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PRIDE.14 5月27日(日) 横浜アリーナ(入場者数:15,325人)
レポート&写真:井田英登
第9試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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試合開始前から場内には藤田コールがこだまする。ヒール役を振られた高山は無愛想に藤田を見下ろすのみ。身長差13センチ以上の差が感じられる両者。
リーチの違いを考慮して打ち合いよりもテイクダウンを狙っていく藤田だが、高山も懐の深さと腰の強さを発揮し、スタンドポジションを守る。コーナーに詰めてヒザを飛ばす高山に対して、藤田は組んでのショートアッパーを打ち込んでいく。組んだままの踏ん張りあいが続くが、上半身の引き倒しでテイクダウンし、藤田はガブった姿勢から頭部にヒザをぶち込む。一度は立ち上がったものの、再度ロープ際でさば折り風に高山をテイクダウンし、サイドポジションから顔面にヒザを何発も飛ばす。防戦一方になった高山は組み敷かれパンチを浴び続けながら1R終了のゴングを聞くことになった。
明らかに息の上がった高山は2Rに入っても藤田のパンチを二発三発と浴び棒立ちに。すかさず藤田は片足タックルからバックに回り込む。すでにこの段階で両者のスタミナ、運動能力には明白な差が現れつつある。高山は胴に回された腕を取ってアームロックを狙うが、藤田はそのまま引き倒し、素早く上四方に回り込む。無防備な頭部に藤田のヒザがハンマーのように振り降ろされる。高山は中腰に立ち上がったが、藤田はガブったまま足を刈り肩固めに入る。がっちりと締め上げ、高山の右手が宙を彷徨うが、タップしないままその動きが止まり、力なく崩れた瞬間、島田レフェリーが試合を止めた。プロレスラー同士のMMAマッチとして注目を浴びたこの試合だが、「格闘家としてプロレスラー高山を潰す」と語った藤田の予告どおり、このルールにおける必勝のスキルを実行した格闘家・藤田のワンサイドゲームに終わったと言えるだろう。
第8試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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ロシアンフックとハリケーンキックの激突が話題を呼んだ両者の対決だが、アイブルの18番飛びヒザ蹴りを受け止めたボブチャンチンが、そのまま押し倒してグラウンドに持ち込む。マウントを奪ったボブチャンチンをブリッジで跳ね飛ばそうとするアイブルだが、逆にバックマウントを取られチョークスリーパーで万事窮す。ボブチャンチンは珍しくサブミッション決着で引き出しの多さを見せつけ、コールマンとのPRIDE頂上対決に盤石の歩を進めた。
第7試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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スーパールーキー大山峻護のデビュー戦は、桜庭を破って勢いに乗るヴァンダレイ・シウバとのいきなりの頂点挑戦となった。新人らしくいきなりシウバとパンチの撃ちあいに出る大山。乱打戦となったパンチの嵐の中で右がクリーンヒット。一瞬バランスを崩したシウバだが、そのまま胴タックルでリカバーし、ロープを背に踏みとどまった大山にふたたびパンチの雨を降らせる。シウバの左フック一発で上体が泳いだ大山は、ガードもままならないまま二発三発とパンチを浴び、頭を抱え込んでしまう。下を向いた大山の顔面にシウバが今まさに必殺のヒザを放とうとした瞬間、島田レフェリーが試合をストップ。まだ意識喪失もしていない大山に対してスタンディングダウンを宣告したこの判断に、場内からはブーイングが浴びせられ、物を投げる観客もあった。しかし、大山は一か月前のKOTC8でノックアウト負けを食らったばかりであり、頭部への過剰な攻撃は選手生命を奪いかねない。客観的に見て、島田レフェリーの判断責めることは出来ないだろう。
第6試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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和術慧舟會からの独立第一戦となった小路。序盤スリップで仰向けに倒れたヘンダーソンにパンチでラッシュを仕掛け、ニュー小路誕生をアピールしたいところだったが、スタンドに戻ってカミソリのようなパンチとヒザを飛ばすヘンダーソンの逆襲に、徐々にペースダウン。1R2Rにはそれぞれマウントも奪われてパンチを浴び、顔面には赤いアザが浮かび上がる。最終ラウンドには、サイドポジションからのヒザを顔面に集められ力尽きた。
第5試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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PRIDE.14の2日前の25日(金)、出場選手を集めルールミーティングが行われ、オフィシャルルールに追加事項が加わったことが発表された。その内容は「体重差10キロ以上の試合に関しては、4点ポイント状態において頭部・顔面への膝蹴りおよび蹴りによる攻撃の有無を、体重の軽いほうの選手が選択することができることとする」というもの。今大会ではこのヒーリング対ベウフォートにのみ適用され、体重の軽いベウフォートがこの攻撃を選択しなかったため、この攻撃は反則扱いとなった。つまりこの試合のみPRIDE.12までのルールとほぼ同様に戻ることとなった。
1Rからヒーリングがバックからパンチ、スリーパーで攻める場面が目立つ。ベウフォートもガードポジションから奇麗なリバーサルを見せるなど柔術を駆使するが、ヒーリングが体重差を活かして跳ね返してしまう。2Rにはベウフォートがテイクダウンを狙うところをロープをつかんで防ごうとしたヒーリングがイエローカードを受ける。3Rベウフォートが蹴り足をつかんでテイクダウン。サイド、バックと移行したが、終盤は膠着。判定は体重差とイエローカードが味方する形でベウフォートに軍配が上がった。
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第4試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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オーフレイムがグラウンドでの下からのアームロックでチャンスを得たが、グッドリッジが「腕相撲世界一」の腕力で外すと、サイドポジションからオーフレイムの頭部に膝蹴り一発。そこでオーフレイムはあっけなくタップしてしまった。
だがオーフレイムは試合後のインタビューで、途中で目の調子が悪くなり、視野が狭くなったことを明かした。アームロックの時にも指に違和感があり、これ以上ダメージを受けたくなかったためタップしたという。初参戦のPRIDEは苦い結果となったが、次回は万全のコンディションで挑んでもらいたいものだ。
第3試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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衝撃のランデルマンKO事件が勃発したUFC32から約三週間。早くもその張本人であるチャック・リデルが日本上陸を果たした。PRIDE代表で迎え撃つ形となったメッツアーは先手先手でスピードのあるパンチを繰り出し、UFCのワンナイトヒーローとなったリデルの大砲パンチを射程圏内に寄せ付けない。距離を測りかねたチャックを、一方的にスタンドで攻め立てるメッツァーの姿にはかつて“膠着王”と呼ばれた時代の面影は感じられない。1R後半にはテンプルへの左フックでチャックをぐらつかせ、あわやKOというシーンも見られた。
しかし、セコンドについたジョン・ルイスから「パンチで行け!」との指示を受けた事もあり、チャックは2R開始と共に一気に攻勢に転じた。
小手先のショートフックをフェイントに、素早いステップで一気に懐に飛び込んだチャックは得意の右フックを2発連続でメッツアーの顔面にぶち込む。ひるんだメッツァーは下がりながら、左フックを返したのだが、チャックはこれに右のクロスカウンターをぶち込んで完全なKOを奪い、ランデルマンKO劇の再現フィルムを見るようなフィニッシュを決めた。
第2試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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4月のキング・オブ・ザ・ケージ8でついに海外VT初勝利を飾り、念願のシウバ再戦に向けてひた走る松井の前に、同門の刺客ペレが立ちふさがった。開幕早々ばねを生かした飛びヒザを放つペレだが、松井ははたき落とすようにそれを止め、続くパンチも見きってかわす。集中力が高まっている様子がありありと判る。だが再度低空の飛びヒザを放つペレに松井のタックルが正面激突。松井はそのまま四つんばいに倒れ込んでしまう。スタンディングのペレに無防備の頭部をさらすピンチだが、足にくらいついてサッカーボールキックを封じる。しかしそのまま飛び込んだペレにバックを奪われスリーパーのピンチ。首を守りきった松井はターンに成功するが、そのまま腕十字を狙われる。だが身体ごとリフトした松井は、腕を取られながらマットにペレの頭部をたたき付ける。なんとか腕は抜いたものの、またもやバックに張り付かれて松井はカメの状態が続く。しかしバックマウントに焦ったペレは、せき髄にヒジ攻撃をしてしまいイエローカードを貰う事になる。
これでピンチを脱した松井は、スタンドからの再開後いきなりドロップキックを放つ。この技を出すことで、プロレスラーとしての自己確認作業を経て落ち着きを取り戻したのか、ペレのキックをかいくぐって低空の片足タックルからテイクダウンに成功。インサイドガードからのパンチ、ヒザ蹴り、ショルダーでの顔面プッシュなど大攻勢を掛ける。
2R開始時にも再びドロップキックを放つ松井。アリ猪木状態からキックを放つペレの隙をついて立ち上がると、ペレのキックを擦り抜けて片足タックルに成功。インサイドガードから執拗にパンチをあびせ、パスガードに成功する。上四方からマウントを一瞬奪った松井だが、ペレのバネで跳ね飛ばされ、逆に押し倒されて下のポジションへ。マウントを狙ってきたペレをスイープして再び上に戻った松井。ショルダープッシュで嫌がらせを重ねて優位を強調する。2Rは松井優勢
3Rまたもやドロップキックでラウンドを始める松井。ハイキックの蹴り足を取られて倒されインサイドガードになるとカカトで臀部(でんぶ)を蹴り、密着するペレにパンチを打ち込む。下になりながらも松井の攻撃が目立つ。嫌って立つペレにタックルを仕掛け、がぶられてもすぐ体を返す。4ポイントにならないあたりに、桜庭の敗戦を参考にした形跡がうかがえる。アリ猪木状態から踏みつぶしのストンピングに来たペレのカカトをかわし、逆に胴タックルで押し倒したところでゴングが鳴る。
せき髄攻撃のイエローも含めて、ペレの猛攻をかわしつつ、2R優勢にゲームを運めた松井が判定勝ちをもぎ取った。試合後マイクを取った松井は「次回プライドでシウバ、俺と戦おう!」とアピール。今大会屈指の名勝負で客席からも熱い支持を勝ち取り、ついに松井がブレイクの時を迎えたようだ。
第1試合 1R 10分・2&3R 5分 | |||||||
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PRIDE初参戦かつ初のMMA戦だったニーノだったが、グラウンドに持ち込むと得意の柔術テクニックで簡単にパスガード。最後はマウントからの腕十字で仕留めた。ニーノは試合後松井との対戦を希望した。
<その他トピックス>
PRIDE-GP2000王者マーク・コールマンとその愛弟子ケビン・ランデルマン、そしてUFCウェルター王者カーロス・ニュートンがリング上にそろい踏みし、次回7月29日さいたまスーパーアリーナでの開催が予定されるPRIDE.15への参戦をマイクアピールした。本来UFCを主戦場にするランデルマンとニュートンがPRIDEマットに登場した背景には、 UFCとPRIDEの協力路線が引かれたという事情があり、今後相互の選手派遣が活発化しそうだ。
レポート:井田英登 写真:井田英登 |