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(レポ&写真) [新日本キック] 4.22 後楽園:石井、J-NET小宮に大苦戦

新日本キックボクシング協会 "TITANS NEOS(タイタンズ・ネオス)"
2007年4月22日(日) 東京・後楽園ホール

  レポート:井原芳徳  写真:米山真一  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第9試合 メインイベント 63.5kg契約 3分5R
○石井宏樹(藤本ジム/新日本キック・日本ライト級王者)
×小宮由紀博(J-NET・フォルティス渋谷/J-NETライト級1位・MAキック LIGHTNING TOURNAMENT '07優勝)
5R 2'17" TKO (ドクターストップ:右肘打ちによる額のカット)


 開始すぐ、石井の右ローをつかんで、小宮が右ストレートを当ていきなりダウンを奪取。石井のダメージは軽かったが、リズムをつかんだ小宮は、右ローを当てた後、上下に散らすパンチのコンビネーションから右ストレートを当て、2度目のダウンを奪う。
 石井万事休す。2度目のダウンはさすがに「効いた」そうだ。しかし28歳にして56戦ものキャリアのある男に「焦りはなかった」という。なんとかラウンド終了まで持ちこたえると、2R〜3Rはセコンドのアドバイスを聞き、慎重にポイントを取りに行く戦い方をすることで、後半に望みをつなぐ戦略に。左ジャブを振りつつ、右ローを着実に当て、小宮の動きをじわじわと封じる。小宮も随所で右ストレートを当てるが、石井はほとんどひるむことはなく、だいぶ動きが読めてきた様子だ。

 「ローが効いてきたのがわかった」という石井に、4Rから陣営は「倒しに行け」との指示。右ストレートのヒットが次第に増える。だが小宮も引かず、右のフック、ストレート、アッパーを的確に返す。
 5R半分を過ぎても石井は均衡を崩すことができない。もう石井はダメだろうというムードが漂いだした残り45秒、石井が奇跡を起こした。石井の肘打ちがヒットし、小宮の額がパックリと割れる。「セコンドには肘一本で行けと言われた。5Rは肘狙いで、どこでどう当てるかという考えだった」という石井陣営の策がぴったりとはまった。残り43秒しかなく、小宮陣営の気持ちになれば何としても続行して欲しい状況だったが、リングドクターはストップを宣告し、石井の大逆転勝ちとなった。

 石井は勝ったものの、国内ライト級最強との呼び声も高い男らしからぬ試合内容。「もっと色々できた試合だった。反省点が多い」と苦戦を認めた。
 敗れた小宮はストップを宣告されると、マットを叩き涙を流し、悔しさを露に。傷を医務室で縫い控室に戻った時には、落ち着きを取り戻し「甘さが出ました。もっと練習して出直します」と話していた。
 小宮が石井を追い詰めたことは、新日本とJ-NETのみならず、他団体のライト級のキックボクサーにも夢と希望を与えるはずだ。再戦について石井は「お客さんが見たいと思う」と前向き。小宮も「すぐにでもお願いしたい」と話した。今回は2人とも準備期間が短かったため、再戦時にはより高度な頭脳戦・技術戦が繰り広げられることだろう。5R肘有りだからこそ生まれたドラマチックな試合だっただけに、次回も同じルールでの対戦を期待したい。

 今後の目標について、石井は今年中にムエタイの王座を取りたいと話す。そのため今年後半はタイ人との試合が中心となりそうだ。K-1が新設を予定している60kg級に関しては「あんまり頭に入っていない。客観的に見ている感じ」という。「もうそんなに現役は長くない」とも話しており、心身ともに充実している今のうちに、伝統ある目黒藤本ジムの一員として、ムエタイの頂点を打ち崩したい考えだ。この苦しみ抜いた57戦目も、きっと打倒ムエタイに向けての糧となるはずだ。
 一方の小宮は「今年は世界を目指す」と話し、K-1については「あんまり意識したことが無いけど、小さい頃から見て来たので、強い選手とやれるなら、喜んで参戦したい」と語った。

第8試合 メインイベント 58kg契約 3分5R
△菊地剛介(伊原道場/新日本キック・日本フェザー級王者)
△ノッパチャイ・ラッタナヲン(タイ)
判定0-1 (石川49-50/江刺家50-50/富沢50-50)


 両者ともカウンター狙いで距離を取り、ほとんど攻めないまま4Rまで試合が続く。サウスポーのノッパチャイの奥足に、菊地がローを当てる場面もあったが、それも各ラウンド数度ずつ。5Rにはさすがに両者とも手数が増えるが、菊地の右ロー、ノッパチャイの膝とミドルが少し増えた程度で試合終了。二人の対戦はまたもドローで、内容も煮え切らないものになってしまった。

第7試合 セミファイナル 肘無し 74kg契約 3分3R
×松本哉朗(藤本ジム/新日本キック・日本ミドル級王者)
○ファブリジオ・ベルガミーニ(イタリア/チームMサンディエゴUSA/イタリア・ミドル級王者)
2R 2'24" KO (3ダウン:左フック)


 ベルガミーニは前回体調が悪く、ファイトマネー無しでもいいからと再戦を熱望し、今回の試合が実現(ギャラは当然払われているとのこと)。松本にとっては旨味の少なく、モチベーションの上げにくい試合だったが、こういう試合にこそ落とし穴がある。
 1R、ベルガミーニは踏み込んでの左右のストレートを数発当てる。当てるのがガードの上でも重みがあり、伸びもある。ローとミドルで応戦していた松本だが、2R序盤、右ミドルを連打したところでカウンターの右ストレートをもらいまさかのダウン。その直後にも右ローをつかまれ右ストレートでダウンする。3月の試合のダメージも残っていたのだろうか。その後はしばらく持ちこたえるが、今度は右ローを連打した後に左フックを当てられ大の字に。まさかの黒星を喫してしまった。

第6試合 セミファイナル 肘無し 68kg契約 3分3R
○正木和也(藤本ジム/新日本キック・日本ウェルター級王者)
×ダニロ・カルドゾ・ザノリニ(ブラジル/ブラジリアン・タイ)
判定3-0 (石川30-27/三浦30-28/富沢30-28)


 ザノリニはカカト落としや回転蹴りも使いつつ、積極的にパンチと蹴りを出す選手。正木は防御しつつもなかなか攻撃を当てられなかったが、2Rに左ジャブからの右フックをうまく当てダウンを奪取。与えたダメージはさほど無く、ザノリニはすぐ五分の攻防に戻したが、3Rには正木は右ローを効かせる。ザノリニも強引に組み付いて膝蹴りを放つ等、最後まで必死で応戦するが、正木が逃げ切り勝利した。

エキシビジョンマッチ 双子ガチンコバトル 2分2R
−江幡睦月(伊原土浦)
−江幡 塁(伊原土浦)
勝敗無し


 K-1で活躍するHIROYAもかつて出場したTITANSの少年エキシに、高校2年生の双子が登場。大人顔負けの鋭い蹴りと、双子でも容赦しない激しい殴り合いで観客を沸かせた。プロデビューが楽しみだ。

第5試合 肘無し ヘビー級 3分3R
○天田ヒロミ(フリー)
×ウイル・リーバ(イタリア/チーム・バンビナチョオ)
判定3-0 (深瀬30-27/三浦30-27/富沢30-27)


 1R、天田が左ボディを中心としたパンチのコンビネーションでリーバを圧倒。だが2R、パンチを控え、奥足狙いのロー中心のスタイルにシフトすると、効かせはするものの、逆にリーバのローももらってしまう。3Rも手数では勝るが、序盤の勢いは無く蹴りもパンチも中途半端になってしまい判定に。パンフで約束したKO勝ちを果たせず、天田は「すみませんでした」とお客さんに謝罪した。

第4試合 肘無し 70kg契約 3分3R
×後藤龍治(伊原道場/IMFスーパーウェルター級王者)
○新田明臣(バンゲリングベイ/UKF世界ミドル級王者)
判定0-2 (江刺家29-29/三浦29-30/富沢28-29)


 1R、後藤が右ストレートを当てつつ、右ハイ、右ローにつなぐコンビネーションで若干優位に試合を運ぶ。だが新田も左ミドルを当て、2Rには膝とローも当て一進一退に。互いになかなか決定打が出なかったが、3Rに新田がパンチを多用すると、打ち合いでやや優位に。ジャッジの評価は分かれたが、新田がアウェーながらも白星をもぎ取った。

第3試合 63kg契約 3分3R
×中尾 満(伊原道場/新日本キック・日本ライト級8位)
○イソラサック・シッセックサン(タイ/元ルンピニー・フェザー級王者)
2R 2'05" KO (右ストレート)


 イソラサックがムエタイの元王者の怖さを印象づけた。サウスポーの構えからいきなり伸びのある前蹴り。その後もトリッキーな蹴りを使いつつ、ガードを下げプレッシャー。中尾は中に入れずハイキックが空を切る。
 2R中盤、仕掛けると速いのがイソラサック。左ミドルを効かせると、左ストレートを連打。何度かコカした後、右ストレート、アッパーに肘も絡める高速のコンビネーションでダウンを奪う。中尾は立ち上がり、右フックで突っかかるが、読み切ったイソラサックはカウンターの右一撃で中尾をマットに沈めた。

第2試合 肘無し ウェルター級 3分3R
○タカオサミツ(伊原道場/新日本キック・日本ウェルター級1位)
×アルテム・シャロシュキン(ロシア/チームMサンディエゴUSA)
判定3-0 (富沢30-28/石川30-29/杉江30-27)


 1R、タカが右のストレートを中心に手数で圧倒。右ローも効かせるが、シャロシュキンの心は折れずパンチを返しタカを苦しめる。3Rには鼻血を出しながらもタカと激しいパンチの打ち合いを繰り広げ、会場を沸かせたが、1Rの失点を取り返せなかった。

第1試合 ヘビー級 3分3R
○國吉(治政館/新日本キック・日本ヘビー級3位)
×松本勇三(勇三道場)
判定2-1 (三浦30-29/石川29-30/富沢30-29)

オープニングファイト ミドル級 3分2R
△渡辺健治(伊原稲城)
△後藤貴志(トーエル)
判定1-0 (20-18/20-20/20-20)

Last Update : 04/23 11:19

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