(レポ&写真) [シュートボクシング] 11.4 後楽園:サワー、緒形も撃破。魔裟斗戦を熱望
シュートボクシング協会 "The age of S Vol.5" 2002年11月4日(月・祝)後楽園ホール
レポ&写真:井原芳徳 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板・キック&K-1中量級スレッド]
<テレビOA日程> テレビ東京系列(17日(日)午後4時〜5時15分)/Jスカイスポーツ
メインイベント 71kg契約 3分5R ○アンディー・サワー(オランダ/リンホージム/S-CUP2002世界王者) ×緒形健一(日本/シーザージム/SB日本Sウェルター級王者) 判定3-0 (50-42,50-42,50-42)
7月7日のS-CUPトーナメントを制覇した19歳の新鋭・サワーは、9月の後楽園大会では後藤龍治に勝利。その試合直後、緒形が対戦アピールしたことで、このカードが決定した。 序盤は静かに打ち合う展開。2R前半にサワーは「オイルのようなものが目に入った」ため試合を一時中断。だが再開した直後、サワーは一気にラッシュをかける。緒形も負けじと左ストレートを当てるとサワーは「目が覚めた」といい、緒形に強烈な左ボディ、左フックを叩き込む。
3Rも激しい打ち合いが続くが、残り1分、サワーが緒形に左ハイをクリーンヒットさせ最初のダウンを奪う(冒頭写真)。意識がもうろうとしながらも、10カウントギリギリで立ち上がった緒形に、サワーはさらにフックで追い打ちをかけ2度目のダウン。緒形は「何をやっていたか覚えていない」ほどの状態だったが、サワーのラッシュをしのぎきり、なんとか4Rに持ち込む。 以降もサワーのボディ、アッパーを受け続けた緒形は「ボディはそんなに効かなかった」といい、驚異的なタフさを発揮。果敢に攻める緒形に満員の観衆は大歓声を送る。だがサワーの猛攻に反撃できず、4Rには至近距離での飛び膝蹴り、5Rにはパンチで1度ずつダウンを喫する。 終ってみればサワーの完勝だった。大差の判定で敗れた緒形は「もう一回チャンスをください!一からやり直します!」とリング上でアピールしたが、バックステージでは「ああでも言っておかないと気持ちが晴れないんで…。今の自分の実力がわかりました」と語りうなだれていた。
試合後のリング上でSB協会のシーザー武志会長は、来年2月2日の後楽園大会でサワーにオーストラリアの強豪・ダニエル・ドーソンをぶつけると発表した。ドーソンはS-CUPでは元々優勝候補と目されていたが、じん帯を痛め準決勝のジョン・イーゴ戦の途中でリタイア。最近はSBスパッツを履いて試合をするほどSBに熱を入れており、「SBのチャンピオンがSBのスパッツを履かないで試合をしていいのか!」とシーザー会長の口伝てでサワーを挑発。それを聞いたサワーは「そういうことは僕の前で堂々と言ってくれ」といなし、「ダニエル、カモン!」と対戦を受諾した。 また、サワーは試合後のインタビューで、K-1ワールドMAXで活躍する魔裟斗との対戦も熱望。「SBの代表として、魔裟斗と戦う。K-1ルールも問題ない。もちろん勝つよ」と語った。サワーは魔裟斗のライバル、アルバート・クラウスともかつて練習していたが、実力ではサワーの方が上という評価も多い。さらに約4年前に魔裟斗とも引き分けたことのある日本のSBのエース・土井広之が、2月2日の後楽園大会で復帰決定。キックボクシングの中量級戦線はK-1を軸に盛り上がりを見せているが、“S”の時代は、もう始まっているのかもしれない。
セミファイナル 73kg契約 3分5R ×鄭 裕蒿[ジョン・イーゴ](中国/中国武術協会/S-CUP2002準優勝) ○後藤龍治(日本/STEALTH/SB日本ミドル級1位) 5R 2'48" TKO (レフェリーストップ:スタンディング・アームロック)
9月の後楽園大会でサワーに判定負けしながらも、ポイントでは僅差まで追い詰めた後藤が、今度はS-CUP準優勝で散打の強豪・ジョンに挑戦。ジョンを「サイドキックとタックルを警戒したら、ただの下手なキックボクサー」と評する後藤は、内股へのローを主体に、ミドルキック、ストレート、ボディ、アッパーを着実に叩き込みダメージを与える。「総合の練習をやってたおかげ」で首相撲からのタックルにも対処し、最後は2000年3月のダグラス・アラン・エバンス戦と同じスタンディング・アームロックを極め勝利。後藤は「サワーができないことをやるのが今日の目標だったので、完璧です」と上機嫌だった。 一方のジョン陣営はこのフィニッシュに対し「勝手に試合を止められた。レフェリーのブレイクを待っていただけで腕は極まっていない。残り数十秒での戦術を考えていたのに…」と不満を示した。後藤は12月1日に中国・北京で行なわれるSBと散打の対抗戦に出陣するが、敵地で警戒されることは間違いなさそうだ。
第6試合 85kg契約 3分5R ○ポール・スロウィンスキー(オランダ/ブンチュージム/SBオーストラリアライトヘビー級3位) ×伊賀弘治(日本/龍生塾/SB日本ヘビー級3位) 3R 1'40" TKO (レフェリーストップ)
スロウィンスキーの重い蹴りに苦しんだ伊賀は、前方への投げによる2度のシュートポイントとパンチで善戦したが、3Rに2度目のダウンをしたところで力つきた。
第5試合 スーパーライト級 3分3R ○植松直哉(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY) ×西内太志郎(日本/U-FILE CAMP.com) 判定2-0 (29-29,30-29,30-28)
修斗ランカーとU系戦士の異色の対決が実現。パンチ主体の植松の攻勢が続くが、西内もインローを効かせ植松を苦しめた。植松は「判定の読み上げられた時に西内選手が『えっ?』ていう顔をした。格闘技では相手にそう思わせたらダメ」と反省。
第4試合 82kg契約 3分3R ×大久保一樹(日本/U-FILE CAMP.com) ○鈴木亮司(日本/東京元気大学GGG) 判定0-3 (28-30,28-30,29-30)
元リングスの滑川康仁の代役で急遽出場し、積極的な攻めを見せた総合格闘家の大久保だが、ボクシングのプロライセンスを持つ鈴木のコンビネーションに苦戦し黒星。
第3試合 スーパーバンタム級 3分3R ○今井教行(日本/シーザージム) ×菊田光正(日本/寝屋川ジム) 判定3-0 (30-27,30-28,30-28)
第2試合 フェザー級 3分3R ×ファントム信也(日本/龍生塾) ○歌川暁文(日本/UWFスネークピットジャパン) 判定0-3 (28-29,28-29,28-29)
サムライTV「キックの星」の「今時の不良・歌川君日記」コーナーで秘かに人気者の歌川(写真左)が出場。1Rはファントムの素早い攻撃に苦戦し、前方への投げでシュートポイントを取られたが、残りラウンドはパンチ主体で反撃。9月のデビュー戦に引き続き連勝を果たした。
第1試合 スーパーウェルター級 3分3R ×松本賢治(日本/シーザージム) ○菊地浩一(日本/寝屋川ジム) 3R 1'29" TKO (タオル投入)
Last Update : 11/06
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