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[JPMC] WBCムエタイ認可組織がライセンス制度と活動を説明

(4/19 up) WBCムエタイの日本での認可組織、ジャパン・プロフェッショナル・ムエタイ・コミッション(JPMC)は都内で8日と12日、各種ライセンスと活動内容の説明会を行った。JPMCは3月に設立挨拶文を発表したが、この会では具体的な説明が行われた。(写真:12日の説明会でJPMCの山根千抄理事長が説明している様子)

 WBCムエタイは05年に発足。07年3月にはWBCムエタイ本部の要請を受け、マスコミ有志による「WBCムエタイ日本ランキング委員会」が発足し、日本ランキングの上位の日本人キックボクサーがWBCムエタイ世界ランキングに入るようになった。
 その日本ランキングは「ムエタイまたは肘有りキックルール5回戦」の試合が対象だったが、直接対決をしていない選手同士の優劣の判断の難しさ等が問題点として浮上していた。
 07年11月のWBCの総会でも、WBCムエタイルールでの直接対決でランキングを決めることが推奨され、日本でのWBCムエタイルールでの試合を統括する組織として、JPMCが発足した。
 今後はJPMCがWBCムエタイルールでの日本ランキングを制定し、日本人選手の世界ランク入り、海外のWBCムエタイ大会参戦をバックアップする。

 JPMCはボクシングにおけるJBCのような立場。JPMC自体が独自に興行を打ってWBCムエタイルールの試合を行うことは無い。各プロモーターにライセンスを発行し、「WBCムエタイルール(3分5R)3試合以上、ワイクルー2試合以上」が行われる大会を認定大会とする(ワイクルーとは試合前に選手が行う踊りの儀式のこと)。
 つまりWBCムエタイルールオンリーの興行だけでなく、既存のキック団体に属するプロモーターがJPMCのライセンスを取り、通常のキックの興行の中にWBCムエタイルールの試合を組み込むことも可能だ。

 WBCムエタイルールの試合で戦いたい選手は、「選手(ナックムアイ)ライセンス」を取る必要がある。既にJPMCには直接選手からライセンスに関する問い合わせがあったというが、選手ライセンスを取る場合はマネージャー・ライセンス所有者との契約を義務付ける方針のため、選手ライセンス単独での取得はできない見込みだ。
 選手ライセンスは「16歳以上40歳以下」「国内、国外のムエタイルール(もしくは肘ありキックボクシングルール)3分5Rの試合で1勝以上していると証明できる者(国外での試合のみの場合は、プロテスト受講義務あり)。または、JPMCプロテストに合格した者」が申請の資格者となり、その後審査を受けて交付される。

 トレーナー、チーフセコンド、そして試合を裁くレフェリー・ジャッジ、ドクターに関してもライセンスが設けられる。マネージャーとチーフセコンド、選手とチーフセコンドのライセンスの同時所持も可能だ。レフェリー・ジャッジライセンスを取るためにはルール・ジャッジ講習会を受ける必要があり、当面は経験者に優先して発行される模様だ。

 いずれのライセンスも登録料・年会費が必要。有効期間は7月から来年6月末日まで。説明会では「今後予想される試合数の割に料金が高い」といった意見も出されたため、金額が改訂される可能性もある。山根理事長も「制度はまだ改良の余地がある」と話し、今後も関係者や申込希望者等の意見を集める方針だ。

テレビ中継のプランも?JPMCの活動は多岐に

 説明会では競技以外の面でのJPMCの活動報告も行われた。JPMC自体はNPO法人として認可申請中。山根理事長はファッションコンサルティング会社代表、押切進一副理事長は「SRS」等のテレビ番組の放送作家、レフェリーの小川実理事は税理士法人代表など、理事の面々の本職は多岐にわたる。そういった幅広い人脈を活かした切り口で、ムエタイを健全なスポーツとして世間一般に届ける試みが、今後次々と行われることになりそうだ。

 現時点では英字のフリーペーパー「メトロポリス」の開催するイベントでムエタイのエキシビジョンを行ったり、足立区教育委員会の協力でムエタイ講習・講演を行うプランがあるという。12日の説明会は代々木の東京スクールオブビジネスで行われたが、専門学生が実習の一環として説明会を手伝っていた。ほかにも東京コミュニケーションアート、ナウ・ローディングス、JTB法人東京、ヤマノリテーリングス、岡山紡績等が支援予定企業として紹介された。

 WBCのボランティア活動「Green Team」参加による社会貢献も活動の一つ。プロモーターのチケット売り上げのうち1%を基金に積み立てることで、チケットを買ったお客さんがボランティア活動に参加できる仕組み作りも計画されている。

 JPMCのロゴマークは長野五輪のシンボルマーク、サントリーの缶コーヒーBOSSのロゴをデザインした篠塚正典が作成した。ナックムアイの力強さをイメージしたデザインとなっている。

 WBCムエタイ本体でも、既にジャマイカやマニラでの大会も決定し“東洋のラスベガス”マカオでボクシングとの合同興行を年4回行う計画があるといい、他のムエタイ組織との差別化材料となりそうだ。

 一部の放送局もJPMC認定試合の放送に興味を示しているというが、その他の交渉中の企業を含め、「認定興行が始まり、形になったものを見ないと協力しにくいと言われることがある(押切副理事長)」という。実際、12日の説明会でも、キック団体の関係者から「WBCムエタイの試合を興行で組むメリットがまだ見えない」といった意見も出された。

 山根理事長は現状を「卵が先か?鶏が先か?といった状態」と説明したが、さらに「今日の説明会が本当の我々の第一歩」とも語った。まずは一歩踏み出さないことには何も産まれない。JPMCの今後の歩みに注目して行きたい。(井原芳徳)

WBCムエタイ・ルール・ジャッジ講習会を開催

 JPMCは20日の10:00〜18:00に東京・渋谷のスクランブル渋谷にて、WBCムエタイルール委員会のANEK HONGTONGKAM氏をタイより招いてのルール・ジャッジ講習会を行う。レフェリー・ジャッジライセンスの交付は原則としてこの講習の受講者のみとなる。受講料は10,000円(ライセンス発行料含む /当日現金支払)。マネージャーライセンスおよびナックムアイ(選手)ライセンス取得希望の方は見学無料。お問い合わせとお申し込みは事務局まで。

JPMC事務局
TEL:03-5768-5902
FAX:03-5721-1851
e-mail : jpmcofficial◆gmail.com(※迷惑メール対策のため◆を@に換えて下さい)
公式HP:http://www.jpm-c.com

Last Update : 04/19 19:52

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