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(レポ&写真) [K-1 JAPAN] 3.14 新潟:サップ×朝青龍兄、不完全燃焼のTKO決着

FEG"K-1 JAPANスペシャル K-1 BEAST 2004 〜新潟初上陸〜"
2004年3月14日(日) 新潟・朱鷺(とき)メッセ 新潟コンべンションセンター 観客:9413人(超満員札止め)

  レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]

第8試合 MMAルール 5分3R
○ボブ・サップ(米国/チーム・ビースト)
×ドルゴルスレン・スミヤバザル(モンゴル/モンゴルプロレス協会)
1R 終了時 TKO (タオル投入)


 サップはこれまでの突進ファイト一辺倒のスタイルから一転、低く構えての様子見の気配。だがモンゴル相撲&グレコローマンレスリングのキャリアのあるスミヤバザルにとってはこれがチャンスに。早い胴タックルでコーナーに押し込み、サップの巨体をあっさり寝かすことに成功する。サップは脇でスミヤバザルの首を捕まえたものの、何もできないまま上のポジションを取られてしまう。インサイドガードからきっちりサップの胸に顔をつけてパンチを振っていくスミヤバザル。MMAのベーシックなスタイルが肉体化されているのがわかる。サップは下からスミヤバザルの左手を取ってアームロックを狙うも極められない。
 スミヤバザルが腰を上げた瞬間を狙ってサップは蹴り放すが、スミヤバザルは素早いタックルで再びサップを押し倒し、今度はサイドポジションに。だがそれもサップは地力で跳ね飛ばし、バックに付いて一気にスリーパーを狙う。しかしながらスミヤバザルは素早く横ターンし、再びサップを押さえ込みインサイドガードに戻る。スミヤバザルのアマレスラーとしての確かな技術の裏づけが見えた展開だった。再び序盤どおりサップの胸に頭を押し付け、パンチを落とし始めたところで1R終了。

 だがここでリング上に異変が。マットから立ち上がろうとしたスミヤバザルが苦悶の表情を見せ、セコンドについていた弟のプロレスラー・ブルーウルフがタオルを投入する。実はスミヤバザルは来日前の練習中にレスリングのマットで滑って右股関節を負傷。試合中にその箇所を悪化させてしまったようだ。控室に戻ったスミヤバザルは無念のあまり号泣し、ノーコメントのまま会場を後に。上井文彦・新日本プロレス執行役員は「もう1回チャンスをください」と谷川貞治・K-1イベントプロデューサーに申し出たというが、谷川Pは共同インタビューで「無い話ではないが、今は全く考えていない。サップ vs. 藤田はいつか実現しようと思ってますが…」と再戦には渋い表情だった。スミヤバザルは昨年5月の高阪戦でも肘を痛めて途中TKO負けを喫しているため、谷川Pが渋るのも無理はない。
 一方のサップも不完全燃焼の白星に煮え切らない様子。大会終了セレモニーの後、「アサショーリュー・カム・ヒア!」とマイクアピールを繰り広げたが、既に新潟のお客さんの8割方は会場を去った状態。ガランとした会場に響き渡るビーストの雄叫びはどこか空しかった。

◆サップ「不完全燃焼で残念だ。もうちょっと技を見せたかった。だがレスラーはあのように一定のポジションのまま攻めて来るということを試合を通じて体感できたし、私自身もスタミナがアップしたことを皆に証明できたと思う。(下になった時に焦りは?)いや。とても落ち着いていたよ。スミヤバザルが体が硬く緊張していると感じられたので、彼が後々疲れて来て、そのうち自分が有利になるだろうと思っていた。(次のMMAは?)スミヤバザルと再戦して完全決着したいね。」

◆谷川P「マッチメイクの時点ではワクワクしていましたが、リアルファイトの難しさを実感しましたね。反省点が多かったです。1ヶ月前に朱鷺メッセでの開催を急遽発表したんですけど、見てのとおり2階・3階の無い平板の会場でMMAをやってしまったのも反省点ですね」

第7試合 MMAルール 5分3R
○アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム)
×スティーブ・ウィリアムス(米国/IWAジャパン)
1R 0'22" KO (膝蹴り)


 開始早々、低く構えて組み付きに来たウィリアムスにイグナショフは左ストレートをクリーンヒット。ウィリアムスが必死に組み付きにきたところを引き込むようにして、さらに膝を浴びせる。すでに意識の薄れた様子で足元のふらついたウィリアムスにさらに膝。もうすでに勝負あったと見えた展開だが、四つんばいになりながらも、なおも本能的に足にしがみついて行こうとするウィリアムスの顔面に、非情のサッカーボールキックをぶち込む。避けて半身に立ち上がってきたところにとどめの膝。勝負あったと見た岡林レフェリーがようやく試合を止めた。
 全く何もできず完敗したウィリアムスだったが、「今回は準備不足だった。I'll be back」とサバサバした様子で共同会見中も笑顔を絶やさず。一方完勝のイグナショフ。「試合の印象?悪くないけど、唯一残念なのは試合ができなかったことだね」と弱過ぎたウィリアムスを皮肉った。

第6試合 MMAルール 5分3R
○サム・グレコ(オーストラリア/正道会館)
×ステファン・ガムリン(米国/DC7)
1R 0'25" チョークスリーパー


 開始早々、グレコがロー一発。為す術なくバンザイタックルで突っ込んで来たガムリンを闘牛士のごとくかわして背後に回り込み、あっさりチョークを極めタップを奪った。谷川Pはグレコを「MMAでトップになれる素材」と高く評価した。

第5試合 MMAルール 5分3R
×マイケル・マクドナルド(カナダ/フリー)
○LYOTO(ブラジル/猪木事務所)
1R 2'30" ギロチンチョーク


 スタンドでじわじわプレッシャーをかけるマクドナルドに対し、LYOTOはパンチを振ってからの素早いタックルでテイクダウンに成功。ハーフガードで膠着したかに見えたが、LYOTOは右前腕をマクドナルドの首に押し付け、あっさりタップアウト勝ち。セコンドの藤田和之とともに勝利を喜んだ。だが傾斜の無い会場だったため、ほとんどのお客さんは何でフィニッシュしたのかよくわからず、今一つ盛り上がりに欠けてしまったのも事実。ちなみにマスコミ向けのスタンドカメラ位置もこの角度からしかなかった。

第4試合 K-1ルール 3分3R 延長2R
○天田ヒロミ(日本/TENKA510)
×バタービーン(米国/チーム・バタービーン)
判定3-0 (御座岡30-29/中川30-28/黒住30-27)


 「ウォーッ!」と雄叫びをあげたり、ノーガードでパンチをもらいまくったりと、コミカルファイトばかりの目立ったバタービーンだが、右ローを数発出したことの方にむしろ驚かされた。勝った天田は越後もち豚1頭がプレゼントされた。

第3試合 K-1ルール 3分3R 延長2R
○富平辰文(日本/SQUARE)
×ピーター・ボンドラチェック(チェコ/バカルディジム)
判定3-0 (御座岡30-28/後川30-28/大成30-27)


 2月の沖縄大会との連戦となるボンドラチェックは、富平の右ローをもらい続けるうちに失速。2R終盤から攻め込まれ、3R開始早々、膝蹴りでダウンを喫する。その後も富平に追い込まれロープにもたれてグロッキー状態。富平が3R目を制し完勝した。

第2試合 K-1ルール 3分3R 延長2R
○中迫 剛(日本/ZEBRA244)
×マーブリック(ドイツ/シャークタンクジム)
1R 1'30" KO (右フック)


 身長8cm、体重14kg勝る中迫が膝蹴りでダウンを奪い、さらに右フック一発で豪快KO勝ち。

第1試合 K-1ルール 3分3R 延長2R
○宮本正明(日本/正道会館)
×クリブ・“ツインタイソン”・コーザ(米国/チーム・レクシオ)
判定3-0 (御座岡30-28/中川30-29/武井29-28)


 宮本が右ロー主体で攻勢。コーザは何発ももらうが耐え、2Rにはパンチで反撃する場面も。結局全体的に攻勢の場面の多かった宮本の判定勝ち。

オープニングファイト K-1 MMAルール 5分2R
○アイヴァン・サラベリー(米国/AMCパンクレイション)
×ハリウン・ボルドバータル(モンゴル/モンゴルプロレス協会)
判定3-0 (ジャッジ:松本天心、市瀬猛、山崎アキラ)


 サラベリーがスタンドのパンチ、キック、膝でハリウンを圧倒。グラウンドでもニーオンザベリーで制する場面も。だが決め手に欠き、会場の反応は薄かった。

Last Update : 03/15

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