コールマン、スタミナとの闘い
バーリ・トゥードにおけるアマチュア・レスリングの強さ。それを最初に示して見せた一人がマーク・コールマンだった。UFC第10回、11回ヘビー級トーナメントで優勝。アマレスラー時代草創期のスターの一人である。
だが、その後の戦績には、あまりに「むら」がある。理由は、どう考えても、コンディションだろう。かつての体調がない。とりわけ、長期戦になった時の、スタミナ・集中力に難がある。
穴はヒカルド・モラエスにもある。205cm、123kg。巨体であり、しかも、柔軟でスピーディな動き。この体躯を生かし切った時のモラエスは、例えば衝撃の日本デビューとなった山本宜久戦のように、暴力的なまでの強さを見せる。
しかし、一度その突進を阻まれてしまうと、弱点がむき出しになる。柔術の技術の未熟さである。グロム・ザザ戦では、ザザのタックルになすすべもなく倒され、そのまま上を制せられ続けて、判定負けを喫した。レスリング巧者に下から対抗できる程のテクニックはないのだ。
予想通り、試合は、コールマンがタックルでモラエスを制する場面を中心に展開していった。モラエスも、僅かなスタンドのチャンスにパンチで圧倒しようとするのだが、連発しないうちにタックルで倒されてしまう。
インサイド・ガードに入るコールマン。かつてであれば、ここから顔面パンチの連打を狙うのだが、この試合は違った。無駄なパンチを打とうとはせず、パスの機会を伺うのだ。
スタミナを温存する戦略か。
これに対し、モラエスは、下からの攻めになかなか出られない。十字狙いどころか、何度もコールマンにパス・ガードを許してしまうのだ。3回もサイドを奪うコールマン。どうにかバックに回り、あるいはハーフやガードに戻してそれ以上の攻めをさせないモラエスだが、劣勢は否めない。
だが、コールマンも、スタミナを消耗しているらしく、体を真っ赤に染め、どんどんと苦しそうになっていく。
どこまでコールマンの体が持つか。
第二ラウンド終盤、4回目のパスガードでマウントを奪取するコールマン。いよいよラッシュかと思われたが、既にそれだけの余力は残っていなかった。
傍目からも弱々しいハンマーを落とすコールマン。
ここで試合終了。コールマンの気力が、なんとか、最後までモラエスを封じ込め切った試合だった。
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