和術慧舟会所属。修斗ウェルター級5位。そして輝かしいアマチュア・レ スリング時代のキャリア。童顔で、優しげに笑っている普段の姿からは想像
もつかないが、リングに上がった宇野こそ、ポスト・ルミナにおそらく一番 近い位置にいる選手である。
対するはヒカルド・ボテーリョ。
ルミナのスター街道の出発点となった、あの、ブラジリアン柔術の強豪だ。 ルミナにどれだけ近づくことができているか。宇野にとって、これは格好の
テスト・マッチだ。
1R早々から宇野のレスリング・センスが光る。ボテーリョに組みつかれ てもなかなか倒れず、テイクダウンされた時には上にのっているのだ。イン
サイド・ガードの状態で肘をボテーリョの腹に打ち落とす宇野。下から十字 を狙われると、立ち上がって、猪木・アリ状態に。
積極的に下から蹴りにいくボテーリョだが、有効打は与えられない。逆に 宇野のローが意外とボテーリョの太股にヒットする。
2Rになると、宇野のローが利いたか、転がって猪木状態を続けるボテーリョの動きがだんだんと悪くなる。対して宇野は、組まれては押しつぶして
インサイド・ガードに入り、パンチのチャンスを狙う。ボテーリョの下からの攻めに対しては、立ち上がって防御し、寝転がるボテーリョの隙をついて
ローを入れる。ともかく宇野のバランスがいい。
足を取られても、決して不利な体勢で倒れることはないし、一度などは、 寝転がるボテーリョの意表をついて飛びかかり、あわや足関節を極めそう
にもなるのだ。
そして3R。
ついにインサイド・ガードから、宇野のパンチがボテーリョを捉え始める。 一発、二発。パンチをいやがって横を向いたボテーリョ。当然のごとく、嵐
のように宇野の打撃が襲いかかる。
ボテーリョ、たまらずにタップ。
常に上を制し、ボテーリョの下からの攻撃を読み切っていた宇野の完勝で ある。
ウェルター級一位のルミナのところへ。宇野は、また力強く、階段を登っていった。
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