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99･9･5“IV 修斗 the Renaxis 1999”後楽園ホール

第五試合　ライト級３回戦

○ 植松直哉　　　ｖｓ　　　野中公人 ×

［K'z］　　　　　　　　　　［大宮］

３Ｒ３分１１秒　腕ひしぎ十字固め

　デビュー以来負けなし。しかも、勝ちは、全て関節での一本。高校時代から柔道で国際戦を何度も経験しており、実に勝負度胸がいい。
　植松直哉。修斗ライト級４位。20歳。修斗の新しいヒーロー。
　その彼が、唯一勝てなかった相手、ドロー判定に涙を飲んだ相手が野中公平だ。

　牽制の打撃から組み付く植松。
　半身を引き、体勢を整えようとする野中。それについていって肩を入れ、いきなり飛行機投げのような形で投げにいく植松。抵抗せずに腕を取り、野中、腕十字に。こらえる植松。上四方になりチャンスを窺う野中。隙を見てひっくり返す植松。回転し、正対して立つ野中。
　あっと驚くような切り返し合戦だ。投げも、関節の狙い方も、実にスピーディーで意表を突く。技術だけではない。ともかく攻め、勝ちにいくというスピリッツが両者になければ、これだけの攻防は生まれない。

　２Ｒこそ、野中の二度に亘るローブローでテンポが落ちたものの、その後も両者の積極的な凌ぎ合いは続く。パンチとタックルで倒しにいく植松。それを切って、差して倒す野中。下から、アームロック、そして足首と関節を極めにかかる植松。
　動きが止まらない。
　そして３Ｒ。
　植松が野中のバックを取る。亀になる野中。スリーパーを狙う植松。耐える野中。腕狙いに切り換える植松。そして見事な腕十字。

　試合終了後、植松の顔は悔しそうだった。
　度重なる野中のローブローで気持ちが何度も切れかけたことがいやだったのかもしれない。あるいは、自分の構図に野中をはめ切ることができなかったことが納得できなかったのかもしれない。
　しかし、素晴らしい攻防だったことに変わりはない。
　プロフェッショナル・グラップラー、ここにあり、である。

　

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