
Text & Photo: 矢作祐輔
取材協力:格闘技専門旅行代理店 エルボールームUFCの地盤沈下がいよいよ本格化しつつある。
この4月、本誌第三号では「THE危機感」と題して、UFCの直面する問題を選手達の証言で立体構成した特集をお送りした。
ケーブルTVの撤退、選手の引き抜き、そして開催地の限定といった問題によって、一時代を築いたこの総合格闘技のメッカは、じわじわと壊滅の危機に瀕しているというのが前回の特集の論旨であったが、それから半年が経過した今もそれらの問題は抜本的な解決策を見いだせていない。
前回は中西部イリノイ州で行われたUFC26は、ケビン・ランデルマンVSティト・オーティスによるヘビー級頂点対決を実現させた。結果は、ランデルマンのバッティングというアクシデントにより、不本意な試合内容に終わったものの、地元出身のパット・ミレティッチ率いるミレティッチ・ファイティング・システム勢の躍進もあり、UFCらしいスケール感のある興行を維持することには成功していたように思う。
今回UFC27はふたたび南部ルイジアナ州ニューオリンズに戻っての興行。
ベアナックルボクシング興行発祥の地と言われるこの辺りは、過激なNHB興行に関して鷹揚であり、ファンも多い。UFC自体もこの地で開催される事が多く、いわばUFCのホームグラウンド的な場所でもある。
だが、発表されたその開催場所を聞いて、若干ちょっとした疑問が生じた。
これまで何回も開催されてきた常打ち小屋のポンチャートレインホールから、今回はニューオリンズ大学レイクフォートアリーナへと場所が変更されているのである。大学関連施設だからもちろん使用料は安い。しかし、これまで何回も興行実績のある場所であえて会場を変えるのは、興行的には得策ではないだろう。日本でもそうだが、格闘技団体の興行にはそれにふさわしいイメージのハコがあって、それが安定して使用されることが、ファンに対するイメージ付けを固着させていく材料にもなる。それでも、なりふり構わず経費節減をしなければならないほど、UFCの台所事情は苦しいのだろうか?![]()
そして、徐々に発表されていくカード編成を見て、いよいよこの疑問は拡大していく一方となった。当初、パンクラスの切り札である近藤有己をティト・オーティスとのタイトルマッチを発表した段階では、ニュースター発掘を目指す姿勢が見えて素晴らしいと感じたものだが、これが数週間後にはティトのキャンセルによって取消になったあたりから組行きがおかしくなってくる。近藤のカードは無名のブラジリアンに変更され、その替りにメインイベントに浮上してきたのは、すでに一線を退いて、地方NHBの客寄せパンダ的な存在になりつつあったダン・スバーンだというではないか。加えて、モーリス・スミスがブッキングされ、いよいよオールドタイマーが顔をそろえたマッチメイク色が濃くなっていく。前回ミドル級ヘビー級兼業宣言をしたエースのランデルマンが休場しているのも気になる。
これまでUFCは何度も危機の縁に立たされてきた。
しかし、その活力を支えていたのは、新たな選手を開拓してくるブッキング能力であった、それがあったからこそ、世界の総合格闘技の頂点として常に君臨してきたわけだが、今回のマッチメイクは、そのメリットを放棄したかのような時代に逆行したものに感じられる。
果たしてUFCはどうなってしまうのだろう?
このまま、往年のオールドタイマーを配置した懐古的な大会に成り下がってしまうのであれば、本来の先鋭的なNHBのファンはオクタゴンに愛想を尽かしてしまうだろう。果たして、この状況下に登場することになった近藤有己はその退潮傾向に歯止めを掛けることができるのだろうか?
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- TABLE OF CONTENTS
- 1) 忍び寄る衰退の暗雲
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