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[HERO'S] KID、北京五輪目指しアマレスに専念。プロは一時休業

(7/23 up) 山本“KID”徳郁が22日、東京・六本木の全日空ホテルで記者会見し、08年の北京オリンピックのレスリング・フリースタイル60kg出場を目指すため、レスリングに専念することを発表した。このため8月大会から参戦する予定だったHERO'Sミドル級世界最強王者決定トーナメントを欠場する。

 KIDは山梨学院大生時代の99年の天皇杯で2位に終わり、00年のシドニー五輪への道が断たれた。その後プロ格闘家として大成功をおさめたのは周知の通りだ。
 しかし2ヶ月前、次の五輪までの全日本選手権・世界選手権等の日程を見て「今が29歳で最後のチャンス。ここでトライしないと一生悔いが残る」と考え、レスリングに専念することを決断した。
 レスリング一家である家族も喜んでいるといい、HERO'S側の谷川貞治FEG代表も「複雑な気持ちだが、名声と収入がまだまだ上がる中で、あえて困難な道を選ぶことは、一人の選手・男としてかっこいい」、前田日明HERO'スーパーバイザーも「金メダルを取って凱旋して欲しい」とエールを送った。
 大学生時代のKIDを指導し、現在も山学大のレスリング部の監督を務める高田裕司・日本レスリング協会専務理事は「協会としては人気選手が出てくれることがうれしい。個人としても協会としても応援したい」と挑戦を歓迎した。

 ルールの変化もKIDが挑戦を決断したもう一つの大きな理由だ。3分2ピリオドから2分3ピリオドに、1ピリオドあたりの時間が縮まった。KIDは「今のルールのほうが俺に合う。2分、2分で、最初に取ったほうが勝ち。現役(大学生)の頃、最初は取れるけど、あとはガス欠していた。昔は長距離走で、今は短距離走。これならいける」と自信。
 高田監督も「彼が全日本で2位になった時、最初勝っていたが、スタミナが切れるとパッシブを取られ、不得意なグラウンドで逆転された。今は逃げ回ってもパッシブが取られない。場外に出しても1点が入る相撲に近いルールになったので、タックルにスピードのある彼には有利」「彼の一番の武器は体重。現在62kgぐらいで、減量がいらない」と適正の高さを評価する。

 レスリングの練習を本格再開して約1か月。KIDは母校のある山梨と東京の自宅を行き来する日々を送る。
 レスリングは総合・キックより低く構えるため、練習再開直後は「腰がパンパンになった。よくこんなこと5歳の頃とかやってたなと思った」というが、「俺はすぐ変われる。それだけがとりえ」と適応に自信を見せる。
 高田監督は「今の力だと(天皇杯)ベスト8ぐらい」だと見ており、初戦となる予定の11月の天皇杯予選に間に合うかが最初の課題だ。

 しかしその先の道のりはもっと厳しい。来年1月27〜28日の天皇杯か、6月の明治乳業杯の両方を制し(両方の優勝者が異なる場合はプレーオフで1名選出)、9月18日〜23日の世界選手権出場権を獲得することがまず必要。その先も天皇杯制覇が事実上義務となり、世界選手権で9位以下の場合は、五輪トライアルをくぐり抜けなければならない。

 途中で道を断たれたとしても、高田監督は「アマの練習はキツい。プロに戻った時には今以上に体力・精神力が強くなっている」といい、KIDのためになると考える。
 谷川FEG代表は「大晦日のDynamite!!には出て欲しい」と話すと、KIDは「まだ考えていない。でももしかしたらレスリングマッチになるかも。妹(聖子)とやろうかな」とコメント。打撃に関しても「忘れたくないからレスリングの練習の後にミット打ちぐらいはやる」と話した。
 ちなみにKIDの入れ墨に関して高田監督は「禁止ルールは無い。外国には入れている選手がたくさんいる」と話した。(井原芳徳)

Last Update : 07/23 11:11

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