先のベルナルド vs サダウ戦、ベイル vs 角田戦に続く「体格差マッチ」三連戦の 最後である。角田がベイルに対してガードを固めながらも、寧ろ自分からプレッシャーを掛けて
いくような闘い方をしたのに対して、長井はノルキアの周囲をサイドステップで回りながら闘うスタイルを選択した。
しかし...酷な言い方ではあるが戦略や戦術以前の問題だった。ベルナルド vs サダウ戦がベルナルドの強さを浮き彫りにし、ベイル vs
角田戦がハンディを闘志が 凌駕するドラマチックなシーンを見せたのに対し、この試合がクローズアップさせた のはひたすら体格差だけだったと言っていい。ノルキアのパンチは振り回すような大
味なもので、同ジムのベルナルドのように見るべき技術もスピードも無いが、なにせ30kg近い体重差20cmを越える身長差は、打撃系格闘技としては既に真っ当な内容を期
待できる範囲ではない。無差別のヘビー級である以上、そして納得の上で選手はリングに上がった以上、そのことで長井を擁護することは出来ないが、先日の佐竹
vs マ ット・スケルトン戦といい、こうした相手とも対戦することを考えなければならない K-1日本勢の行く末は極めて厳しいと言わざるを得まい。
一方のノルキア、確かにただ単にデカイだけで通用するほど、K-1本戦のレベルは低くない。実際彼は今やK-1のキャラクターの一人としてそのポジションを確保しつ
つある「もう一人の怪物」マット・スケルトンには敗れている。が、ノルキアのこの巨躯は明らかにそれ自体が充分な武器たりえる。K-1トップファイターの中では最も
小兵であるアンディや、徐々にウエイトアップしてヘビー級転向を果たした技術型選手の代表であるホーストなら、ノルキア相手にどのような試合をするのか見てみたい
気がする。
「諦めないこと」「最後まで喰らい付くこと」
このノルキア戦にあたり自分に与えたテーマとして長井自身が語った言葉である。先日のK-1
BUSHIDOといい、リングスを離れてからの長井満也の歩みはまるで茨の道である。今回の彼のファイトにはある種の悲壮感すら漂っていた。KO負けの後リング
に大の字になったまま悔し涙にくれる長井の姿に、格闘技選手の厳しさ残酷さばかりが映し出されているようで、何ともやりきれない感情に襲われざるを得なかった。
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