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98・12・13
K1グランプリ'98 決勝戦
東京ドーム

<大会総評>「圧倒的な ... 余りにも圧倒的な」 by 高田敏洋

 

  々目を見張るような速度で成長を続けるK-1、今大会の動員総数は実に63800人。 僅か十 数年前、関西の駅前に於いて、自らの手によるビラ巻きから始まった石井館長 の「格闘技をメジャーに」という宿願は見事に成就した。その成長速度たるや正に「圧倒的」である。

  一格闘技大会としてのスケールなぞとっくに凌駕している。あの東京ドームを総満員 の観衆で埋め尽くせるイベントは、芸能、スポーツにとどまらず全てのジャンルを通 じてもほんの僅かだ。石井館長の次の目標は「世界」。イベントとして考えても、そ のスケールやアイデアはこれまた「圧倒的」だ。


  闘技界の風潮からともすればはみ出しがちなメジャー志向のおかげで「ファッション空手」「ショー空手」といった口さがない揶揄を受けることすらあった正道会館だ が、今やその正道の大会を母胎として成立したK-1の優勝者が立ち技系格闘技の最高 峰に位置することに異を唱えることの方が難しい。選手層に於いてK-1は間違いなく 世界最高のレベルにある。世界各国から集まってくる選手達の実力は、それほどまで にまたまた「圧倒的」なのだ。


  とにかくなんでもかんでも「圧倒的」。度が過ぎる程に「圧倒的」。

  大会は、個々の試合内容までこの「圧倒的」な熱に感化された感さえあった。全7試合中実に6試合がKOによる決着。世界最高峰の闘いでありながら、その「圧倒的」 に分かり易い内容には、専門的な技術論や玄人っぽい見識がつけ入る隙を見つけるこ とすら難しい。そして(既にこのページを御覧の皆さんは御承知の通り)大会を制し たピーター・アーツの強さも今回は「圧倒的」と評するしかないものだった。

  直に打ち明けると、K-1の「舞台」、その「祭祀空間」に足を踏み入れる度に、筆者は空恐ろしくなってくるのである。正道会館およびK-1の会場には数え切れないほ ど足を運んだが、この十数年を振り返ると気分はまるで浦島太郎だ。世の中こんなに トントン拍子に進むものだろうか?格闘技がこんなに楽しく、こんなに分かり易くて も良いのだろうか?...などと奇妙な不安が頭をよぎったりもする。

 おそらくK-1という場そのものが、それに関わる全ての人々を「圧倒」するようなオ ーラを纏うようになってしまったのだろう。


  うなったらとことんまで行ってもらおうじゃないか...希有なるムーブメントが台 頭する模様を同時代から眺められる幸運を存分に味合わせてもらおう。

...................そうして、重奏なオーケストラの響きとと もに、また新たなドラマの幕が上がった。

 

取材:高田敏洋・薮本直美 カメラ:大場和正

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