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(レポ&写真) [HERO'S] 5.3 代々木第一:KID、歴史に刻む4秒KO勝ち

HERO'S "Sammy Presents HERO'S 2006"
2006年5月3日(水/祝) 東京・国立代々木競技場第一体育館

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


[スーパーファイト]

第9試合 70kg契約 5分2R(延長1R)
×宮田和幸(フリー)
○山本“KID”徳郁(KILLER BEE)
1R 0'04" KO (飛び膝蹴り)


 桜庭和志の突然の来場、宇野と秋山の鮮烈勝利の余韻が冷めやらぬ中、HERO'Sの主役・KIDが途方もない快挙を成し遂げた。
 ゴングが鳴ると同時に赤コーナー目掛けて走ったKIDはそのままジャンプ。右膝蹴りかと思いきや、空中で左膝蹴りにシフトし、とっさにタックルで反応した宮田のアゴに膝をクリーンヒットさせる。棒切れのようにノックアウトした宮田の顔面にダメ押しのパンチ一発を叩き込んだところでレフェリーが試合をストップ。その間わずか4秒。超満員の代々木第一が割れんばかりの歓声に包まれた。
 マイクを持ったKIDは「こういう試合もいいと思うんで。ヤバイ、カッコ良すぎる、俺」と茶目っ気たっぷりにコメント。飛び膝は以前から練習していた技で、試合3日ぐらい前の寝る前にこの技で行くことを思いついた。最近、海外で試合をしたときのビデオを見直して、昔の荒々しい気持ちを思い出したという。「70kg(契約のHERO'SとMAX)だと相手が大きいから、思いっきりぶつかろうという気持ちが消えて、ミスをつく試合ばっかりだった。俺もバカじゃないから、カウンターを狙う時は狙うけど、1回ここでズバッと、最初からぶち当たる試合も必要かなって」と、この技に至った心境を明かす。

 2月のK-1 MAXでレミーガが飛び膝で8秒KO勝ちし、修斗でも99年に佐藤ルミナが飛びつき腕十字で6秒で一本勝ちをおさめた試合があった。ゴングと同時にタオルが投げられ2秒で終わった00年のPRIDE GPの藤田×コールマンのようなケースを除き、4秒決着はおそらく総合格闘技史上最短記録ではないだろうか。
 KIDはこの4秒という記録について「歴史に刻めたかな」と笑顔。だが“神の子”は、もっと凄い記録や出来事を総合格闘技の歴史にまだまだたくさん刻み込んでいくような気がする。

第8試合 85kg契約 5分2R(延長1R)
○秋山成勲(フリー)
×永田克彦(チーム・キングス・新日本プロレス)
1R 2'25" KO (バックスピンキック)


 体格と総合でのキャリアの勝る秋山が、打撃のプレッシャーをかけ続ける。メダリストの永田のタックルを切り、胴回し蹴りや膝蹴りも繰り出す。秋山のバックスピンキックと永田のタックルが相打ちになると、バランスを崩したのは永田の方。秋山はチャンスとばかり右アッパー等のパンチでラッシュを仕掛ける。防戦一方の永田はタックルでグラウンドに持ち込みたいがあっさりと切られ、最後は秋山が左ジャブのフェイントからのバックスピンキックを永田のレバーにクリーンヒット。虚を突かれた永田は立ち上がれなくなった。
 

 秋山はテレビ番組を通じて親しくなったタレントのみのもんたとリング上で抱き合い大喜び。なんと大会2週間前、ルスラン・カラエフとの練習中にバックスピンで肋骨を折られ、1週間ほど何もできず、残り1週間でルスランからその技を習得し、実戦で使ったという。パンチも含め、打撃の技術が急上昇。8月5日の有明コロシアムから開幕する85kgトーナメントで大活躍しそうな予感だ。

第2試合 無差別級 5分2R(延長1R)
×曙(チーム・ヨコヅナ/210kg)
○ドン・フライ(アメリカ/フリー/103.7kg)
2R 3'50" 一本 (フロントチョークスリーパー)


 開始早々のパンチの打ち合いでフライの右フックが炸裂。曙はコーナーに押し込んでダウンを逃れる。その後はコーナーへの押し込みとブレイクの繰り返し。2Rにはレフェリーが積極的な試合を促す口頭注意を行う。その後、いったん曙が押し込んだあと、突き放して間合いになると、フライの右ロー2連発で曙がマットに崩れ落ちてしまう。フライはサイドから鉄槌を落とした後、ギロチンを極め曙はタップアウト。半ば自爆のような負け方となってしまった。

第1試合 無差別級 5分2R(延長1R)
○アントニオ・シウバ(ブラジル/FIGHT CO./140.5kg)
×トム・エリクソン(アメリカ/フリー/126.8kg)
1R 2'49" TKO (レフェリーストップ:マウントパンチ)


 格闘技マニアの間ではペザォン(大足)の愛称で呼ばれる未知の強豪が、その真価をいかんなく発揮。最初の押し込みでは倒しきれなかったが、ブレイクの後、パンチをかわしてエリクソンを倒すと、あとはワンサイド。ハーフから肩固めのプレッシャーをかけつつパウンドで痛めつけ、バックからチョークを狙った後、マウントパンチの連打で巨鯨の戦意を奪った。

 
[ミドル級世界最強王者決定トーナメント開幕戦]

第7試合 5分2R(延長1R)
○宇野 薫(和術慧舟會東京本部)
×オーレ・ローセン(デンマーク/アンテイムド)
2R 4'36" 一本 (チョークスリーパー)


 1R、ローセンの打撃を警戒して回る宇野は、右フックに合わせた胴タックルで綺麗に倒すと、ハーフから一気にマウントへ。すぐに返されるも、下から腕十字を仕掛けた後、ローセンの離れ際にタックルで倒し再び上になる。パンチも駆使しつつマウントとバックを奪い、1Rは最後まで主導権を維持する。
 2Rも宇野ペースは変わらず。序盤からタックルで上になると、サイド、上四方でチャンスを伺い、最後はアームロックを仕掛けた後、ローセンの脱出際にバックを取ってチョークを極めた。
 マイクを持った宇野は「今日はいい天気だったので、一本が取れる気がしました」とさわやかなコメント。日本人選手で一回戦を突破できたのは宇野一人。海外の精鋭が残った中、KIDへのリベンジにどこまで近づけるか?

第6試合 5分2R(延長1R)
×所 英男(リバーサルジム)
○ブラックマンバ(インド/フリー)
1R 0'43" KO (膝蹴り)


 マンバはムエタイ式の高い構えのまま細かいステップを踏み、長い手足を活かした前蹴りとロングジャブで所をけん制する。なかなか入り込めない所。パンチのフェイントもなく不用意にタックルで飛び込んでしまい、マンバのミドル気味の膝蹴りをアゴにもらいKOしてしまった。

第5試合 5分2R(延長1R)
×門馬秀貴(和術慧舟會A-3)
○J.Z. カルバン(ブラジル/アメリカン・トップチーム)
1R 2'08" TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)


 開始早々、突進してきた門馬をカルバンが前蹴りで吹き飛ばして上に。門馬は下から三角を狙うが、減量のせいか動きに力が感じられず。逆にカルバンは強引にパウンドを落としに行き主導権。最後は連打で門馬をひるませレフェリーストップがかかった。

第4試合 5分2R(延長1R)
×上山龍紀(チーム・キングス)
○ハニ・ヤヒーラ(ブラジル/アタイジ・ジュニア柔術)
判定0-2 (平18-20/礒野19-19/和田17-20)


 ヤヒーラが1Rは主導権。開始すぐからタックルで上になると、あっさりパスガードに成功し、バックからチョークを狙う。終盤には再び上になり、得意とする上四方からのチョークで再びチャンスを得る。
 だが2Rはギルバート・メレンデスに代わり急遽出場した影響と体格差もあってか失速。とはいえ上山も上になってからの攻め手に欠く。残り30秒にはヤヒーラがリバースしてマウントから腕十字を狙いまたもチャンスを得て、きっちり勝利をもぎ取った。

第3試合 5分2R(延長1R)
×中原太陽(和術慧舟會GODS)
○イヴァン・メンジヴァー(カナダ/トリスタージム)
判定0-3 (平18-20/梅木18-20/松本18-20)


 1R最後を除き、試合は終始立ち技の攻防。メンジヴァーがハイキックやバックブローの素早い動きで会場を沸かせる。中原もスピードある動きで呼応するが、攻撃の的確さではメンジヴァーが上。パンチの連打やミドルキック等も当て、中原はこめかみを出血。2Rには消極的だとしてイエローカードをもらってしまう。結局流れは変わらないまま試合終了。やや勝ちにこだわりすぎた感もあるが、メンジヴァーがポテンシャルの高さを伺わせ2回戦に駒を進めた。

[オープニングファイト]

無差別級 5分2R(延長1R)
○浜中和宏(フリー/98.9kg)
×WAKASHOYO(チーム・パオン/147.2kg)
1R 1'22" 一本 (アームロック)


 腰痛で欠場の山本宜久の代役で急遽出場した浜中だが、WAKASHOYO相手なら朝飯前。片足タックルであっさりと倒すと、バックから鉄槌で痛めつけ、最後はアームロックを極めた。

Last Update : 05/07 22:23

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