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(レポ&写真) [SB] 9.23 後楽園:緒形&菊地、S-CUP生き残り戦で勝利

シュートボクシング協会 "NEO OPΘPOZ(ネオ・オルトロス)Series 5th"
2006年9月23日(土/祝) 東京・後楽園ホール

  レポート:本庄功志  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
 
 

第8試合 メインイベント(2) エキスパートクラスルール(肘有り) 71kg契約 3分5R
○緒形健一(シーザージム/SB日本Sウェルター級王者)
×大野 崇(unit-K/ISKA世界ミドル級王者)
判定3-0 (茂木50-49/北尻50-48/和田50-48)


 「やってて久々に楽しめました。ボクシングハイになりましたね」。試合後緒形は楽しそうに語った。大野も「緒形選手に乗せられましたね」と振り返る。相手に付き合った結果、試合は会場が白熱する名勝負になった。

 1Rは静かな展開だったが、2Rに緒形が相手にコーナーを背負わせると、足を止めてパンチを連打する。大野はダッキングでかわしながら何発かパンチをもらうも、脱出し飛びヒザなどで応戦する。その後は大野がジャブとテンカオを有効に当て、相手をなかなか懐に入れさせず、上手い攻撃を展開する。
 3R終盤に大野のヒザが相手の顔面を捕らえると、緒形はニヤリと笑い「ほら、もっと打って来いよ」と言うかのようにノーガードで挑発。大野も応える形でノーガードになり、互いのパンチを交錯させる。ラウンドが終了すると両者ガッチリとハイタッチし、すでに名勝負の予感を漂わせる。

 最終ラウンドに入り、緒形の右ストレートがヒットすると大野の腰が一瞬落ちる。一気にラッシュを仕掛ける緒形は、凌がれてしまうも大野の目尻をカットさせる。顔面が鮮血に染まる大野は「ドクターストップされると思いましたが、チェックの時レフェリーに『ほら、あと40秒ぐらいじゃん。やろうよ』と言いました」という。試合が再開されるも、パンチのダメージで両目がほぼ塞がれている大野は「5Rは目が見えなかったんで、離れたらやられると思い打ち合いにいくしかなかった」といい、不利は否めない。大野は必死に目の血をグローブで拭い打ち合い、緒形の左右のフックをもらいぐらついたが試合は終了。ゴングと同時に会場からは大きな拍手が起こり、両選手の気持ちのぶつかり合いを大きく称えた。

◆緒形「今日は気持ちのぶつかり合いを見せられたと思います。でもトーナメントに勝ち上がる技術的なことは見せられなかったので、明日から気持ちを切り替えて前に進んでいきたいなと思います。相手の気持ちがすごい伝わってきて、試合は久々に楽しめました。だいぶ前なんですけど、伊藤(隆)さんと戦った時以来だと思います。幸せですね。
(相手は)予想以上にフェイントがうまく、伸びてくる距離が遠くてもらってしまいました。倒れたら後ろは針の地獄だと思ったので、気持ちで前に出ました。思ったよりも右のリードが上手かったので、もらうことが多かったですね。前回プロとして良いものが見せられなかったので、今回は言ったことの責任を取りたかったです。今日は喧嘩ですよね。対抗戦でカッコつけてもしょうがないんで。今日は今日なりにいいものが見せられたと思います。
(同門の土井が負けてしまったが?)控え室出るときに『S-CUPでやろうぜ』と声かけたのですが、14年ぐらい一緒にやっているんで悔しいですね。今日の内容では厳しいですが、S-CUPでは出していない自分、引き出しを出せると思っていますし、それが出せれば優勝できると思います」

◆大野「(緒形が『何年かぶりに楽しい試合ができた』と言っていたが?)僕は楽しくなかったですね(笑)。バテバテです。まあ緒形選手はやっぱ強いですね。根性ありますよね。最初に自分が決めたことを最後までやり抜くという意思の強さというか。
(判定については?)きっちりいけば2、3、4R僕のジャブを取ってくれると思ったんですが、それはボクシング的にいけばなんで。今日はSBの判定なんでね。ただ50-49はいかがなものかと。ちゃんとキッチリ49-48という風に分けてもらえばと思ったんですけどね。日本人特有の曖昧さが出てるなという感じです。まあ敵地なんで倒さなきゃ勝てないですよね。
(怪我は)左目は4〜5針縫いましたね。(試合前『冷静に戦う』と言っていたが?)ちょっと興奮する部分はありましたが、トレーナーの言っていることはできたと思います。でもまだまだ精神的に弱いんで。僕の一番足りないことはメンタリティですね。緒形選手とかサワー選手のようなトップ選手にはありますよね。S-CUPは出たいは出たいです。この内容で出れるのか?って感じですけど」

第7試合 メインイベント(1) エキスパートクラスルール(肘有り) スーパーウェルター級(70kg) 3分5R
×土井広之(シーザージム/前SB世界ウェルター級王者)
○菊地浩一(寝屋川ジム/SB日本ウェルター級2位)
判定0-3 (大村47-48/和田46-48/北尻46-48)

※2R右フックで菊地に1ダウン

 序盤から菊地がパンチで主導権を握る。距離を縮め、左フックを再三ヒットさせるも土井は落ち着いている。菊地は終盤パンチのラッシュをしかけるも土井のガードは固い。1Rはポイントを取られた土井だったが、このまま黙っちゃいない。
 2Rいきなりカウンターの右フックをクリーンヒットさせダウンを奪う。立ち上がった相手にまたも右フックをヒットさせぐらつくせるも、菊地はパンチを返し前に出続ける。菊地は相手のお株を奪うような左のローが有効で、徐々に試合を支配し始める。
 3Rからは菊地が土井をコーナーに張り付けにし完全に試合を支配する。左フックを筆頭にパンチの連打で土井の動きを止め、休まず打ち続ける。土井はガード一辺倒ながらもローを返すが、キラーローというほどの威力は感じられない。4Rも同様の展開で菊地が圧倒すると、試合の激しさによる歓声でレフェリーがゴングを聞き取れないほど。 

 最終ラウンドに入っても土井は終始押されっぱなし。菊地の左ローのダメージが大きいのか、足が流され得意のキラーローも完全に鳴りを潜めている。ガードは固いものの打たれて防戦一方。「スタミナはしごかれて付けすぎた」という菊地は、休まず打ち続ける。3R以降から菊地が試合を圧倒し、S-CUP出場に向け大きくアピールすると同時に世代交代も果たす形となった。
 
◆菊池「ダウンをもらって判定で負けるかなと思っていたので、必死でやりました。土井選手は打たれ強いし、倒れないし、ダウンのパンチが的確に入ってきて、これが土井選手の凄さなんだなと思いました。一瞬気持ちが折れそうになったのですが、向こうも疲れているのがわかったんで持ちこたえました。勝てるのはスタミナしかないと思ったので、最初から飛ばしていこうと。土井選手に勝ったのが信じられないですね。1名しか出られないのでS-CUPはわからないですけど、この試合で負けたら引退を覚悟していたので、勝ててよかったです」

※土井はノーコメント 

第6試合 森谷引退試合 エキスパートクラス特別ルール(肘無し) 59kg契約 3分3R
○森谷吉博(シーザージム/SB日本スーパーバンタム級王者)
×マイク・ボードウィン(アメリカ)
判定3-0 (和田30-26/平30-27/北尻30-28)

※3R前方への投げで森谷にシュートポイント1

 試合前の花束贈呈では俳優の今井雅之、小野ヤスシが登場し森谷の引退試合に花を添える。「今までの試合は雑念があった。今回はそういうことは考えず、負けてもいいので思いっきりいく」と森谷。

 試合は森谷が右のローを多用し、相手のサウスポーの構えで軸足になる足を痛めつける。「序盤は右のローしか見えなかった」と森谷は徹底してローを放つも、ボードウィンの足は止まらずかまわず前へパンチを振っていく。
 目立った動きのないまま迎えた第3R。前に出てくるボードウィンに森谷はフットワークで軽くさばき、決定打はもらわず。ラウンド中盤に森谷は首投げを決め、現役最後のシュートポイントを獲得すると、終盤にはボードウィンをコーナーに詰め一気にラッシュ。ボディを効かせ左フックとダウン寸前まで追い込み文句なしの判定で勝利した。

 試合終了後、佐藤ルミナ、桜井“マッハ”速人ら選手仲間のほか、ケミストリーの川畑要など格闘家以外の著名人も花束を渡す。森谷の広い交友関係が見られた瞬間だ。「あれはサプライズ」と母親が登場するも、森谷に涙はなく、逆に笑顔が見られる。しかし続いてシーザー武志会長がリングに上がると、張り詰めた糸が切れたかのように森谷の目から涙が零れた。

 “戦う広報”としての選手生活は終了したが、森谷は言う。「青春をかけたシュートボクシングを世界に羽ばかせていきたい」。森谷の第2章が今日スタートした。

◆森谷「いやー、終わったなと。ホッとした部分もありますが、最後までパッとしない試合をしてしまったなと。終わったら何食べようとか、疲れたらサウナ行かなきゃいけないんだろうなとか、ファールカップつけるとか全部が最後なんだなと思いました。
 ただ勝って終われたのでスッキリしています。これからも二足のわらじでやるということはないですね。引退して寂しさはあるけど、今はそんなに実感はないですね。終わって時間経ってきたら、引退したんだという実感が沸いてくると聞きました。今はどこのラーメンを最初に食べようかなと(笑)。でも今日は試合が終わったばかりで吸収率がいいんで止めます。
(アンディ・サワーがセコンドについていたが?)サワーに『セコンドついていいか』と言われたので断る理由もないかなと。すごい的確に相手の癖を盗んでくれてアドバイスをくれました。試合はインローを効かせようと思ったんですけど、それしか見えなくなってしまいました。現状はこんなもんですね。フラストレーションは溜まりましたが、完全燃焼で悔いはないです。
(今後の目標は?)S-CUPの成功とSBの人口を増やし、一生かけて世界に発展させていきたいです」

第5試合 エキスパートクラス特別ルール(肘有り) スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
○石川剛司(シーザージム/SB日本フェザー級1位)
×サッグサーコン・ルークマトゥリー(タイ/SKVアラビアジム) 
2R 0'44" KO (前方への投げ)


 1Rは動と静という展開。両者様子を見て距離を置いているも、いきなりお互いが距離を詰めパンチを交錯させる。しかしすぐ離るとまた一定の距離を保つ。2Rに入り両者のパンチが交わり石川が組み付くと、相手を前方に投げる。その時にサッグサーコンは後頭部を強打したらしく、動くことができない。そのまま10カウントでは立ち上がれず。石川がシュートボクシングの持ち味を発揮し快勝した。

第4試合 エキスパートクラス特別ルール(肘無し) スーパーウェルター級(70kg) 3分3R
○山口太雅(寝屋川ジム)
×ケンシロウ(モンゴル/新東金ジム)
判定3-0 (大村30-29/平30-29/茂木30-28)


 ケンシロウは序盤からいきなりパンチのラッシュで山口をコーナーに追い込む。左右のフック、ボディと連打するも山口のガードは固く、打ち終わりにパンチを返すなど冷静だ。山口は相手の右ローにストレートを合わせ、飛びヒザも絡めるなど試合の主導権を握り始める。2R中盤には首相撲からのヒザでケンシロウの動きを止めると、終盤にパンチの連打を放ちケンシロウは防戦一方。3Rに山口は左右のフックをもらい、効いた様子を見せるも、自身も左フックを筆頭にパンチをヒットさせる。終盤にはパンチのラッシュでダウン寸前に追い込み、危なげながらも勝利した。

第3試合 スターティングクラスルール スーパーバンタム級(55kg) 2分3R
○中森保孝(シーザージム)
×鈴木友則(湘南ジム)                   
判定3-0 (30-26/30-28/30-27)

第2試合 スターティングクラスルール ヘビー級 2分3R
×井上俊介(フリー)
○岩下雅大(龍生塾)      
判定0-3 (29-30/29-30/29-30)

第1試合 スターティングクラスルール 66kg契約 2分3R
×野畑圭介(風吹ジム)
○中島弘貴(シュートボクセ・アカデミー・ジャパン)
2R 1'20" KO

Last Update : 09/25 10:24

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