつ増やすと、残り1分、右アッパーと左ストレートの連打でダウンを奪う。
 その後、真弘は仕留めにかかりに行くと、モンコントーンの右肘をもらいふらついてしまうが、強引に組み付いてダウン宣告を免れる。一瞬の隙の逃さないのがタイ人の怖さだ。
 しかし仕切り直しの3R、ダメージの残るモンコントーンに対し、真弘はパンチを連打。最後は左ストレートを当て、モンコントーンを前のめりでKOさせた。
 珍しくマイクを持った真弘は「タイに行っても勝ちますんで、応援お願いします」と話し、6月17日のタイ遠征への参加を希望した。

第6試合 セミファイナル 第23代全日本ウェルター級王座決定戦 3分5R(延長1R)
○山本優弥(青春塾/1位)
×湟川満正(AJジム/3位)
判定2-0 (朝武50-49/野口50-50/梅木50-49)

※山本が新王者に

 湟川が上下左右に蹴りとパンチを散らしつつ、右ローを着実に当てるのに対し、優弥は素早い左ミドル、左フック。クリーンヒットの後、優弥は連打につなげようとするが、湟川にうまく防がれてしまい、なかなか大きな流れを作れない。
 湟川の攻撃をもらうと、優弥は笑顔を見せる場面もあったが、優弥の試合中のパフォーマンスを嫌悪する湟川は冷静さをキープ。優弥も派手なパフォーマンスは控えめ。比較的淡々とした攻防のまま最終ラウンドへ。

 冷静さは維持するものの、右ローから次のステップに行けなかった湟川が、左の縦肘で優弥の眉間をカット。優弥は出血するが、ドクターチェックとなるほどでは無い。逆に優弥は左右のフックをまとめ、ポイントを許さない。
 ポイントは僅差ながらもクリーンヒットで勝った優弥が王者に。筆者は50-50という採点だった。優弥はマイクを持つと「このベルトは通過点だと思っていたけど、巻くと凄くうれしい。全日本キックの先輩の魔裟斗さん、佐藤嘉洋さん、小林聡さんみたいな、オーラのある選手になりたい」と話した。ベルトを巻いた優弥。試合前にも本人も話していたように、ここからどう脱皮して行くかに注目だ。

第5試合 第10代全日本ミドル級王座決定トーナメント準決勝 サドンデスマッチ(3分3R+延長1R)
○中村高明(藤原ジム/全日本ミドル級1位)
×吉武龍太郎(アイアンアックス/前全日本スーパーウェルター級5位)
2R 判定3-0 (野口20-19/豊永20-19/和田20-19)

※中村が6/10(日)新宿FACE大会で白川裕規(S.V.G./3位)と決勝戦

 長身の中村が組み付いて、サバ折りの要領で吉武を倒す展開の繰り返し。吉武が接近戦でパンチを何度か当てるが、決定打にはつながらない。だが中村のパターンを読めて来た様子の吉武は、2R終了間際、中村の組み付き際に右フックを合わせるように。すると中村は額から大出血。吉武陣営は肘打ちと主張したが、レフェリーはバッティングと判断し、吉武に減点1。ドクターチェック後再開したが、出血は止まらず、2R終了時点までの内容で判定が行われ、減点分で吉武が無念の敗退となった。

第4試合 ウェルター級 サドンデスマッチ
×金 統光(藤原ジム/2位)
○クリストフ・プルボー(スイス/スクランブル渋谷/6位)
3R 1'42" TKO (ドクターストップ:右肘打ちによる左目尻のカット)


 プルボーは序盤から首相撲から鋭い膝を当て続けペースを握り、2Rには右肘で金の左眉を切り裂く。金はドクターチェックが終わる度にパンチラッシュを仕掛け、逆転のチャンスを作る場面もあった。しかし3Rにプルボーが肘で金の左目尻にさらに深い傷をつくり、試合を終わらせた。
 試合ごとに進化するプルボー。これでウェルター級2位にランクアップは確実に。新王者・優弥は「このベルトは通過点」と話したが、外ばかり見てはいられない。

第3試合 ライト級 サドンデスマッチ
×島野智広(建武館/5位)
○遠藤智史(AJジム/7位)
判定0-2 (豊永29-30/和田30-30/勝本29-30)

第2試合 バンタム級 3分3R
○菊地 慧(藤原ジム)
×柏木吾一(S.V.G.)
判定3-0 (30-26/30-26/30-25)

第1試合 スーパーウェルター級 3分3R
×横澤浩史(S.V.G.)
○武田一也(JMC横浜GYM)
判定0-3 (28-30/28-30/27-29)

◆ オープニングファイト

第3試合 ライト級 3分3R
×田中信二(大村道場)
○HIROAKI(峯心会)
判定0-2 (29-30/29-30/30-30)

第2試合 ライト級 3分3R
○渡部太基(藤原ジム)
×ユウキ(AJジム)
2R 3'00" KO

第1試合 ライト級 3分3R
○白濱卓哉(建武館)
×森 直樹(峯心会)
3R 1'31" KO


Last Update : 05/13 13:47

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