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 [第9試合 ウェルター級]
木浪利幸 vs 中村篤史
浪選手は、3回戦を爆発的な攻撃力で一気に駆け抜け5回戦に昇格。そのままの勢いでトップに肉薄したかったが、昨年末からジャルワット選手、内田選手に連敗。思わぬ足止めを食らってしまった。しかし、8月にはその鬱憤を晴らすかのように、タイ遠征でルーク・ケントンをハイキックでKO葬に仕留め、復活の狼煙を上げた。日本での試合は実に半年ぶりとなるが、来年以降の巻き返しのためにも、この試合に快勝して勢いを取り戻したいところ。

 一方、中村選手はまさに上り調子のまっただ中にある。今年は3戦3勝うち2KOという実績を重ね、5回戦に昇格。とりわけ直近の試合では、日本キック連盟のリングで1階級上の選手を飛び肘を食らわせての秒殺。かつてはやや大味なファイトが気になったが、最近は、むしろそれが勢いとなっていい形に出ている。中村選手が乗っている証拠だろう。

 ウェルター級は、王者とその下のグループの間隔が大きいが、この試合の勝者がグループを一歩抜け出せるのではないだろうか。



ラウンド1 者中央に進むと、木浪選手が左フックを放ち、さらに両者フックの相打ちに。木浪選手はミドル、中村選手は左ローを打ち込む。やや猫背気味に構える木浪選手に対し、中村選手は、体ごと前に出てパンチを仕掛けて押し込み、ショートパンチと肘を打ち込む。ここで、木浪選手の左側頭部がカットされ出血。木浪選手はハイキック、左ジャブから前に出てパンチを狙うが、攻撃が続かない。中村選手は距離を詰めて組み付くと傷口を狙う。

ラウンド2 村選手が右フック、右肘と傷のある部分に集中攻撃。木浪選手もガードしているが、そのまま押し込まれていく。中村選手はコーナーに詰めると左横肘を打ち込み、木浪選手が横に崩れたところに右ミドルを入れ、ダウンを奪う。再開後、勝負をかけて中村選手に木浪選手も肘で応酬。しかし、中村選手の肘とパンチに力無く下がり始めると、傷口が広がっている。ドクターチェックが入ったが、即座にストップが告げられた。


村選手の勢いが上位ランカーをも撃破。体もよく絞れていたし、かなりの練習を積んできたように見受けられた。もはや「勢い」というだけではなく、確固たる地力がついてきたというべきだろう。もっとも、攻守にバランスのとれた王者青葉選手を脅かすには、今少しのレベルアップが必要だろう。来年以降も鍛練を積み、洗練を重ねて、どん欲にトップコンテンダーの地位を狙って欲しい。

 一方、木浪選手は再び暗いトンネルに引き戻された感がある。今回に限っていえば、調整上のアクシデントもあったとも聞くが、その素質に期待する人が多いだけに、このトンネルを早く抜け出して欲しいところだ。

文 片岡


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