“拳豪”マイク・ベルナルド、タイソンとの巌流島の決闘を語る

Interview & Photo : 井田英登

のインタビューが収録されたのは昨年のGP本戦前のことであった。

本誌でも他の選手の収録分についてはXX7号でその模様をお届けしたが、ベルナルドはこのインタビュー収録後に練習中の怪我で欠場。タイミング的に出すに出せないインタビューとなり、お蔵入りしていたものである。

年が明けてベルナルドは本格的にK-1復帰を果たしたが、その周辺は常に波乱と話題が溢れるものとなった。まず年が明けての復帰戦は、石井館長の出身地松山でのメインイベントで天田ヒロミを豪快にノックアウトし、健在ぶりをアピールした。その後マイク・タイソンのK-1参戦が持ち上がり、その対戦者候補に上げられたベルナルドと、共に兼業ボクサーであるバンナとの先陣争いがクローズアップされた。その決着戦として組まれた3月のバンナ戦ではK-1史上に残るであろう壮絶な打ちあいを演じ、一旦はノックアウト勝利を得たものの、そのフィニッシュブローのタイミングを巡って紛糾した末に、ノーコンテストという結果に終わった。まさに年が明けてからのK-1はベルナルド中心に回っているといっても過言でないような状況である。

さてこうした状況を迎えて、このお蔵入りのインタビューを読み返してみると、実に現在の状況に合致している部分が多いことに気が付いた。当時、WBFのチャンピオンに輝いたばかりのベルナルドにとって、めざす最大の目標はタイソン戦の実現だった。石井館長も当時からこの点に触れてタイソン戦実現を口にしていた。ただ当時はまだ猪木陣営の動きというものもまったくなく、あまり実現性の高い話題として注目するマスコミも無かったように思う。ただ本誌はベルナルドのボクシングキャリアを考えるうえで不可欠の話題と捉えていたため、当時としては珍しくその問題に切り込んでいる。だが、それ以降大きく状況は変化した。当時はベルナルドがタイソンを追ってボクシング界に飛び込んでいくという構図であったのだが、逆に彼がK-1に本格復帰を果たした途端、そのタイソンが逆にKのリングに登場しそうな状況になっているという、一種逆転した構図ができあがっているのである。また、GPの一回戦の対戦者として決定していた武蔵との対戦についても、現在ジャパンGP予選のスペシャルマッチ枠でのマッチメイクが検討されており、こちらは時間の問題で実現しそうだ。

今回、特集として「競技の枠を越えた越境者」という括りにも、ボクシングとK-1を縦横無尽に行き来する彼の生き様はピッタリしている。こうなってくると、このインタビューは今こそ公開するにふさわしい時期だと思えてくるから不思議だ。

そしてなにより、ここで初めて語られる宮本武蔵へのベルナルドの過剰な思い入れという内容も、恐らく本邦初公開の内容であり十分楽しんでいただけると思う。

果たして漂白の剣豪にも掴めなかった“戦うことの本質”に、この青い目のサムライはどこまで迫ったのだろうか?


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TABLE OF CONTENTS
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1.アンディの死をふりかえる [Campaign]
2.感銘を受けた宮本武蔵の言葉 [Campaign]


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