Text : 矢作祐輔

 グレイシー柔術の独走によって、総合格闘技界のこの10年はリードされてきたと言っても過言ではない。
 究極のディフェンス技術として相手の攻撃を無価値にしてしまう柔術の存在は、これまで攻撃中心で組立てられてきた各種の格闘技理論をことごとく崩壊させてしまったといってもいい。
 特に、その被害をもっとも大きく被ったのはストライカーであろう。
 オクタゴンの柵をくぐったストライカーは、タックルを恐れて一様に腰を引いた構えをみせるようになり、これまでの豪快な打撃を封印せざるをえなくなった。空手家もキックボクサーもこれまでの技術だけでは勝てないという現実の前に、柔術技術の吸収、あるいはグラウンドに持ち込まれない打撃技術開発を余儀なくされる事になってしまった。こうして一撃必殺思想は姿を消し、膠着とそれに耐える我慢強いグラップリングの攻防が「なんでもあり」の場を制する王道とされて久しい。

 しかし、21世紀を前にして、ようやくストライカーの逆襲が始まりそうな機運が高まってきた。
 これまで事態を静観していた形の打撃の側から、積極的にVTに対応できる技術の開発が始まったからだ。

 アルティメットボクシングの旗揚げ、MAキックのサムライルールマッチ開始など、これら同時多発的な動きは決して偶然ではない。これまで寝技に後塵を拝してきた打撃選手達のVTへの逆襲が、今始まろうとしている。

 こうした動きを本誌では「ストライキング・ヴァーリトゥード」と名付けて注目していきたいと思う。
 はたしてストライカーの逆襲なるか?といった分析とVTの歴史的展望の中でのストライカーの復権、そして、この動きに加わる可能性のある選手はどれだけいるのか?といった問題を分析していこうと思う。


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TABLE OF CONTENTS
総合格闘技の10年間
“K−1”という名のファイアーウォール
ストライキング最終兵器“ロシアンフック”出現
ストライキング・ヴァーリトゥードの時代は来るのか?


 

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