前座とメイン・・・というようなことを意識した訳ではないだろうが、第三試合から、リング上のファイトの印象が一変した。単純に言えば、「両者とも基本ができている」同士のスピーディーなファイトになったのである。
その一番槍がヒカルド・アローナ。
ブラジルの選手ということで、どうしても柔術風のムーブを予想してしまうのだが、実際にはこの試合でのアローナの動きはレスリング選手そのものだった。それも中量級の実にスピーディなスタイルである。
思い切りのいい、突撃するかのようなタックル。
止められても、そのまま押し切り、押さえ込みに入られまいとするホーンの動きを見極めてバックを取る。言い古された表現だが、「バネ」がある。
第一、第二試合であったら、ここで止まってしまい、上に乗った、あるいはバックを取った側が相手の隙を誘うという展開になるのだが、この試合からは違った。ホーンがポジションを返そうと積極的に狙っていくので、動きが止まらないのだ。バックをアローナが取れば、体を返して正対するし、ならばとパスにいこうとすれば、それに合わせて立ちあがっていく。そして下から十字狙い。アローナが慌ててどうにか振り切る。
再びスタンド。パンチを打ち、組むと投げを狙う。
だが、ことレスリングということに限って言えば、どうしてもアローナが一枚上手だ。タックルを受け止め、絶妙のタイミングで投げを打つホーン。それをすら崩し、上に乗ってしまうアローナ。しかし、ホーンも負けてはいない。スタンド・レスリングで優位を取れないと悟ると、がぶってフロントネックロックの体勢に入り、そこから膝を持っていくなど、実に見事な攻めを見せる。さらには足首固め狙い。だが、これは逆にアローナに切り替えされ、危うく逆に極められそうになる。
時間いっぱいまで続いたスリリングな両者の攻防は、レスリングで優勢だったアローナの判定勝ちに終わった。
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