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(レポ&写真) [真王杯] 11.23 後楽園:60kgは洋平、55kgは米田が制覇

ニュージャパンキックボクシング連盟 "キックボクシング 真王杯 55kg・60kg オープントーナメント(ADVANCE X 〜前進〜)"
2006年11月23日(木/祝) 東京・後楽園ホール

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】



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第11試合 真王杯 60kgトーナメント 決勝 3分5R
○桜井洋平(Bombo Freely/NJKFライト級王者)
×中須賀芳徳(OGUNI-GYM/NJKFフェザー級2位)
1R 0'37" TKO (ドクターストップ:右肘打ちによる額のカット)

※桜井が優勝。優勝賞金200万円、勝利者賞・KO賞含め280万円獲得

 一回戦はTURBΦを56秒、準決勝は大宮司を79秒で下した洋平が、決勝でもやってくれた。今度はわずか37秒。けん制の右ハイが空を切った後、右ミドルと左右のパンチの連打で距離を縮めると、パンチの打ち合いの後コーナーに突き放し、すぐさま右肘一撃。一瞬ぐらついた中須賀は額もパックリと切り裂かれていた。

 決勝までの3試合の合計時間わずか172秒で、賞金総額280万円を獲得。勝ちパターンを会得してしまった洋平の勢いを、いったい誰が止められるのだろう? 60kg前後には真王杯に参加しなかった選手以外にも国内に強豪がまだ多くいる。彼らとの戦いに夢がつながる。
 なお、真王杯の開催を呼びかけたNJKFの藤田真理事長(写真中央)は、今大会限りで勇退。後任の理事長は斎藤京二OGUNI-GYM会長が務める。

◆洋平「多少プレッシャーを感じてたので、ホッとしています。(決勝を振り返って)僕は待つことができないんで、体の動くそのままに行きました。アドレナリンが出るまでに終わっちゃいました。(相手の動きは?)見る前に終わっちゃったんでわからないです。(右肘を出血しているが?)TURBΦちゃんとの試合で切ったのと同じ所が切れました。同じ嫌な感触でしたね。
(次のステップは?)ステップの場があれば、ですね。60kgのK-1が出来てくれれば。(K-1は肘が無いが?)肘無しでも問題ないでしょう。自分は相手を見て動いたらダメだということがわかりました。相手どうこうじゃなく、自分が動けるんなら考えずに動いたらいいって。(本来のライト級での戦いは?)前から言ってるように、大月選手とやってみたいですけど、まだ体ができてないんで、パワーつけないとダメですね。(今のベストは60kg?)そうですね」

第10試合 真王杯 55kgトーナメント 決勝 3分5R
×藤原あらし(S.V.G./全日本バンタム級王者、MACH 55 1st 優勝)
○米田貴志(OGUNI-GYM/NJKFバンタム級1位)
5R 1'26" KO (左飛び膝蹴り)

※米田が優勝。優勝賞金200万円、勝利者賞・KO賞含め270万円獲得

 過去の両者の戦い方から、当然サウスポー同士の攻防になると思いきや、あらしはオーソドックスの構え。各ラウンド数秒サウスポーになる時があっただけ。サウスポー対策の練習しかしてこなかったという米田は混乱することに。

 あらしは時計回りでミドルを中心とした右の蹴りを当て続け主導権。米田はあらしの前足狙いで左ローを当てるが、なかなか流れをつかめない。3Rからのあらしは左ローも多様するように。大きなダメージは与えられないものの、優勢なまま最終ラウンドへ。(ちなみに公式発表されたジャッジペーパーを見ると、MAキックの松田利彦ジャッジは3・4Rをあらし10-9、NJKFの多賀谷敏朗ジャッジと全日本の和田良覚ジャッジは全R10-10と採点していた)

 両者ローの手数が増えるが、差が少ないと見たか?NJKFの高木修二レフェリーは、両者に積極的なファイトを促す。すると米田の左ストレートの連打であらしがぐらつく。米田のラッシュをあらしが右ミドルで凌ごうとすると、米田は蹴り足を捕まえ倒す。あらしは下のほうのロープにもたれた状態になるが、すぐさま米田はあらしの顔面に飛び膝蹴り。

 通常倒れた相手への攻撃は反則だが、レフェリーが止める前の攻撃のため、インプレーでの有効打とみなされる。ダウンが宣告されたあらしは立ち上がるも、規定の9カウント内にファイティングポーズが取れず、KO負けとなった。

 大逆転勝利の米田のファンは大喜びだが、あらしのファンからは怒りの声が飛ぶ。セコンドも抗議するが、結局聞き入れられず、あらしと一緒に退散した。勝利者インタビューでの米田は「実感が無い」と発言。表彰式で呼び戻されたあらしが、こみ上げる涙を必死でこらえていたのが印象的だった。

◆米田「最後以外全部取られたと思うんで、優勝した実感が無いですね。凄く強かった。(相手がオーソドックスに構えていたことは?)だいぶ驚きました。右利きのサウスポーだとは聞いてましたけど。練習は左だけやってました。
(フィニッシュの膝について)僕のパンチでバランスを崩して、って感じですよね?(当たった感触は?)ありました。(あそこで決まるとは?)思わなかったです。判定では負けると思ったんで、3Rからは倒れてもいいから倒そうと思っていました。
(あらしの強さのレベルは?)国崇選手と一緒ぐらいですね。勝ったけど、正直ショックです。(あらしから再戦を希望されたら?)うーん、正直…、即答は…。今回は凄く調子が良くて、これ以上できないっていうぐらい練習してたんで…。
(今後の目標は?)強い奴は一杯いるんで、まだまだですね。もっと経験積んで、絶対的な王者になりたいです」

 



 

第9試合 国際戦 61.23kg契約 3分5R
○ヨーユット(タイ/元ルンピニー・フェザー級4位)
×砂田将祈(誠至会/元J-NETライト級王者)
3R 2'28" KO (3ダウン:左膝蹴り)


 ヨーユットが多彩なフェイントを駆使し、砂田の攻撃をかわし続ける。3Rから一気に攻勢に移り、右肘一発でグラつかせると、膝蹴りでダウンを奪取。その後もレバーをピンポイントで狙う芸術的な左の膝でダウンを重ね完勝した。

第8試合 交流戦 ウェルター級 3分5R
×加藤 健(OGUNI-GYM/3位)
○北山高与志(S-FACTORY/J-NET 5位)
3R 1'29" TKO (ドクターストップ:額のカット)


 1R、北山が膝蹴りで加藤の額をカット。2Rの最後、背中を向けてしまった時に後頭部に右フックをもらいダウンを喫してしまうが、3Rの肘等の攻撃で加藤の傷口を開きTKO勝ち。東京では無名の関西人・北山が、聖地で存在感を示した。

第7試合 バンタム級 3分5R
×美保裕介(PITジム/4位)
○前田浩喜(インスパイヤード・モーション/5位)
4R 0'57" TKO (タオル投入:左ローキックで2ダウン後)


 1R終盤、美保の肘打ちでややスリップ気味にダウンした前田だったが、美保の豪快なフックを防御し続け、着実に左ローをヒット。左ミドルも駆使しつつ、じわじわと足にダメージを与え、3Rには左ローで2ダウンを奪う。美保は根性で立ち上がり続け観客を驚かせるが、4Rに2度目のダウンをしたところでタオルが投入された。

第6試合 ライト級 3分5R
×押炉花者(町田金子/3位)
○大和哲也(大和ジム/7位)
3R 0'20" TKO (タオル投入:右ローキックでダウン後)


 一昨年の新人王・押炉花者(おろかもの)と、昨年の新人王・大和の戦いは、5回戦昇進後も勢いを維持している大和に軍配。左ボディと右ローを巧みに打ち分け、2Rに右ローでダウンを奪う。その後も右ローで押炉花者を痛めつけ完勝した。12月に19歳になる大和。素質と華やかさは現チャンプ・桜井洋平に近いものを感じさせる。将来の対決が楽しみだ。

第5試合 フェザー級 3分5R
×国分省吾(OGUNI-GYM/5位)
○赤十字竜(キングジム/9位)
2R 2'54" KO (3ダウン:バックハンドブロー)


 若手の有望株が前座の青コーナーに並んだ今回のNJKF後楽園大会。中でも勝ち方のインパクトが強烈だったのは、キングジム・向山鉄也会長の息子のサラブレッド・赤十字竜(あかじゅうじ・りょう)だ。
 1R、ベテランの国分が左ミドル、赤十字が右ローを当てるが、一発一発の鋭さでは赤十字が上。2Rに早くも効き始めるが、そのままローで倒しに行かないのが赤十字の非凡なところ。いきなり上段回し蹴りを当てると、バックハンドブローでダウンを奪取。さらにバックハンド主体で立て続けにダウンを奪い完勝。初のKO勝ちで、デビュー以来の連勝記録を5に伸ばした。大和同様、来年はタイトル戦線に絡みそうな気配だ。

第4試合 ウェルター級 3分5R
×森田泰男(PITジム/8位)
○健太(ESG/10位)
2R 2'35" KO (3ダウン:右ローキック)

第3試合 61kg契約 3分5R
○名和儒孝(キングジム/ライト級9位)
×レッガラー・鉄(タイ/東京北星ジム/フェザー級10位)
判定2-0 (多賀谷49-48/松田50-48/山根49-49)

第2試合 61kg契約 3分3R
△牛若丸(拳友会/ライト級)
△上山浩一(PITジム/フェザー級)
判定0-1 (センチャイ29-29/山根29-30/和田30-30)

第1試合 フライ級 3分3R
×大槻直樹(OGUNIジム)
○久保賢司(立川KBA)
2R 2'58" TKO (ドクターストップ:肘打ちによる顔面のカット)

Last Update : 11/25 13:25

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