ケビン・ランデルマン王座防衛インタビュウ

「奴はキックボクサー、俺はレスラー。顔が腫れ上がったのはどっちだ?」


 これはやはりアメリカに育った人の特徴なのだろうか。
 人前に立つと、ひたすらオープンでハイテンションになってしまう人間というのが存在する。主張は明確、しゃべりも歯切れがいい。特にユーモラスなことを言わなくても、そのしぐさや表情の一つ一つが印象的で、心に残る。
 ケビン・ランデルマンはそういう人種の一人である。
 きっと、一人の時などはナイーブだろうなと思わせる、物憂げな表情を見せたりすることもある。だが、ひとたび人前に出たらもう、この陽性のエネルギーの噴出が止まらない。マシンガンのようにしゃべり、うろうろと絶え間なく動き回る。良く言えば“元気”悪く言えば“落ち着きが無い”。
 オクタゴンに入場してくると必ず披露するケビンジャンプは、もう日本のファンにもすっかりおなじみだと思う。試合前の大事なときにどうしてあんな無駄なエネルギーを使うのだろう?とか着地するときにうっかり足首をひねったりしたらどうしよう?などという杞憂の類いは彼の頭にはまるで無いに違いない。
 こういう人のことを英語では「Hyperactive(ハイパーアクティブ)」と呼ぶらしい。「ムッチャクチャ超元気」といった感じだろうか。
 人によってはこういうタイプは苦手という人もあるかもしれない。しかし、僕はこういう人が大好きだ。見ているだけで楽しいし、生きているエネルギーを貰えるような気がするからだ。

 そのハイパーアクティブなエネルギーがいい面に働けばあの爆発的な試合になるのだろうし、裏目に出ればこの間の控え室転倒事件の様なトラブルに発展してしまうのだろう。彼の師匠にあたるマーク・コールマンもさぞかし心配だと思う。実際、以前コールマンにインタビュウしたときには、「彼はちょっとチャイルディッシュだと思う。もっとしっかりして欲しい」と釘を刺される始末。しかし、ケビンの高校時代にレスリングのコーチに行ったのがその出会いという二人の関係もすでに10年を越える。もう実の弟のようなものなのだろう。実際、昨夜の試合でも会場中からブーイングを浴びせられるケビンをかばいながら、ファンの間に入りサインを配り、観客をなだめていたのはコールマンだった。
 そんなコールマンをケビンも敬愛して止まない。兄貴がPRIDE-GP2000で優勝しシーンの最前線にカムバックすれば、弟分も最大のライバルを倒してUFCのベルトを防衛して見せた。二人のチャンピオンを擁する事になったハンマーハウス。今や、栄光の絶頂にあると言ってもいい。
 昨夜のブーイング騒動でさぞかし御機嫌斜めかとは思ったが、試合翌日にケビン・ランデルマンの部屋を訪ね、昨日の試合のバッティング疑惑について、あるいはPRIDE 参戦の噂など気になる部分を追及してみた。

 時間はもうすぐお昼を迎えようかという午前11時過ぎ。恐る恐る部屋をノックしてみると、チャンピオンはまだベッドの中であった。しかし、一言二言話し掛けると、すぐあの印象的な目がフル稼働で目を覚ました。まさにハイパーアクティブ! →GO INTERVIEW



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