シドニーオリンピック グレコローマンスタイル 見所解説
54kg級|58kg級|63kg級|69kg級|76kg級|85kg級|97kg級|130kg級
国名 | 選手名 |
CUB | ラザロ・リヴァス |
KOR | シン・カンホ |
GER | アルフレド・テルムクルチヤン |
KAZ | アセンベコフ・ラヒムドシャン |
RUS | アレクセイ・チェフツォフ |
PRK | ヨン・ギュンカン |
CZE | ピーター・シェラ |
GEO | アレクサンダー・ツェルターゼ |
CHN | ワン・フイ |
AZE | ナティグ・アイヴァゾフ |
KGZ | ウラン・カリロフ |
UKR | セルゲイ・ソボカル |
TUR | エルカン・イルディス |
FIN | テロ・カタジスト |
POL | ダリウス・ヤブロンスキ |
ROM | マリアン・サンド |
IRI | ハッサン・ラングラス |
NZL | ジョサン・ペレ |
USA | スティーヴン・メイ |
EGY | ムスタファ・アブエラ |
国名 | 選手名 |
KOR | キム・インス |
KAZ | ユーリ・メルニチェンコ |
BUL | アルメン・ナザリヤン |
BLR | イゴール・ペトレンコ |
ROM | コンスタンチン・ボラク |
CHN | シェン・ゼチャン |
HUN | イスヴァン・マジョロス |
UZB | ディルショド・アリポフ |
FRA | アヌ・ジャメル |
IRI | アリ・アシュカニ |
GEO | コバ・グリアシヴィリ |
ARM | カレン・ナツァアカニヤン |
UKR | ロマン・ワチュク |
JPN | 笹本睦 |
GER | リファト・イルディス |
RUS | ワレリー・ニコノロフ |
TKM | ネペス・グクロフ |
AUS | ブレット・キャッシュ |
USA | ジェームス・グルエンワルド |
TUN | モハメド・バルガウ |
キムは1973年生まれの27歳。国際大会デビューは97年と遅いが、これまでに二度出場した98、99年の世界選手権ではいずれも優勝。初めての五輪でも金を狙う。
一方、ライバルのメルニチェンコは1972年生まれの28歳。ジュニア時代(当時はソ連代表)から世界大会の常連で、90年ジュニア(58kg級)、91年エスポワール(62kg級)、94年世界選手権、アトランタ五輪(以上57kg級)で金を獲得。97年の世界選手権も優勝するが、キムが98年の世界選手権に出場して以来、世界王座から遠ざかっている。キムに雪辱を果たし、二大会連続金メダルを獲得できるか。
キムとメルニチェンコの争いに割って入りそうなのがアトランタ五輪52kg級金のナザリヤン(ブルガリア アトランタ五輪当時はアルメニア)。常に前述の二人の後塵を拝するポジションにいるが、抽選結果によってはさらに上位へ食い込むこともあり得る。
笹本睦(ライバルは誰ですか?の質問に答えて)「去年の世界選手権5位まで全部です。韓国、カザフスタン、ブルガリア、ベラルーシ、ルーマニア、中国です。試合はしたことないです。ビデオは見ました。二次予選で枠を取った中でもフランスとイランはやったことないんですよ。グルジアには勝ってるし。アルメニアには負けてるけど1点差だし。ウクライナもそんなに、思ったより強くなかったので、次やったら勝てます。ビデオで見ましたけど、イランはスタミナがめちゃくちゃあります。
韓国とカザフスタンは一緒に練習しました。組み手が上手いですね。でも、前半のローリングだったら、練習でも返しているのでポイントとれますよ。グランドに持ち込めれば。キューバの58とも練習しましたけど、ジュニアのときに勝ってるし、そんなに強いと感じないですね。本当に強いと思ったのは、試合やってないですけど本当に強いと思ったのは韓国とカザフスタンだけです。気持ちでは金メダルですから
9月7日 山梨学院大での合宿にて
国名 | 選手名 |
KAZ | マチダル・マヌキヤン |
TUR | セレフ・エロル |
ISR | ミカエル・ベイリン |
UZB | バホディル・クルバノフ |
BLR | エドゥアルド・アプレヴィチ |
ITA | リカルド・マグニ |
UKR | グリゴリー・コミシェンコ |
KOR | チョ・サンスン |
RUS | ワルテレズ・サムルシェフ |
POL | ウラジーミル・ザワツキ |
SUI | ビート・モッツァー |
USA | ケヴィン・ブラッケン |
CHN | イ・シャンジュン |
JPN | 元木康年 |
GEO | アカーキ・チャチュア |
ARM | ヴァギナク・ガルシチヤン |
IND | ガービンダー・シン |
NZL | ラスル・アマニ |
CUB | ジャン・ルイス・マレン |
ALG | ジャカリ・ヤシン |
98、99年世界選手権王者のマヌキヤン(カザフスタン)が実力的には頭一つ飛び出ていると言えるが、今年の夏の合宿の折り、腰を痛めていてその経過がよくないとの情報がある。アルメニア代表として出場したアトランタ五輪7位の成績を上回り、金メダルを狙いたいところだが難しいとカザフスタンのコーチに言わせるほど状態はよくないらしい。
マヌキヤンに互角に対抗するのはエロル(トルコ)。97年世界王者、98、99年世界2位と、マヌキヤンの台頭とともに後塵を拝する形になっている。
元木康年(ライバルは誰ですか?の質問に答えて)「楽な相手はいないですけど、どうやってくるかは、ウズベキスタン、イタリアと世界選手権では試合をして負けてますけど、次にやったら勝てる自信があります。この中で一番強いと思うのは韓国。63はアジアが強いんですよ。韓国にはこてんぱんにやられましたから。日本の感じで一番強いタイプですよ。投げもあれば持ち上げもあるし。オールラウンドですね。隙が今のところ出てこないですね。付け入る隙と言ったら、体重が重いことだけですね。70kgちょっと体重があるはずですから。どうせあたるのなら、最初に当たりたいですね。
叶わない相手はいないですよ。攻略する方法は必ずありますから。ビデオ魔ですから。自分のやらなくちゃならないこと、グランドの防御とかありますので、それができなかったら誰とやっても勝てないから今はそれをやってますよ。チョ・サンスというのが、前回のオリンピック5位ですけど、それはマヌキヤン(当時はアルメニア)に負けたんですよ。
カザフスタン(マヌキヤン)がケガ、て本当ですか?まあ、2年も世界を取ったあとだと、続けて取るのは難しいんじゃないですかね。
田舎に帰ったときに、一番大きな羽黒山神社というところで、VIP待遇で優勝祈願してもらったので。
だいたい僕は試合に強いから。練習で負けるな、ていうくらいだったら勝つ自信ありますから。練習と試合は違います。それでも韓国だけは、隙がないな、て思いますね。でも、みんな誰でもチャンスあるような感じしないですか?頑張りますよ。頑張るのは頑張ってますけど、勝たなくちゃしょうがないですから。ビビったまま試合してたら、勝てるものも勝てなくなる。もう、コレが最後なので頑張ります。あと何週間かは自分のことだけ考えて」
9月7日 山梨学院大での合宿にて
国名 | 選手名 |
KOR | ソン・サンピル |
RUS | アレクセイ・グルチコフ |
BLR | ウラジーミル・カピトフ |
HUN | チャバ・ヒルビク |
FRA | ガニ・ヤルース |
CUB | フィリベルト・アズイ |
IRI | パルヴィス・ザイヴァン |
UKR | ルスラン・アズイ |
GER | アダム・ユレツコ |
ROM | エンダー・メメト |
SWE | マティアス・ショベルグ |
FIN | ユハ・ラッパライネン |
POL | リザルド・ウォルニー |
AZE | イスラム・ドゥグチエフ |
JPN | 永田克彦 |
EST | ワレリー・ニキーチン |
UZB | ルスラン・ビチャコフ |
AUS | アリ・アブドゥ |
USA | ヒース・シムズ |
MAR | カンダフィル・アンウォ |
要注意はアズイ(キューバ)。アトランタ五輪74kg級金で、96年から76kg級で戦っていたが今年になって一階級変更。通常なら減量幅が心配になるところだが、もともと減量がほとんど内線種だったため、懸念はないとみられる。76kg級で98年の世界選手権では2位になっており、上位に食い込む力はある。
アトランタ五輪銀のヤルース(フランス)も復帰組。99年の復帰なので、そろそろ試合カンも取り戻す頃か。
永田克彦(ライバルは誰ですか?の質問に答えて)「69、76、85くらいはヨーロッパの選手がすごいレベルが高いんですよ。このロシアも、去年世界選手権に出ている選手とは違うんですけど、今年と去年、ヨーロッパ選手権に出て優勝しているんですよ。たぶん、世界選手権のロシアが、この韓国に勝てないと考えたから変えたんですね。韓国強いですね。キューバはアトランタの74のチャンピオンだし、韓国、ロシア、キューバの3人がずば抜けてますね。それでも、ウクライナ、ブルガリア、ベラルーシ、みんな強いですね。
二次予選ではドイツ、ブルガリアとやりましたね。スウェーデンは過去にやったことありますね。そんなにすごい強い、て思わなかったですね。付け入る隙があるような感じでしたね。
ウズベキスタンはやりにくいですね。180センチくらい背があるんですよ。(ビチャコフは身長181cm。69kg級の選手は170cm前後が一般的)変則の投げをしてくる。柔らかくてムチのようなバネがあるんですね。投げとかローリングでも。すごい強いと言うより、やりにくい感じですね。オーストラリアとモロッコ以外、弱いところ無いですね。イランにもアジア選手権の決勝で勝ってますけど、なんとか勝ってる状態です。ビデオも結構見てるので、知らないのはオーストラリアとモロッコだけです。
オリンピックは何が起こるか分からないですからね。レスリングの場合は本当に実力が拮抗してるから。」
9月7日 山梨学院大での合宿にて
国名 | 選手名 |
TUR | ナズミ・アヴルカ |
FRA | イヴォン・リメル |
GRE | ディミトリス・アヴラミス |
GEO | タリエル・メレラシヴィリ |
HUN | タマス・エルジチャ |
RUS | ムラト・カルダノフ |
SWE | アラ・アブラハミアン |
ARM | レヴォン・ゲハミヤン |
AZE | ヒヴィチャ・ビヒナシビリ |
JPN | 片山貴光 |
BLR | ヴャチェスラフ・マカレンコ |
POL | アルチュール・ミハルケビチ |
KOR | キン・ジンス |
FIN | ユリ-ハヌクセラ・マルコ |
UBZ | エフゲニー・エロファイロフ |
UKR | ダヴィド・エロファイロフ |
KAZ | バフチアル・バイセイトフ |
SAM | ユタナ・ファフェタイ |
USA | マット・リンドランド |
EGY | アフメド・アシュリ |
片山も上位グループの一人に入る。98年世界王者のバイセイトフ(カザフスタン)には勝ち越し。相性が悪いのはキム(韓国)、ビヒナシヴィリ(アゼルバイジャン)。
アメリカの同階級は9月上旬まで代表選手決定について揉めていた。6月末に代表者決定トライアルが行われ、2勝1敗でキース・シラキに決定したが、敗者のマット・リンドランドが判定内容を不服とし、CAS(スポーツ裁判所)へ提訴。アメリカレスリング連盟は8月に再び3試合による決定戦を行うこととした。
8月の決定戦で勝利したのはリンドランド。ここから代表決定の争いは双方とも弁護士を伴い連邦裁判所に持ち込まれる。8月末のシドニー五輪ラストエントリー時にもまだ裁定が下っていなかったが、IOC(国際オリンピック連盟)が、シラキとリンドランド、どちらでも代表として認めるので、アメリカ国内で決定するようにとの発表をした。
アメリカの連邦最高裁判所が決定を出したのは9月6日。グレコローマンスタイル76kg級代表はマット・リンドランドに確定した。アメリカ代表チームは間をおかずにシドニーへ出発。現在はシドニーで最終調整をしている。
片山貴光(ライバルは誰ですか?の質問に答えて) 気になるというか、苦手なタイプはグルジア。手足が長いので。それと似たようなタイプはアゼルバイジャン、あとロシア。それに、トルコは世界チャンピオンだから強いですよね。ずば抜けたのはいないですね。
ビヒナシビリ(アゼルバイジャン)は3、4回やってて、勝ってないですね。手足が長くて、横からのローリングが特徴あって、手足が長いのを生かして持ち上げてくるんですね。キューバの持ち上げ方も独特で、手が長くて背筋が強いからできるんですね。決まったらなかなか逃げれないですよね。自分の力を出し切って、組み手がそういうのをとれたらいいですけど。
メダル欲しいですけど、一試合、一試合、自分の力を出し切れば僕はそれでいいと思ってるので。点数取られなくて、守りが強くて、絶対ポイントできる技があって、それで点数取って勝っていく、ていう完成された形を目指してレスリングをします。
去年のアジア選手権でバイセイトフ(カザフスタン)に再試合も含めて2回勝った試合が、今までで一番納得がいっている試合です。試合内容も、試合前の精神的な持って生き方というか、試合に臨む精神的なものがうまく自分で調整して合わせることができたので。それまでだったら、世界チャンピオン相手だと『いい試合ができたらいいかな』くらいしか思わなかったんですけど、その試合は試合前から勝ちたいと思うことができて。あの試合で負けたら順位がつかなかったんで、勝ちたい、ていう気持ちが強かったですね。
アトランタ五輪を経験しているので、五輪の試合はどういうペースで行ったらいいのかとか、どういう雰囲気なのかは知っているのでそれを生かしたいですね。やっぱり初日に強い相手とやりたいですね。外人の選手は結構体重落としているんで、ビデオとか見てても、初日の方が動きが悪いんで。初日に力を出せるような調整をしてきたいんです。だから減量も早めにやって、楽にして、初日で力を出せるように調整して。
今までの負けパターンは前半に点数を取られてそのまま終わっちゃう、というのだったので、逆に前半せめて、パッシブ取って点数取ってあとは相手がバテるのを待って、それから点数を取る。最初とばして、ちょっと流して、後半出す、というふうに山を二つつくってできたらいいんじゃないかな、と思います。初日で消えないようにしますよ。
9月6日 山梨学院大での合宿にて
国名 | 選手名 |
CUB | ルイス・エンリケ・メンデス |
GER | ザンダー・トーマス |
KGZ | ラトベク・サントバエフ |
FIN | アセル・マルコ |
SWE | マーティン・リドバーグ |
EST | トーマス・プルーヴェル |
BLR | ヴァレリー・ツィレント |
USA | クインシー・クラーク |
RUS | セルゲイ・ツヴィル |
TUR | ハムザ・イェリカヤ |
EGY | モハメド・アブデル・ファタ |
NOR | フリッツ・アネス |
UKR | イゴール・ブハイ |
HUN | サンドル・バルドシ |
ISR | ゴチャ・チチアシヴィリ |
GEO | ムハラン・ワタンガゼ |
UZB | ユーリ・ヴィット |
AUS | アレク・アルチャク |
VEN | エディ・バルトロジ |
TUN | アムル・バッハ・ハムザ |
国名 | 選手名 |
RUS | ゲオルギイ・コグアシヴィリ |
POL | アンドレイ・ウロンスキー |
SWE | ミカエル・リュングベルグ |
TUR | ハッキ・バサル |
GEO | ゲンナジイ・チカゼ |
SUI | ウルス・バーグラー |
USA | スティーブン・ロウニー |
CZE | マレク・スヴェク |
LTU | ミンダガス・エゼルキス |
BUL | アリ・モロフ |
BLR | セルゲイ・リトヴァン |
ROM | ペトロ・スドリャク |
GRE | コスタス・タノス |
ARM | コレン・パポヤン |
KAZ | セルゲイ・マトヴィエンコ |
UKR | ダヴィド・サルダゼ |
KOR | パク・ウー |
AUS | ベン・ビンセント |
CUB | ペナ・レイナルド |
TUN | ハッセン・フェキリ |
国名 | 選手名 |
RUS | アレクサンダー・カレリン |
CUB | ヘクター・ミラン |
BUL | セルゲイ・ムレイコ |
ITA | ギンタ・ギゼッペ |
UKR | グレゴリイ・サルダゼ |
USA | ルロン・ガードナー |
HUN | バルドス・ミハリ・デク |
ARM | ハイカズ・ガルシチヤン |
TUR | ファイス・バキル |
GEO | ミラン・ゴルガゼ |
ISR | ユーリ・イェフチク |
POL | マレク・シチニク |
BLR | ドミトリ・デベルカ |
SWE | エディ・ベンソン |
EST | ヘルガー・ハリク |
CZE | ダヴィド・ヴァラ |
CHN | ツァオ・ハイリン |
AUS | ラズロ・コヴァク |
VEN | ラファエル・バレノ |
TUN | オムラン・アヤリ |
文句無く優勝候補筆頭はカレリン(ロシア)。88年のソウル五輪以来の五輪四連覇がかかっている。さらに、88年以来無敗の記録もかかっている。
カレリンに挑む筆頭はムレイコ(ブルガリア)。近年、カレリン相手に延長にもつれ込むなどの接戦を繰り広げており、今年の欧州選手権では破れはしたものの、延長9分2−0というスコアだった。
そして、カレリンに黒星をつけようと躍起になっているのが、直前に日本で最終調整を行いシドニー入りしたミラン(キューバ)。91年世界選手権、続く92年のバルセロナ五輪を100kg級で制しており、実力は備えている。