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(レポ) [真王杯] 9.24 後楽園:決勝は洋平×中須賀、あらし×米田に

ニュージャパンキックボクシング連盟 "キックボクシング 真王杯 55kg・60kg オープントーナメント(ADVANCE VIII 〜前進〜)"
2006年9月24日(日) 東京・後楽園ホール

  レポート:井原芳徳(洋平戦)、本庄功志(他の試合) 写真:ひっとまん大場。  【→カード紹介記事】 【→掲示板】


第10試合 真王杯 60kg級 準決勝 3分5R
○桜井洋平(Bombo Freely/NJKFライト級王者)
×大宮司進(シルバーウルフ/ISKA世界スーパーフェザー級王者)
1R 0'56" KO (右ストレート)


 今の洋平と戦う選手は気の毒だ。約61kgのライト級の選手が60kg契約で優位なのは普通だが、洋平は今や、ウェルター級並みの破壊力を持ったモンスターになっている。TURBΦに続き大宮司までも犠牲者に。これでも本人いわく「60〜70%」。決勝ではいったいどこまで強くなっているのだろう?

 ファーストコンタクトは大宮司の左ミドルだった。大宮司にすれば距離や圧力を計るための様子見程度だったのかもしれないが、洋平は容赦しない。大宮司がバランスを崩すや、すぐさまコーナーまで詰めると、12cm背の低い大宮司を首相撲で捕獲し、膝を腹部に突き刺す。いったん離れると今度は洋平が左ミドル。すると大宮司はこの一発で簡単にスリップしてしまう。再開するとまたも膝蹴り。そしてまた離れると、パンチと右ミドルで前に出てからの右ストレート。大宮司は早くもダウン。場内は両陣営の大声援に包まれ、ダウンカウントがかすかにしか聞こえない。大宮司は立ち上がりかけたが、真王杯の規定では、8カウントまでで立ち上がらず、9まででファイティングポーズを取らないとKO負けとなるため、和田良覚レフェリーは試合をストップした。

 技巧派タイプとは言えない洋平だが、力の強さと攻撃の命中精度の高さ、そしてここぞという場面で一気に仕留められる集中力の高さは天才的だ。他の階級でもこれだけのセンスを持っている日本人選手はほとんどいないと思う。一回戦のTURBΦ戦の秒殺勝利はフロックではなかった。あの試合のおかげで、洋平は「勝ちパターンのイメージが残った状態で試合ができました」という。洋平を勢いづけさせた選手の名前がTURBΦというのも皮肉な話だ。同じ茨城県人で普段は仲のいい洋平とTURBΦ。試合後の記念撮影では肩を並べ勝利の喜びを分かち合った。

 11/23(木/祝)後楽園大会での決勝の相手・中須賀は戦績14戦12勝(3KO)2敗。久保優太と並びフェザー級の次代を担うホープだ。とはいえ洋平とは同じ1977年生まれで、身長も同じ180cm。トーナメントまで業界内では無名に近かったが、NJKFを熱心に見て来た人からすればこの決勝進出は想定内だろう。
 決勝はNJKF対決。「NJKFの60kgは強いと思ってもらえれば。僕もキック10年目ですから、ここらへんで集大成を見せたいです」と洋平は語る。きっと真王杯獲得は集大成じゃないはず。真王杯に出なかった王者達との対決が、早くも待ち遠しい。

◆洋平「トーナメントなんで、短い時間で勝ちたかったので、そうなって良かったです。早く終わればすぐ練習できますしね。(作戦は)ローに気をつければ、あとはパンチとかの距離感の違いでスカせると思ってました。組んでからは僕の方が強いんで。
(前回の秒殺勝利の影響は?)あの時の勝ちパターンのイメージが残った状態で試合ができました。(現在は過去最強?)前の方が勢いがありましたね。今回たまたま早く終わったというだけ。今は60〜70%だと思います。
(決勝の中須賀戦は?)1RでKOします。向こうは以前はKOが少なかったけど、トーナメントはKO・KOで来てて、KOのパターンがわかってきてると思うんですよ。僕もKO・KOなんで噛み合うと思います。KOの無い選手とやるとダラダラすることが多いんで。(NJKF対決となったことについて)NJKFの60kgは強いと思ってもらえれば。僕もキック10年目ですから、ここらへんで集大成を見せたいです。今日はダメージ無いんで、まずは飲んで(笑)、その後は練習漬けの日々もいいんじゃないですかね」
 

第9試合 真王杯 55kg級 準決勝 3分5R
○藤原あらし(S.V.G./全日本バンタム級王者、MACH 55 1st 優勝)
×国崇(拳之会/NJKFバンタム級王者)
判定3-0 (松田48-47/多賀谷48-47/高木48-47)

※2R右ストレートであらしに1ダウン

 あらしが「国崇は過去最強の敵だった。正直もうやりたくない」と言ってから一年が過ぎた。真王杯というリングで奇しくも再戦が実現した両者には、同じ藤原姓同士引き付け合う何かがあるのか。今回の判定は僅差だった。しかしその差以上に、あらしが国崇を完膚なきまで叩きのめしたという印象を与えられた試合だった。

 2Rいきなり国崇が右ストレートでダウンを先取。主導権を握ると思われたが、あらしは追撃を許さない。全ラウンド通じ左のミドルで国崇の右腕、脇腹を痛めつける。4Rには使用不能になりかけている国崇の右手を狙ってか、あらしが左ストレートを再三ヒットさせ完全にペースを握る。最終ラウンドは国崇がバックヒジを放つなど意地を見せるも、あらしからの容赦ない左ミドルを受け為す術なし。試合が終了すると国崇の右腕、脇腹は見るからに痛そうな色に変化。因縁の再戦はあらしに“壊された”国崇の姿が最も強く目に焼きついた。

◆あらし「今日は自分に合格点をあげられますね。(左ミドルで相手の右腕を壊しにいった?)そうですね。突破口を作っていきたかったので。ダウンをしましたが、相手を尊敬しているからこそがんばろうと思いました。(決勝は米田選手だが?)デカいし気持ちが強い選手だと思います」

◆国崇「強かったです。判定は納得しています。(あらし選手は)去年とは変わっていました」
 

第8試合 真王杯 55kg級 準決勝 3分5R
○米田貴志(OGUNI-GYM/NJKFバンタム級1位)
×寺戸伸近(BOOCH BEAT/全日本バンタム級1位)
判定3-0 (和田50-47/山中50-47/センチャイ50-47)


 序盤のラウンドは米田がサウスポーからのストレートをコツコツ当てつつ、時折強烈な左ミドル。静かながらもピリピリした緊張感が続く。4Rには米田が左のローを効かせ完全に主導権。寺戸は距離を詰めてのワンツーや相手の蹴り足を掴んでからパンチを放っていくが、決定打はない。
 5Rは左右のフックで寺戸が一気に勝負をしかけてくるも、米田は冷静にローを返していく。残り10秒になると米田がアッパー、フック、ローの連打で寺戸を下がらせると、試合は終了。
 終始試合をコントロールしていた米田に軍杯が上がり、決勝戦は藤原あらしとの一戦に決まった。

◆米田「勝ててよかったですけど不完全燃焼ですね。やっててつまらない試合だと思いました。お互い探り合ってしまったからだと思います。1Rは慎重になりすぎましたね。
(決勝はあらし選手だが?)楽しみです。やるんだったらあらし選手がよかったので。相手が上手いのは当たり前だと思っているので、最初から最後まで自分のペースでいきたいです。次回はもっとアグレッシブにKOを狙いにいきます」

第7試合 真王杯 60kg級 準決勝 3分5R
○中須賀芳徳(OGUNI-GYM/NJKFフェザー級2位)
×ラスカル・タカ(月心会/全日本フェザー級4位)
5R 1'24" KO (左膝蹴り)

 
 ラスカルがワンツーで飛び込むと、中須賀が回転の速いワンツースリーのパンチとローを絡めて返す。ラスカルはどんどん前へプレッシャーをかけ、相手の懐に入りパンチを振っていくも、中須賀の的確なワンツーが幾度と無くヒットし動きが鈍くなってくる。4Rに中須賀が首相撲からのヒザ連打でスタンディングダウンを奪う。もうここからは中須賀の独壇場で、ヒザとヒジのコンビネーションで相手を3度ダウンさせると、最後は左のテンカオをボディにヒットさせ試合を終わらせた。

◆中須賀「相手は固かった。打たれ強かったです。真王杯を盛り上げたいのでアグレッシブに行きました。(決勝戦は)自分は挑戦者なので、持っているもの以上のものをやるからには出します」

◆ラスカル「完敗です。自分が勝ってることがなかったです。パンチも当たらない、ローもカットされて思ったことがやらせてもらえなかったです。とても上手い選手でした。(相手の打撃が)効いていなかったという言い訳は無しで、KOで負けです。中須賀選手はお互い下馬評を覆して勝ちあがってきたので、決勝は勝ってほしいです」
 



第6試合 61.5kg契約 3分5R
○ヨーユット(タイ/元ルンピニー・フェザー級4位)
×ガンバ黒田(OGUNI/NJKFライト級7位)
5R 1'57" TKO (ドクターストップ:肘による額のカット)


 ムエタイ特有の踊りを披露し、たっぷりと時間をかけるヨーユット。ゴングが鳴ると前蹴り、右ミドルと一発一発強烈な蹴りを放っていく。両者手数少なく膠着気味に試合は続くも、ヨーユットは常に落ち着いていて、組んでは黒田のボディにヒザを何度も当てる。離れては前蹴りで距離を取るヨーユットに黒田は懐に入れずパンチを当てることができない。
 最終ラウンドもヨーユットが組んでのヒザを多用し、右ヒジの連打を加えると黒田の額がカットされそのまま試合は止められた。


第5試合 バンタム級 3分5R
○前田浩喜(インスパイヤード・モーション/7位)
×TSUYOSHI(健心塾/8位)
1R 2'23" KO (左ハイキック)


 序盤は互角の展開だったが、前田の左ハイ一発でTSUYOSHIが前のめりにダウンし試合は終了。TSUYOSHIは人目をはばからず悔し泣きをした。

第4試合 ライト級 3分5R
×ミシマ(格闘道場G-1/8位)
○大和哲也(大和ジム/9位)
2R 2'17" KO (3ダウン:右フック)


 宇宙戦艦ヤマトの曲で現れた大和に対し、ミシマは馬の被り物をし入場。5回戦は不思議なムードで幕を開ける。
 試合は1R、ミシマが飛び込んできたところに大和の左フックがジャストミート。早くもダウンを奪った大和が試合の主導権を握る。2Rにも左フックで相手をぐらつかせると、強烈なワンツーでダウンを取る。立ち上がったミシマだったが、またも左フック、右ストレートとダウンし最後は駄目押しの右フックで沈没した。

 
第3試合 ウェルター級 3分3R
○古川照明(インスパイヤード・モーション)
×菊池宜顕(E.S.G)
2R 1'36" TKO (ドクターストップ)

第2試合 ライト級 3分3R
×峰川卓也(上洲松井ジム)
○きの助(大和ジム)
判定0-3 (高木29-30/シーナ28-30/多賀谷28-30)

第1試合 62kg契約 3分3R
○とし(OGUNIジム/ライト級)
×獅センチャイジム(センチャイ・ムエタイジム/ウェルター級)
判定3-0 (シーナ29-28/高木29-28/山根29-28)

Last Update : 09/26 18:57

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