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修斗サステイン主催 プロフェッショナル修斗公式戦 "SHOOTO GIG WEST"
2001年2月18日(日) 大阪/NGKスタジオ

第7試合 ミドル級 5分2R

池本誠知
(ライルーツコナン)
1R 4'01"

K.O.(膝蹴り)

大河内貴之
(パレストラTOKYO)
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 これまで東京・北沢タウンホールを中心に展開されてきたBクラス興業“SHOOTO GIG”が箱根の関をこえた。その名も“SHOOTO GIG WEST”。普段、東京での興業の噂をメディア経由で見るしかなかった関西の修斗ファンにとって、Aクラスのトップスターが出る訳ではない大会でも垂涎の的だ。会場となったNGKスタジオは普段TVバラエティなどの収録に使われえる小規模の会場だが、立ち見客を含めて通常のキャパを遥かにこえる超満員の600人の観客が押し寄せた。

 その熱気に押されてリングでは熱戦が相次ぐ。

 昨年アマチュア(Cクラス)として、西日本、全日本の両大会を制覇、ウェルターの新勢力として期待される杉江大輔が、オープニングファイトから新人離れした落ち着いた試合運びで大器の片りんをうかがわせ、足の器用さと卓越したボディバランスで会場を沸かせる。またライト級に転向した地元の人気選手レッド・スレイヤー・ガイは、よく絞った身体と落ち着いた試合運びで新生面を見せるかと期待されたが、ベテラン藤田の繰り出した変形腕ひしぎの罠にはまって、またも勝利から見放された。また、第五試合に登場した地元出身、パレストラ期待の星・中山もスピーディな試合運びとダイナミックなグラウンドパンチを見せ、Aクラス昇進間違いなしといった好試合を展開した。

 こうしたアンダーカードの盛り上がりを受けて、会場は時期にそぐわぬ熱気に包まれた。この日メインイベントを勤めるのは「浪速のプリンス」池本誠知と11月にダミアン・リチオを破って波に乗りたい大河内貴広。特に池本は地元大阪で今も修練をつむ人気選手であり、入場時には紙テープがリングを埋め尽くす人気ぶりだった。

  この日、試合前のミット蹴りで打撃の切れを感じたという池本は、序盤からハイキック使いスタンド中心の攻撃組み立てていく。一方、大河内は胴タックルでその流れを切りグラウンドへ引きずり込もうとするが、ガードから素早く回り込んでバックを奪う魔術的な池本のスピードに幻惑され、あわやスリーパーを取られそうになる。結局リングから転落しかけて、リング中央に戻り再開。
 再開後もキックを繰り出す池本に対して、大河内が距離を置いてのカウンターパンチ狙いに徹したため、スタンドでの展開が単調になりかけた...かと見えたラウンド後半、池本が動いた。相手コーナーに大河内を追い込んで、いきなり飛びヒザ蹴りを顔面に見舞ったのだ。遠間合で下がっていた事が災いして顔面ガードの開いていた大河内はもろにこれを食らい、ロープを背に腰が砕ける。すかさず首を捕らえてヒザのラッシュをぶち込んだ池本の猛攻に、たまらずダウン。カウントを数える鈴木レフェリーの目の前でロープにすがって立ち上がろうとした大河内だが、カウント10でもふらついた腰は元には戻らず、池本のKO勝ちが宣告された。

 控室に戻る池本とエレベーターで一緒になった。さっそくフィニッシュの飛びヒザ蹴りについて聞いてみる。

−−今まで見せたことのない技でしたけど、あれはずっと隠してたんですか?
池本「あれはねずっと練習でジムの子とかとやってはいたんですよ。全日本キックの金沢さんの試合を見てかっこいいな、盗んだろと思って(笑)ちょうどいい距離やったんで、身体が勝手に動きましたね」
−−中盤キックが空振り気味だったけど
池本「最初打撃がよかったんですけど、途中から当たらなくなったじゃないですか。距離大目に取られたんで、じわじわとコーナーに追い込んで行ったんですよ。あ、ここがチャンスやなと思って、アレをぱっと思い付いて」
−−カウンターのパンチで踏み込めないようにも見えたんだけど
池本「効いては無かったんですけど、顔とかに貰ってるのは感じてたんで。目とかかすんだな、っていうのもあって。だから、あんまり貰って切れたりしたらアカンなって思って、効いてはいないですけど警戒はしましたね。パンチは。向こうも僕のローが入ったりして、ちょっとさがってしまったりしてたんで、踏み込めなくて。ちょっとしょうもない試合になってしまうかなって焦ってきて(笑)。そこで焦ってポカしてきてたんで、冷静なんですけどそろそろ攻めやなあかんと思って。頭の中でテイクダウンとか取られて、1Rはリードされてるかなって、じゃ後半打撃で攻めこんだろかな、って思ったんで」
−−打撃戦は今日の作戦?
池本「やる前は寝技狙いやったんですけど、寝技の方が動き回った方が面白いじゃないですか。でもここに来て、キックミット蹴ってみたら、凄く走ってたんですよ、蹴りが」

「とりあえずデビュー戦から大阪ではいい試合してないんで。東京では結構いい試合できてるんですけど。今回、自分の友達だけで170人も来てくれたんで、これまでいい試合できなくても来てくれたりしてたんで、今日はその恩を帰せたのが良かったかなって」ようやく控室に戻って余裕のある表情に戻った池本はにっこり笑いながらそう語った。

−−地元だということは意識した?
池本「今日NGKでは試合はじめてやし、関西でこれからも修斗の試合が盛り上がって欲しいんで、来たお客さんは満足させて、関西で大会が増えるようにしたかったんで、そういう意味でも満足です」
−−結構、試合展開はプロであることを意識してた?
池本「常に頭の中で浮かんでくるんです。最初テイクダウンされた時も、このままずっとおさえこまれたらしょうもない試合になってしまうかなって。でぱっと押さえ込みにいったら足とか浮いてて、“これはバック回れそうやな”って普通に動いたんですけど」
−−せっかくスリーパーでいけそうだったのにあそこは惜しかったですね
池本「そうですね。(リングから)落ちかけたから離しましたけど、もうちょっとで。ロープの下から頭抜こうとしただけだったんですけどね。その時に押されて場外の方へ」
−−これでAクラス昇進は間違えなくなったと思いますが
池本「まあまだ入れたか判んないですけど、日本人も外人も名のある人が多いんで、どうせなら、フェイトーザみたいに名のある人とやってみたいですね。そういうのはありますけど、他の選手は誰とやりたいというのはないです。これまで一つ勝ったと思ったら次取りこぼしたりしてなかなか上に上がれなかったんですけど、フェイトーザ選手がどんな寝業してるのかちょっと興味があって。日本人はそんなにやりたいと思ってないですね、今は。ランキングには絶対入りたいですね。入らないと先が見えないですから。最終的にはタイトルマッチ目指して、ランキング入って上に上がっていく自分が楽しみです」
−−メインということは意識しました?
池本「自分の見せ場って言う感じで気持ちいいですね。余計冷静になったというか、凄い応援してくれてるんやなって思って。応援が凄く届くんですよ。あの会場近いじゃないですか。だから友達の声とか聞こえとったし、気持ちいい状態でリング上がらせて貰えましたね。だから自分の力を出せたんじゃないですか」

 この勝利でほぼAクラス入りを確実とした池本。今後層の厚いミドル級戦線のなかで、その華麗なグラウンドテクニックを武器にどこまでのし上がって行けるかが注目される。

 また興行的にも内容的にも大成功で終わった、大阪最初の“SHOOT GIG”だが、今後この会場を中心に関西の若い選手達が次々にデビューし、中央を揺るがすような独自のシーンを築いていくことを期待したい。

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レポート&写真:井田英登

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