20世紀も残り数日を残すのみとなった12月末の某日、都内某所にあるBoutReviewのアジトに、本誌のライター山名、高田、矢作の三人が集まった。迎え撃つはMuscle Brain'sの社長兼本誌編集長・井田とその子分チョコチップ井原。

 本日のミッションは、格闘技の大繁栄で終わりつつある今世紀最後の10年が、単に世紀末の狂い咲き現象なのか、それとも21世紀へと続くムーブメントの序章だったのかを検証する事。
 これまでXX(ダブルエックス)誌を舞台にお届けしてきた数々の傑作座談会を上回るテーマに、一同の緊張感も高まる。果たしてたった一晩で10年をいや一世紀にわたる徒手格闘技の連綿たる歴史を検証しきることができるのか? 途中からは、格闘技業界で長らくインサイダーとして活動してきた、我らがばうれびキック班のアドバイザーでもあるY氏も加わり、門外不出のあの事件この事件の内幕暴露まで飛びだした。

 話題は予想どおりあっちへ跳びこっちへ跳び、まるで屋台のカエル釣りの瓶をひっくり返したような騒ぎとなったが、そこはそれ、筋金入りの格闘技マニア5人とお茶くみ1名が、約5時間に渡って有りったけの知識を絞り、取材経験から引きだした数々の分析をちりばめ、縦横に語り尽くした内容である。今世紀最後のXXを飾るに足る記事になったと思う。
 ヒクソンがたった4年でドームクラスの大物格闘家としての地位に上り詰めた秘密は? 戦後格闘技界を牛耳ってきたフィクサー達は、ファンの心理にどんな時限爆弾を仕掛けたのか? 1993年突如爆発したリアルファイトのビッグバンは果たして格闘技界にどんな秩序をもたらしたのか? そして21世紀格闘技はどう社会と係っていくのか? ここで提出されたテーマはこれからも本誌がそして皆さんが、格闘技を見るうえで何度も何度も問い直すテーマだと思う。今回は、普段本誌があまり表だって扱わないワークとリアルという、格闘技を見るうえでかなり微妙なテーマにもあえて足を踏み入れて語ってみた。

 だがそこまで肩ひじ張らなくても、我々が見てきたリアルファイトの歴史を駆け足ながら様々に回顧したお楽しみ企画の側面もある。この10年のあなたの観戦歴を振り返りながら、一時あのなつかしい一戦に思いを馳せていただくだけでも、この座談会を企画した意味があったのではないだろうか。

 また、本誌を作るスタッフ達の普段は覗かせない素顔や本音を、この記事を通して読み取っていただくのもいいかも知れない。こんな連中が日々、ばうれびを作るためにああでもないこうでもないと試行錯誤しながら活動を続けているのである。日々のレポートの行間に埋めた僕たちの本音を、今回は目一杯楽しんで頂きたい。(井田英登)


<出席者紹介>

井田 英登
本誌編集長兼K-1カメラ担当兼編集部専任コック長。K-1取材では主に石井館長の会見後のお茶会でご意見を伺う係(笑)。XX締め切り直前の原稿大量執筆ドランカー状態で、普段は譫妄状態の日々を送る。
山名 尚志
リングス担当ライター。某社重役。古代パンクラチオン、プロレスの起源等歴史面での造詣が深い。「今は静かにKOKの行く末を見守りたい...」と語るが、学生時代から支持する長州力の復帰に密かに心躍らせているとの噂も。
高田 敏洋
K-1担当ライター。かつて大阪天満の正道会館本部道場で、石井館長の直接指導を受けた世代の正道門下生。その技術論に関するこだわりで異色のK-1論を量産する論客。
矢作 祐輔
UFCを主に海外NHBを担当。ゴング格闘技誌の原稿でもお馴染み。リコ・ロドリゲスの首固めを「大好き固め」と勝手に命名したのもこの人。歯に衣着せぬ発言で今回もカット部分多数...。
チョコチップ井原
本誌編集部。取材、お茶汲み、HTML編集、ショップ運営、データベース制作、テープ起し・・・etc。八面六臂の活躍を続け、なぜか入江キングダム取材をライフワークとしているソップ型の大食漢。
特別ゲスト:Y氏
不遇の80年代キックボクシングを知る数少ないマニア。今回の座談会のキーとなる数々の秘話も披露。


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TABLE OF CONTENTS
1.フランク・ゴッチから入江秀忠まで!? 20世紀“リアルファイト”の長い長い助走
2.猪木+梶原+大山 黄金の三角地帯が生みだしたリアルファイト“幻想”
3.裏・第二次UWF=修斗の大いなる苦悩
4.キック暗黒時代:プロレスとの併走関係に見るマイナー化の理由
5.脱プロレス型ニュービジネス・K-1の疾走
6.パンクラスのリアルなリングに咲いた“青春ギミック”
7.リアルファイト幻想の最終継承者ヒクソン
8.K-1とUFC:1993年の格闘技ビッグバンが生んだ二代老舗の優秀性
9.パイオニアの悲劇? 時代に適合しきれなかった大道塾
10.INOKI-BOM-BA-YEは格闘技バブルの終焉を告げてしまうのか?
11.世紀末覇者ヒクソンはどこへ行く? そして21世紀への展望

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