
Interview & Photo: 井田英登
(8.27横浜大会写真: 菊地奈々子)クワタクが吠えた。
この夏の修斗ビッグマッチ8・27横浜文化体育館で、桑原は佐藤ルミナ戦実現をもぎとった。これまで執拗にルミナ戦実現をアピールし続けてきた彼にとって、このカードは千載一遇のチャンスである。今やCMにまで登場する修斗史上最大のスーパースターを倒して、のし上がって見せる。そう心に決した桑原だったが、ルミナが3R途中に額を切るというアクシデントが発生、ルミナは桑原のバッティングを主張。そこまでの判定を集計すると言う形でなし崩しにルミナの勝利という形になってしまった。
あまりの不本意な結末に、桑原は鬱屈した。
雑誌では酷評され、ルミナは年末のビッグマッチで宇野の持つベルトに挑戦が決まった。しかし、TV放映されたその試合のビデオを擦り切れるまで見たという桑原は、八月の試合の判定に未だに納得がいっていないと言う。今回のインタビュウはそうした桑原の主張を聞くと言う形で始まった。インタビュウ中にも指摘したことだが、桑原の言うジャッジに対する不満は、それが仮に事実であったとしても、結局あの試合の結果を覆す事はなかったであろうと思われる。ならば、あえて桑原の主張を誌面に掲載する必要はないかもしれない。
だが桑原の本来言いたかったことはそこにはないのではないだろうか。
人生最大のチャンスを、目一杯力を出し尽くす前にかっ攫われたような不完全燃焼感が桑原にはある。それはあの試合を見た全てのファンにも共通の気持ちであろう。まして、自らの人生を賭けた桑原にすればなおのことだ。
ルミナともういちど、きちんと決着を付けたい。
要はそれだけなのだ。
本来、スポーツとしてクリーンに、一切の因縁やストーリーを拒絶してきた感のある修斗ではあるが、それでもリングに上がる選手にとって生々しい感情や、勝ちに賭ける執念というものは消し去ることは出来ない。桑原は、自分の手の中からするりとこぼれ落ちてしまったルミナ戦をどんな事をしてでも自分の手元にもう一度引き寄せたいと願っている。その思いの強さは言葉の端々からも強く伝わってきた。これはファイターという人種全てに共通する宿業の様なものではないだろうか。負けを負けとして認めてしまったら、もうその選手はファイターとして生きていくことが出来ない。まして、10カウントを聞いてしまったのでもなければ、心が折れてタップしたのでもなんでもない。与えられた3Rすら完全に使い尽したのでもない状況で、負けを宣告された人間の怒り、鬱屈、そしてその運命に抵抗しようという強い思いを桑原の言葉のなかに垣間見た気がするのである。
それは奇しくも今回我々が特集のテーマとして挙げた「闘うことの意味」という言葉と、奇妙に共鳴する。はたして桑原の再戦の願いが実現するかどうかは、神のみぞが知ることだが、そこに繰り広げられる心の葛藤、あるいはモチベーションの強さといったものをこのインタビュウから読み取っていただきたい。
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- ■怒・その1、格闘技では勝つと負けるとでは雲泥の差なんです!
- ■怒・その2、ギャラだって判定と一本じゃ雲泥の差なんです!
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