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(レポ&写真) [PRIDE] 12.31 さいたま:五味、マッハをKO。シウバ防衛

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE 男祭り2005 頂 - ITADAKI -"
2005年12月31日(土) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ  観衆:49,801人(超満員札止め)

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 [掲示板:+ミドル/−ウェルター]
 

第7試合 PRIDE GP 2005 ライト級(-73kg)トーナメント決勝戦 1R10分・2R5分
○五味隆典(日本/木口道場レスリング教室/元修斗ウェルター級王者/72.9kg)
×桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場/元修斗ミドル級王者/72.9kg)
1R 3'56" KO (右フック)

※五味が優勝

 オープニングでも入場でも両選手、特に五味への声援は、桜庭、美濃輪ら他の人気日本人選手に負けず劣らず。8月のミドル級GP決勝大会で武士道の選手が挨拶した時、美濃輪にだけ大歓声が飛んでいたが、半年足らずでライト級戦士の名前もPRIDEファンに浸透したことがわかる。

 序盤からパンチが交錯する中、五味の左右のフックがヒット。マッハも左フックを当て、右ローで五味の膝がガクンと落ちる。だが五味は「ローは遅く見えた」といい、「パルバー戦でも3分過ぎたらガードが落ちきたので、その後から勝負を賭けるつもりだった」ことから、マッハの攻めにも表情を崩さない。

 試合は3分経たずにマッハのミスから一気に動き出す。マッハが首投げを放つと、膝にテーピングしている左足での払いが不十分で、五味の体重でそのまま前方に押しつぶされる格好に。頭をマットに打ち付けたマッハ。五味はそのままバックに。重いパンチをマッハの頭部に連打し、レフェリーストップ寸前まで追い込む。
 かろうじてマッハはマウントに移行すると密着して防御し、足で突き放してスタンドに戻す。だが足元が定まらない。すぐさま五味は右フックをクリーンヒット。さらにロープに詰めると左ストレート、右フックを連打。マッハは前のめりにマットに崩れ落ち、兄弟対決に終止符が打たれた。

 マイクを持った五味は涙目。「偉大な先輩とPRIDEでタイトル賭けて戦えたことを光栄に思います。桜井選手、ありがとうございます。何か一つでも世界で一番になりたくて、わがままを聞いてくれた木口道場、うちの若い子、そしてファンのみなさんありがとうございます。来年もぶっとばします。やっぱり大みそかは判定じゃなくKOだと思うんですけど(笑)。来年もPRIDEで頑張ります。誰にも負けません。この階級なら」とアピールした。

 共同インタビューでは「自分の方が勢いがあった」と試合を振り返り、今後については「後輩にチャンスを与えて楽したい」と話し無邪気に笑っていた。
 大会後の総括で榊原信行DSE代表はこの試合について「目頭が熱くなるよう感動を覚えた。今日のベストバウト。他の階級の選手は人気面でもウカウカしていられない。来年の大みそかは五味君がメインでも不思議ではない」と絶賛していた。


第11試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分
○吉田秀彦(日本/吉田道場/104.0kg)
×小川直也(日本/フリー/115.0kg)
1R 6'04" TKO (レフェリーストップ:腕ひしぎ十字固め)


 小川は今年亡くなった盟友・橋本真也さんの入場テーマ曲のイントロと、自分のテーマ曲をつなげた特別バージョンの曲で入場。頭には橋本さんが付けていたハチマキを巻いている。熱心な小川ファンは大熱狂だ。対する吉田は入場するや道衣を脱ぐ。プロ11戦目にして初めて裸をさらすが、これは同門の瀧本が第3試合の菊田戦で苦戦したのを見たからだといい、今後の着用は対戦相手によって判断するという。
 試合は両者の総合での試合経験の差が如実に現れる内容に。開始早々、小川は右フックの連打で勢い良く突進しコーナーに押し込む。ブレイクがかかると、両者のパンチが交錯。再び組み付いた吉田は外掛けでテイクダウンに成功する。小川はクロスガードで防御。吉田は腰を浮かせてガードをほどくとアキレス腱固めへ。そのまま寝転んで絞り上げると小川の足からポキポキという音が鳴る。小川は腰を浮かせて顔面パンチで脱出。だが吉田は足を効かせて距離を作り、小川にパウンドを打たせず。さらに小川の左腕を抱えるとブリッジで引っくり返し、そのままマウントに。不完全な体勢からアームロックを狙うとバランスを崩してしまうが、一個一個の動きが小川よりも先手なのが総合への適応度の差。上になりパウンド、踏み付け、鉄槌で小川を痛めつける。小川が背中を向けるとさらに吉田はパウンド。足のロックが不十分なため小川に引っくり返されるが、吉田は冷静に対処。下から小川の両腕を捕まえると一気に腕十字を極め勝利を奪った。

 試合後先にマイクを持ったのは敗れた小川。「最初に足を極められたとき、折れたよ。吉田頑張れよ」と後輩にエールを送り、一緒にハッスルポーズをやることを提案した。だが吉田は「格闘家を引退した時にやらせていただきたい」と拒否。小川は「わかったよ」と了承し、自らの音頭でハッスルポーズと、橋本さんのトルネードハッスルを行いリングを降りた。その後マイクを持った吉田は「ここで戦ったからといって柔道が嫌いなわけじゃありません。柔道が大好きです。来年も頑張ります」とアピールした。

 大会後、榊原代表は「もっと二人の戦いを見ていたかったけど、吉田選手の強さに拍手をおくりたい。2006年は吉田秀彦に託したいと思った一戦だった」とコメント。全選手揃っての閉会式では高田延彦PRIDE統括本部長も「来年、日本人の砦となるのはこの男だ。ヘビー級(グランプリ)だ。ヒョードルとやってよ」と吉田に話しかけていた。
 だが吉田はこれらの提案に対してもマイペース。「これ(小川戦の内容)じゃあ無理でしょう。シウバも防衛したんで、来年はヘビー級でもミドル級でも両方できるよう練習したい。言われればやりますけど、無理なお願いが多いので、ちょっと休ませて欲しいのが本音ですね」と共同インタビューでは答えていた。実際吉田はこの1年間4ヶ月に1試合のペースで戦っている。既に36歳。柔道時代からのケガの蓄積も考慮すれば、相当肉体的にキツいことは想像に難くない。GPは5/5大阪ドーム大会で開幕予定だが、それまでに吉田がどういう決断を下すかが注目される。
 

第10試合 PRIDEミドル級(-93kg)タイトルマッチ 1R10分・2R5分・3R5分
○ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/王者/92.6kg)
×ヒカルド・アローナ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム/挑戦者/92.6kg)
判定2-1 (大橋=シウバ/三宅=アローナ/ヒューム=シウバ)

※シウバが防衛

 前回の対戦でアローナに上から押さえ込まれたシウバは、アローナのタックルを切り続け、アリ猪木状態からローを蹴る。ローを打つ度に観客から「オーイ!」とかけ声。ロー自体の威力はそれほどなく、むしろ観客を煽って自分の味方に付けることが目的のようにも伺える。アローナは1R終盤にようやくタックルでシウバをテイクダウンし、パスガードにも成功するが、同時にゴングが鳴ってしまい大きなチャンスを逃す。
 2R、アローナが差し合いの攻防を制し序盤から上に。パスガードに成功すると、膝を一発シウバの顔面に叩き込む。だが連打には至らず、スタンドに戻されてしまう。中盤にはシウバが上に。アローナは膠着誘発イエローをもらってしまう。終盤に再びアローナがタックルでテイクダウンに成功するが、またもゴングに攻め手を阻まれる。
 3Rも接戦。またもアローナが序盤からテイクダウンに成功。今度はシウバが膠着イエローをもらう。以降もアローナがたびたびタックルを試みるが、1R同様シウバがアリ猪木でローを蹴る展開の繰り返しに。
 結局最後まで噛み合ないまま試合終了。判定は2-1でシウバ。賛否両論はあるが、実質ドローの内容で、「シウバがドロー防衛を果たした」と解釈すれば、この判定も納得できなくはない。

第9試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分
×ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ/102.0kg)
○マーク・ハント(ニュージーランド/オシアナ・スーパーファイタージム/128.5kg)
判定1-2 (ヒューム=ミルコ/足立=ハント/小林=ハント)


 大会後、榊原代表が総括の談話で明かしたところによると、ミルコはクロアチア出発前にインフルエンザにかかり、日本到着時で37-38度の熱があり、さらにシューズを履いていたのも足首の負傷を隠すためだったという。せっかくの好カードだったが、ミルコの不調により盛り上がりの欠く内容となってしまう。
 ミルコはいつものデュラン・デュランの「ワイルドボーイ」ではなく、クロアチア語らしきラップの曲で入場。ミルコはその歌詞を口ずさみながら花道を歩む。
 1R序盤、ミルコは左ハイ、左ミドル、左右のロー等の蹴りで主導権。しばらく間合いと差し合いの攻防が繰り返されるが、中盤にはハントの左フック、右ストレート等のパンチが当たるように。終盤にはミルコも左ハイを当て返すが、ハントはひるまない。

 全体としては間合いと差し合いの繰り返しの多い膠着した展開に。2Rにはなんとミルコのかかと落としも見られたが、打開策にはならない。次第にハントがミルコを追いかける攻防が増える。3Rにもミルコは左ハイをクリーンヒットさせるが、ハントはそれでもひるなまい。体力ではハント。右フックの2連打でコーナーに追いつめ、ミルコが背中を向けながら逃げる場面も。最後はグラウンドにもつれ込みミルコがマウントを奪うが、同時に終了のゴング。「ジャッジ・マット、ミルコ」とアナウンスされた時にはブーイングが飛んだ。
 白星を得たハントだが、ヒョードル、ノゲイラ、ハリトーノフと渡り合えるかはまだ未知数。榊原代表はミルコとの決着戦を組むことに意欲的だった。

 

第8試合 ミドル級 1R10分・2R5分・3R5分
○桜庭和志(日本/高田道場/92.8kg)
×美濃輪育久(日本/フリー/88.5kg)
1R 9'39" TKO (レフェリーストップ:チキンウィングアームロック)


 「もう一人の赤パン」美濃輪だが、この日はなんと白のパンツで入場。片や桜庭はオレンジ色のハードゲイのコスプレで入場。早くも会場の熱気は最高潮に達する。
 序盤は互いにパンチを当てる攻防。美濃輪がタックルでテイクダウンに成功するが、桜庭はギロチンに捕まえる。すると会場は美濃輪コール。今や桜庭を越える勢いの人気だ。美濃輪が脱出すると膠着状態に陥り、ブレイク後に桜庭にイエローが出される。その後は互いにテイクダウンを奪い、桜庭がアームロックやチョークを狙ったり、美濃輪が足関を狙ったりする。だが動きのスピードとキレが足りないせいか、観客の盛り上がりは今イチ。最後はスタンドに戻り美濃輪が背後からしがみついた所、桜庭が得意のアームロックに捕まえる。美濃輪が苦痛の表情で耐えるが、見かねた島田レフェリーがストップし試合が終了した。
 

 

第6試合 PRIDE GP 2005 ウェルター級(-83kg)トーナメント決勝戦 1R10分・2R5分
○ダン・ヘンダーソン(アメリカ/チーム・クエスト/リングスKOK初代王者/82.9kg)
×ムリーロ・ブスタマンチ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム/元UFCミドル級王者/82.3kg)
判定2-1 (足立=ヘンダーソン/三宅=ブスタマンチ/大橋=ヘンダーソン)

※ヘンダーソンが優勝

 紹介VTRでは「ダンヘン」と「ブス先生」という2人の日本での愛称が連呼される。入場前には武士道の会場セットである武士の兜が舞台に登場する。
 最初に上になったのはダンヘンだが、ブレイクがかかると間合いと差し合いの繰り返し。中盤、ブスタマンチがテイクダウンに成功。一瞬マウントになるが、すぐ猪木アリ状態となりブレイク。その後も両者とも1度ずつ上になるという接戦に。
 武士道ルールのため2R目が最終ラウンド。このラウンドはダンヘンのラウンドに。序盤には2度テイクダウンに成功。その度にアリ猪木でブレイクがかかり、スタンドでも差し合いの時間が長くなり、ベテラン同士の体力消耗戦となってくるが、後半ダンヘンが底力を発揮。右フック2連打を皮切りに顔面への膝蹴りでダウン気味にブスタマンチを倒す。いったん立たれるが、再び首を抱えての膝蹴りで倒す事に成功。仕留めきるまでには至らなかったが、この攻撃で勝利を決定づけた。
 

第5試合 ヘビー級(ノンタイトル戦) 1R10分・2R5分・3R5分
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア/レッドデビル/王者/105.5kg)
×ズール(ブラジル/B-TOUGH/185.0kg)
1R 0'26" KO (右フック→鉄槌連打)


 ヒョードルはまるでズールに催眠術をかけるような上下の動きでプレッシャーをかけると、右のフェイントの後、左フックをズールの首筋にクリーンヒットさせ、さっそくズールをダウンさせる。さらにサイドに回ってパンチとサッカーボールキックで攻めると、いったんズールは立ち上がるが、すぐ右フックを叩き込みまたもズールがダウン。右拳で鉄槌を連打したところでレフェリーが試合を止めた。これまで膠着した試合の多かった中で、ヒョードルが華麗な横綱相撲。会場は一気にヒートアップした。

 

第4試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分
○エメリヤーエンコ・アレキサンダー(ロシア/レッドデビル/117.0kg)
×パウエル・ナツラ(ポーランド/高田道場/109.5kg)
1R 8'45" 一本 (チョークスリーパー)


 先に上になったのはアレキサンダーだったが、攻めあぐね膠着ブレイク。今度はナツラが上になると、バックを奪ったり腕十字を狙ったりと優勢に試合を進める。だがプロデビューのノゲイラ戦同様、ラウンド後半に入るとスタミナ切れ。下からのアームロックを許すとマウント、バックマウントと次々と攻め込まれ、最後はチョークを極められタップした。
 柔道約4年間312戦無敗、リアルヒクソンとの異名で総合に乗り込んできたナツラだが、これでPRIDE2連敗。技術はこれから伸びそうだが、35歳という年齢を考えると、最大の課題のスタミナ向上はやや厳しいかもしれない。
 

第3試合 ミドル級 1R10分・2R5分・3R5分
×瀧本 誠(日本/吉田道場/87.5kg)
○菊田早苗(日本/GRABAKA/元パンクラス・ライトヘビー級王者/91.0kg)
判定0-3 (ヒューム=菊田/大橋=菊田/小林=菊田)


 開始すぐ引き込んだ菊田は、瀧本のパウンドに合わせて足を引っ掛けると引っくり返して上に。ハーフ、サイド、マウントと、柔術なら序盤から大量得点の余裕の攻めだ。いったんハーフに戻されるが、またマウントを取ると腕十字。逃げられても足関を狙い、今度は上四方からの肩固め(ヒースチョーク)に捕まえる。瀧本は片腕を挿んでかろうじて防御。その後も菊田はバックマウントをキープする等、瀧本に全くチャンスを与えない。
 2Rも瀧本がハイキックに失敗してスリップしたのをきっかけに、菊田がグラウンドで圧倒。上四方から四点膝を放つ場面も。その後下になった瀧本は膠着を誘発したとしてイエローをもらう。スタンドで再開後、ようやくテイクダウンに成功したが、1Rの最初同様またも菊田に引っくり返され、マウントとバックを取られてしまう。
 とはいえ菊田も試合後「さすが金メダリストは強い。最後の詰めのところをわかっている」と高く評価していたように、防御における瞬間瞬間での反応の良さはさすが。度重なるピンチをギリギリのところで乗り切る。3Rも菊田がバックマウントまで行くが、仕留める事ができなかった。
 「今日の内容に点数を付けるとしたら?」という質問に、菊田は「会場の中では10点。自分の今までの(柔道への)コンプレックス(を克服したこと)からだと100点。柔術家やグラップラーの評価だと80点」と返答。多角的・客観的に分析できてしまうのがいかにも彼らしい。“会場の中”の立場となる榊原代表は、瀧本だけでなく菊田に対しても「一からやり直してもらいたい。もっと思いをリングにぶつけて欲しい」と厳しい評価を下していた。
 

第2試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分
○ジェームス・トンプソン(イギリス/チーム・トロージャン/124.5kg)
×ジャイアント・シルバ(ブラジル/フリー/160.0kg)
1R 1'28" KO (サッカーボールキック)


 開始早々、トンプソンがストレートの連打で突進。シルバはダウン気味に倒れるが、大きな上半身がロープの外に出てブレイクがかかってしまう。とはいえ既にシルバはフラフラ。トンプソンのタックルをかわし上になろうとしたが、バランスを崩して逆にサイドを取られてしまう。最後はトンプソンがパウンド、ボディへの膝、サッカーボールキックの連続攻撃でシルバの戦意を奪ったところでレフェリーがストップした。
 

 

第1試合 ミドル級 1R10分・2R5分・3R5分
○中村和裕(日本/吉田道場/92.9kg)
×近藤有己(日本/パンクラスism/パンクラス・ライトヘビー級王者/86.8kg)
判定3-0 (小林=中村/三宅=中村/ヒューム=中村)


 中村がタックルでテイクダウンに成功。近藤はいわゆる「尻で立つ」動きで、倒された際に起きあがろうとするが、中村は腰を引っ張るようにしてトップポジションをキープする。さほどダメージを与えることはないが、腰を浮かして単発でパウンドを落としたり、上四方に回ったりと主導権を維持する。
 8分過ぎ、ブレイクがかかると、下の近藤が膠着を誘発したとして豊永レフェリーはイエローカードを提示する。だがその後のファーストコンタクトは近藤の左ハイキック。中村は頭を下げ反応したが頭頂部あたりにもらいダウン気味に倒れてしまう。ところが近藤は一瞬待ってしまい、上からパンチを落とそうとしたところで中村に組み付かれてしまい、追い打ちがかけられない。とはいえポイントを五分に戻す内容で1Rを終えることに。
 2Rになると中村のタックルを近藤は切るように。中村は疲れた表情を見せる。中村も右ハイやパンチを当てるが近藤はひるまない。3Rには近藤がタックルを切ってサイドに周り、マウント、バックを奪取する場面も。最後はサイドから膝を放ったところでゴング。試合終了時には中村がマットに寝転び、近藤は息を切らさずまだ1ラウンド戦えそうな様子でコーナーに戻っていた。
 公開練習でも見せたヨガの成果だろう。残り体力で上回った近藤。だが直接ダメージを与える攻撃が少なかったことが災いした。テイクダウンとパンチの命中数で中村が上回っており、PRIDEのジャッジはそこを評価したと考えられる。とはいえ観客はジャッジ内容にどよめき、榊原代表もこの日の近藤に好評価を与えていた。敗れたとはいえ、実質ドローと言える内容だっただけに、今後もチャンスは十分ありそうだ。体格の活かせるウェルター級での戦いにも本人は意欲的。王者ダンヘンとの戦いはぜひ見たい。
 

第0試合 スペシャルチャレンジマッチ PRIDE特別ルール 契約体重無し 5分2R
○チャールズ・“クレイジーホース”・ベネット(アメリカ/フリー/73.5 kg)
×金子 賢(日本/フリー/74.0kg)
1R 4'14" 一本 (腕ひしぎ十字固め)


 オープニングセレモニーの前の「第0試合」という扱いで実施されたこの試合。金子の参戦発表後、ファンの間では批判的な意見が多かったが、多くの観客は暖かい声援を送っていた。金子のセコンドには修斗世界バンタム級王者マモルの姿も。
 開始早々、ベネットが軽くジャンプしたのに合わせ、金子は胴タックルで組み付く。相撲のような攻防が続いたあと、ベネットがそり投げ気味に倒して上に。鉄槌を落とすと、金子は長い足を活かして三角を狙う。だがベネットは振り解くと一気にマウントに。パンチと鉄槌で金子を痛めつける。金子は公開練習で今成正和に習ったブリッジを試みるが、パワー差でひっくり返せず。ベネットはそのまま下に崩れると、ゆっくりながらも腕十字。寝技が下手と言われてきたベネットだが、さすがに初心者相手なら問題とせず、きっちりタップを奪い完勝した。
 

Last Update : 01/04 02:16

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